本研究では、沖縄県浦添市の「花と緑のまちづくりフェスタ事業」制度を取り上げ、地域発意の緑のまちづくりにおける空間管理とその支援の実態を把握することを通して、支援効果と問題点を明らかにし、住民主体の緑のまちづくりにおける今後の支援(協働)の方向を探った。行政へのアンケート並びに聞き取り調査、行政資料の分析整理、住民活動の観察・聞き取り調査を行い、以下の結論を得た。新たな公園確保が困難な密集市街地で、住民が提案した計画の実現を協働で進めることで、地域コミュニティの環境資産を活用した「緑空間」の再生と活動支援が可能になった。地域空間の質の向上、緑化活動と空間管理の深まりにつながった点で効果が認められる。一方で、事業プロセスでの合意形成支援の不備により、事業後の住民活動が継続せず空間が荒れたケースがあった。今後の支援の方向性として、地域環境資産の発掘・活用、施工段階での計画の変更調整に柔軟に対応する合意形成支援プロセスの充実、緑のリーダーの養成が不可欠である。。
抄録全体を表示