【はじめに】 平成25 年12 月から糖尿病支援チームが発足し,糖尿病患者を対象に教育入院での療養指導,地域の方々へ予防・啓蒙を目的とした市民公開講座の開催をしている.「多職種協同」を理念に,専門医を中心にコメディカル(看護師,薬剤師,管理栄養士,臨床検査技師,理学療法士,作業療法士)が活動してきた内容を振り返り,課題を検討したので報告する. 対象者には本報告の趣旨を説明し同意を得た.
【糖尿病教育入院について】 糖尿病教育入院患者34 名(男性:26 名,女性:8 名,年齢:58.9±26.9 歳, HbA1c:9.6±3.1%)に対し,治療効果の推移を追跡した.入院中は,各職種が個別対応を重視し療養指導を実施した.リハビリテーション科においては,理学療法士・作業療法士が介入し,身体機能面だけでなく,精神・心理面への評価・介入を行っている.病室への訪問や,リハ室での運動実施にて療養指導を行う.退院時には,治療継続・生活指導を中心とした介入を実施している.
【市民公開講座における調査】 一般参加者(31 名:男性4 名,78±4 歳,女性27 名 ,75.7±13.7 歳)に糖尿病に関連する検査を実施.項目は,身長,体重,BMI,血圧,ウエスト周囲径,随時血糖値,神経障害簡易検査(振動覚,アキレス腱反射),SpO2,である.結果として,収縮期血圧>130mmHg かつ/または拡張期血圧>85mmHg である男性が75%,女性が78%であった.男性においては,ウエスト周囲径>85cm が100%,随時血糖値>140mg/dL が75%と,生活習慣病のリスクが確認された.
【まとめ,今後の課題】 教育入院終了後は,外来診察での経過観察となるが, 今後は,コメディカルによる継続的な療養指導を重視した介入方法の強化が必要であると考える.また,市民公開講座における調査結果からも,生活習慣病のリスクがある地域住民が多いことが確認できた.入院患者だけでなく,地域住民へのサポート体制として,糖尿病支援チームが継続的な療養指導を実践出来るようなシステム作り,包括的な介入の検討が課題である.
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