本稿では, 「因果的説明が因果関係を表すならば, それは何と何との間に成り立つ関係なのか?」という問題提起のもとに考察を行う。「因果的説明」には, 「cがeを引き起こした」という形の単称因果言明の他に, 文を単位として理由を表す言明「AだからBである」または「BなのはAだからだ」をも含めて考えることとする。手順としては,「出来事」を因果関係の関係項とする立場を取り上げた後, それ以外の存在者 (事実, 性質など) もまた因果関係を構成しうることを示し, それによって因果的説明にもたらされる利点を明らかにしたいと思う。
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