成人における重症の急性扁桃炎に対するFlomoxef (FMOX) の有効性, 安全性および有用性について検討し, 以下の成績を得た。
1. 扁桃陰窩より分離されたグラム陽性菌11株, グラム陰性菌6株, 嫌気性菌5株に対する MIC
80はいずれも0.39μg/mlであり, FMOXはバランスのとれた強い抗菌力を示した。
2. FMOXの総使用症例は30名であり, 臨床効果の判定では28名, 有用性ならびに安全性の検討では30名を対象とした。
3. 評価対象例28名における臨床効果は著効19名, 有効2名, やや有効5名, 無効2名で, 有効率75%であった。
4. 細菌学的効果はグラム陽性菌67%, グラム陰性菌100%, 嫌気性菌100%, 複数菌感染 100%の菌消失率を示した。
5. 副作用は薬疹1名, 下痢1名で計2名 (6%) にみられた。症状は使用中止により速やかに改善した。
6. 臨床検査値異常は7名 (23%) に認められ, 内訳はGOTとGPT上昇2名, GPT上昇4 名, BUN上昇1名であったが, いずれも一過性であった。
7. 有効性と安全性を勘案して判定した有用性は非常に満足14名, 満足11名, まずまず満足1 名, 不満2名, 非常に不満2名で有用率83%であり, FMOXは重症の急性扁桃炎に対し有用性の高い薬剤であると考えられた。
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