2016年に公開された日本の劇場版アニメ「君の名は。」は2017年1月、韓国で公開されると360万人を超える観客を動員し、大ヒットとなった。そして多くの韓国ファンがアニメの舞台となった地域をめぐる、「聖地巡礼」に参加した。では、なぜ韓国でこのような動きが生じたのだろうか。
韓国の国産アニメーションとマンガを中心にコンテンツ産業の現状を調査・分析すると、韓国のマンガ業界とアニメーション業界はそれぞれ独立して発展してきたことが分かる。マンガはドラマや映画などの2次創作物として制作されることが多く、それに対してアニメーション業界は個性や芸術性を強調した作品で国内外に高い評価を受けている。こうした特性のもと、地域活性化のためにマンガやアニメーションを活用する取り組みが始まりつつあり、コンテンツツーリズムとの新たな関係が生まれていると考えることができる。
そこで本稿では、韓国でコンテンツツーリズムを促すためには作品のアイデンティティーの確立とターゲットを確実に設定することはもちろん、コンテンツツーリズムの概念を整備し、具体的な政策を展開していく必要がある点に注目していく。
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