注射用セファロスポリン系の新しい合成抗菌剤であるcefepime (CFPM) を皮膚科的に検討した。
1) 皮膚感染病巣より分離した黄色ブドウ球菌に対するCFPM, cephaloridine (CER), cefmetazole (CMZ) のMICを10
6cfu/mlにて測定した。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 30株に対し12.5μg/ml以上のMICを示す株数は, CFPMでは14株, CERでは27株, CMZでは27株見られた。
2) ラットにCFPMを20mg/kg静脈内投与した場合の5, 15, 30, 60,120分後の血清内, 皮膚内濃度は平均で各々74.33, 18.75, 13.35, 4.86, 0.61μg/ml, 18.76, 14.02, 11.78, 3.26, 0.84μg/g (湿重量) であった。
3) ヒトにCFPMを0.5gまたは1.0g静脈内投与した場合の血清に対する皮膚内濃度の比は0.60 (n=5) であった。
4) 皮膚感染症26例に使用し, 著効8例, 有効12例, やや有効4例, 無効2例で有効以上の有効率は76.9%であった。副作用は1例に悪心, 頭痛を認めた。また, 1例にAl-P, γ-GTPの上昇が見られた。
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