複数ボルト締結体の基本モデルと考えられる円板状単一ボルト締結体を対象として, ボルト頭部が締結時の締結体変形および結合面圧力分布に及ぼす影響について実験的に考察した結果, 次のことが明らかとなった.
(1) ボルト頭部は, 締結体変形の影響をほとんど受けずに, 締結体の変形を拘束する役割をする.
(2) ボルト頭部二面幅の増大は締結体変形勾配をより小さく抑え, 結合面圧力分布をより一様とするとともに, 締結体端部沈み込み量を増大させ, 圧力作用範囲を大きくする.
(3) ボルト頭部高さの増大は締結体変形勾配に対しては影響が小さいものの, 結合面圧力分布をより一様とするとともに, 締結体端部沈み込み量を増大させ, 圧力作用範囲を大きくする.
(4) ボルト頭部二面幅は, 締結時の締結部静的挙動の改善の限界を決定し, 頭部高さは, その限界まで静的挙動を改善する役割をしている.また, この頭部寸法には, 適切な寸法関係が存在し, これを頭部寸法比
H/Bで表すことができ, M8ボルトの場合約0.6である.
(5) ボルト頭部の締結部静的挙動への影響は, 締結体厚さの増大に伴い小さくなるが, 頭部座面圧力による締結体の圧縮弾性変形への影響はなくならない.
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