絹の新しい用途として, テニスストリングを考え, 絹製品の進出が著しく遅れているスポーツ界へ進出することによって, 絹の用途拡大・活性化を図ることを目的とした。そこで, まず, 絹ストリング (特殊生糸と呼ばれる琴の弦) とテニスストリングの基本性能を調べることによって, 絹テニスストリングの設計・開発について検討した。切断強伸度, 伸長回復率, 表面摩擦, および応力緩和の各実験を行った結果, 絹ストリング (琴の弦) はテニスストリングとしての使用に対して, 十分な切断強伸度と伸長回復率をもっているが, 耐摩耗性, および張上張力の経時変化に改善が必要であることが明らかになった。したがって, 絹テニスストリングには, 表面樹脂加工, 撚り数, 糸構造等についての検討を必要とするが, 設計・開発のための確かな可能性が明らかにできた。
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