長野県中部地方における肥育牛の尿石症の発生状況を, 排尿障害により松本食肉センターに搬入された症例を用いて調査した.
発生率は, 黒毛和種1.20%, ホルスタイン種0.34%であった. 冬季に多発し, 肥育後期の牛が多かった. 発生農家は多頭飼育の傾向にあった. 発生農家の22.8%が制限給水を実施していた. また, 50.5%は予防剤を使用していたが, 不適正な使用をしていることがうかがわれた.
半数以上の牛が根本的な治療を受けていなかった. そのため, 無尿の牛では発見後の経過の長いものほどBUN値が高い傾向にあった. 無尿の場合, 尿道切開手術に良好な効果が認められた.
尿石の主成分は, 分析したいずれの症例とも, リン酸アンモニウムマグネシウムであった.
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