1978年に千葉県に発生した水稲のわい化症の発生実態を調査し, 大要次のような結果を得た。
1) 障害を受けたイネは, 草丈が正常株の1/2~2/3となり, 葉色は濃緑色を示し, 分げつの発生が不規則となり, 根は量が少なく褐変していた。
2) 圃場内の発生様相は, コーナー, 畦畔部, 線状, スポット状, 全面の5型に分類できた。
3) わい化症の発生圃場では, 必ずベンチオカーブ剤を使用しており, また全体の70%強の圃場で生わらあるいは牛糞厩肥の投入がみられた。
4) 同一圃場内のわい化症発生株付近の土壌は, 正常株付近の土壌より還元程度が強かった。
5) 発生圃場の土性は壌質, 壌粘質, 砂質にわたり, 湿田から乾田までと幅広く, わい化症の発生と土壌条件との間には一定の関係はみられなかった。
6) わい化症の発生にはベンチオカーブが関与するが, わらの施用条件, 土壌の還元状態との関連が深く, その他の要因として温度, 苗素質, イネの栽培条件, 除草剤の使用条件などが関係して発生するものと推定された。
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