高分子を水に溶解または分散させるには骨格中に親水性基を導入したり, また界面活性剤を使用することが必要である。しかし塗料用樹脂としてはこれらの手法は耐水性を悪くすることが多い。そこで熱分解性の非プロトン型オニウム塩基を導入して, 塗膜の加熱乾燥時, 親水性基が熱分解し塗膜を疎水化することができないか検討した。非プロトン型オニウム塩基の導入方法は各種報告されているが, 本研究ではエポキシ基, 3級アミンもしくはチオエーテル, および酸から合成する方法を試みた。ここでは, これらの生成反応, 分解反応の詳細を調べるため, エポキシ基含有ポリマーとしてはグリシジル基, α-メチルグリシジル基, 脂環式エポキシ基を持つアクリルポリマーを使い, 酸, 塩基の種類, 反応条件等を変動して, オニウム塩化度, および熱分解反応に及ぼす各種要因の効果を調べた。その結果, グリシル基, 酢酸, チオエーテルの組合せが水溶解性が高く, かつ熱分解しやすいことが判明した。またこの熱分解反応はHoffmann脱離機構に従うことが示唆された。
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