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産物に關する精細なる顯微鏡的研究の結果が浮選成績を向上せしめる上に如何に多くの暗示を與へ、今後の操業法の改善にも資する處大であるかは今更贅言を要せぬ處である。併し從來は檢鏡用試料の製作技術と高倍率の顯微鏡性能が充分でなかつた爲に、満足なる檢鏡結果を把握し得られぬ憾みがあつた。然るに
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諸産物を適當なる成型劑にて固結し研磨する技術、研磨面に封する檢鏡技術の進歩、顯微鏡に依る定量分析法の適用等に加へ、
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技術者と鑛物學者の緊密なる協力に俟ち斯法の進展には注目す可きものがある。(筆者「泡沫浮游
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法に關する研究の最近の動向に就て」日本鑛業會誌、Vol. 57, No. 674, 昭和16年6月號參照願ひ度し)。
嚢にA. M. Gaudin, R. E. Head, A. L. Crawford, F. E. Thackwell, H. B. Henderson氏等に依つて行はれたCopper Queen, Cananea, Silver King, Anaconda, Uah等の諸
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場の産出物に關する精細なる顯微鏡研究の結果は此の良き例である。此處に邦譯し發表せんとする報文は、British Columbiaに所在するAnyox
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場 (Granby Consolidated Mining, Smeglting & Power Co., Ltd.) より産出の各種
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産物に就き、引續きR. E. Head, A. L. Crawford, F. E. Thackwell, A. L. Christensen氏等の努力に依り行はれた詳細なる顯微鏡試験の結果 (Report Investigation, No. 3290, Department of the Interior, U. S. Bur. of Mines) であつて、斯界の研究家に幾分でも參考となれば此の上も無い幸ひである。此の種の顯微鏡研究は叙上の各種の技術的な問題をも伴ふが、一つに研究者の堅忍不抜なる精神力に挨つて初めて完成し得るものである事を特記し度い。
我が國の
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場でも1日も早く斯る研究が完成して、完全に近い操業状態を把握し、時局下鑛産資源の高度の利用に努め度いものである。
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