Pd-SnO
2ガスセンサーにおけるPdの増感効果を基礎的に理解するため,SnO
2上に担持されたPd粒子の存在状態(粒子径,分散度,形態)をTEMにより明らかにするとともに,Pd-SnO
2問の電子的相互作用をXPSにより調べた。900℃ で焼成して粒子をある程度大きく成長させたSnO
2粉末を用いることにより,明瞭なTEM像が得られた。粒子の形状は,還元状態(Pd)では球形に近いが,酸化状態(PdO)では半球形に変化し,PdOの方がSnO
2と強く接合することが示唆された。また,いずれの状態でもSnO
2とのエピタキシーが認められた。Pd平均粒子径は,担持量3wt%以下では5nmと比較的小さいが,5wt%となると10nmと急激に増大した。これを反映して,試料1g当たりのPd表面積,および単位SnO,面積当たりのPd粒子数(粒子密度)は,どちらも3wt%で極大値を示した。Sn3dおよびO1sのXPSシグナルの束縛エネルギー(BE)は,酸化状態では純粋なSnO
2にくらべて低BE側にシフトし,シフト幅は担持量に依存して3wt%で極大となった。一方,還元状態ではシフトが完全に消失した。このようなシフトはPdO-SnO
2接合部での強い電子的相互作用によるものであり,その大きさはSnO
2表面における接合点の密度によって支配されると推定される。
抄録全体を表示