過去5年間, 当院に入院した肝硬変症164症例について, HBs抗原・HBs抗体検査から, 成因別分類を行なった。その結果, 当地域では, 男性ではアルコール性が, 女性では原因不明, NANB肝硬変が多かった。HBs抗原陽性肝硬変は8.3%と少なかった。HBs抗原持続陽性例の肝癌合併率は53.8%と高かったが, 全体では14.1%と低く, アルコール性からの発癌はまれであり, NANB肝硬変の発癌性も低いものと思われる。HBs抗原陽性肝硬変は, 肝癌の早期発見を, アルコール性は, 食道静脈瘤の治療が, 予後次善につながるものと思われる。
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