研究は, 漬物原料野菜を沸騰水中でブランチングし, フォスファターゼ活性を抑制或いは失活させ, これまで困難とされてきた浅漬に核酸系旨味調味料が利用できるかどうかを探る目的で行った。原料野菜をブランチソグ後, 漬込んだ浅漬5種(胡瓜, キャベツ・胡瓜ミックス, かぶ, セロリ, 茄子)について, 5-ヌクレオチド(5-GMP, 5'-IMP)の動向並びに色, 硬さ, 官能検査を行い, 以下の結論を得た。
1. 5'-GMP, 5'-IMPに対しての酵素による分解度は原料野菜によって差異が認められ, 胡瓜浅漬とキャベツ・胡瓜ミックス浅漬は共に5-GMPの分解度が顕著に高かった。また, 茄子浅漬についても類似の傾向が見られた。しかし, かぶ浅漬, セロリ浅漬は5-GMPと5-IMPの分解度に差異は認められなかった。
2. 5-GMP量, 5-IMP量はブランチング時間の長いものほど値が高かった。
3. 色は, 胡瓜浅漬はブランチングするとL*値, b*値が高くなり, a*値はやや低くなる傾向を示した。かぶ浅漬はブランチソグや経日変化は殆ど認められなかった。セロリ浅漬はブラソチングするとL*値, a*値がやや低くなる傾向を示し'b*値は高くなった。茄子浅漬はブランチングによる差は殆ど認められなかったものの, L*値がやや高く, b*値がやや低くなる傾向を示した。
4. 硬さは, 胡瓜浅漬はブランチングによる差は僅かであったが'漬け日数の経過とともに徐々に軟化した。かぶ浅漬はブランチングや経日変化は殆ど認められなかった。セロリ浅漬は漬け日数の経過とともにブランチング有は軟化し, 4日目に, その差は顕著に現れた。茄子浅漬は, ブランチング無が最も硬く, ブランチング2分が最も軟らかであった。
5. 官能検査結果は, 色, 味, 食感の全てにおいて良好だったのは茄子浅漬のブランチング有(2分, 1分)で, キャベツ・胡瓜ミックス浅漬0.5分も評価が高く, 難しく, かぶ浅漬については3分以上ブランチングすることで利用可能であることが示唆された。
抄録全体を表示