(1) ハイドロールを硝酸濃度30~60%,硝酸対ハイドロール固形物=3~4:1(モル比),反応温度25~93°,反応時間2時間10分~88時間,触媒として亜硝酸カリ1~7%添加の条件下に硝酸酸化して触媒の
d-saccharic acid生成率に対する影響を調べた.その結果亜硝酸塩は
d-saccharic acidの生成量を増大せしめ得ないが,無添加の時に比べて反応温度を低下せしめ得る.且つ又硝酸濃度の変化によってその収率は低下せしめられない事を認めた.而してその最高収率は理論量の30.8%であった.
(2) ハイドロールを硝酸濃度43~60%,硝酸対ハイドロール固形物=4~6:1(モル比),反応温度25~85°,反応時間40分~88時間,触媒としてメタバナジン酸ソーダ(4水塩)0.001~0.1%添加の条件下で硝酸酸化して触媒の
d-saccharic acid生成率及び副生成物収率に対する影響を調べた.その結果硝酸対ハイドロール固形物=4:1(モル比)の場合には触媒量0.O01%は影響がなく, 0.005~0.01%に達すると
d-saccharic acidは減少して収率11~24%となり,同時に副生成物としてD-酒石酸10~17%,蓚酸7~26%(何れも理論量に対して)を得た.而して微量のラセミ酒石酸を分離した.
触媒量が0.1%に達すると
d-saccharic acid 2~3%, D-酒石酸3~4%,ラセミ酒石酸1~4%,蓚酸5~9%の範囲に収率が低下した.
触媒量0.01%,硝酸対ハイドロール固形物=6:1(モル比)の場合には
d-saccharic acidは殆どなくなり, D-酒石酸5.2%,ラセミ酒石酸10.2%,蓚酸11.6%を得た.
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