(1) 土の剪断抵抗試験器で積雪の加圧剪断試験を行つて見た。
(2) 其の結果, 積雪の小粒のものは土と同様に, 剪断抵抗を, 粘着力と内部摩擦角とに分けて考えられ,
σs= c+fp =c +tan θp
の関係が大略成立する事を知つた。
(3) 本結果より見ると,
しまりゆき C= 500~1500 g/cm
2 θ=65°~75°
小ざらめゆき C=150~600g/cm
2 θ=20°~55°
大ざらめゆき C=300~600g/cm
2 θ=70°~80°
で, 「しまりゆき」が張塑性を示し抗剪力最大で, 「ざらめゆき」は砂に似た性質を有し, 水分の増加と粒形の増大に俘い, C, θ共に大となるが, 含水量が著しくまして來るとCが逆に小となる傾向も見受けられる。
(4) 土の剪断試験器は大体雪にも利用出來るが, 資料の探取に更に工夫を要し, 雪質が, 荷重により変る事, 時間により変る事, 同一材料をぐりかえし用いられぬ事等により, 荷重剪断試験は困難であるが, 概略の値は土同様に求められること。
本冬期は零質の変化少く, 乾いた雪が得られなかつたので測定値が一方に偏した上, 種々な條件を無視して行い, 結果の計算にも可成大胆な仮定を行つたので, 又比較する資料がない事にもより, 槍討を充分に行い得なかつた。
木実験は更に引続き行う予定である。
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