炭素炉中の固相から直接原子化によるセメント中の微量の銅, マンガン,
鉛
, クロムの原子吸光定量法について検討した. セメント粉末を炭素炉内にそう入し, 最適測定条件下で, 乾燥, 灰化, 原子化を行い, 原子吸光ピーク高さを測定することにより微量の銅, マンガン,
鉛
, クロムの定量法を確立することができた. 検量線は, それぞれ銅 (5.0-16.0)ng, マンガン (6.0-25.9)ng,
鉛
(3.6-16.8)ng, クロム (4.1-17.1)ngの範囲で良好な直線性を示した. 10回の繰り返し実験で求めた精度は, 変動係数で, それぞれ銅3.2%, マンガン3.7%,
鉛
2.8%, クロム3.4%であり, 本法はセメント中のこれら微量元素の定量に十分使用できるものと考える.
試料の前処理が必要ない本法は, 分析時間が短く, かつ前処理過程での分析目的元素の汚染の心配がない. また有害試薬を使用しないので無公害分析法としても満足すべき方法である.
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