ラット胎仔の外生殖器の発達, 特に陰唇の形成と外生殖器の性分化の時期について観察した。陰唇の形成について―尿生殖ヒダ, すなわち, ヒトでいう
陰核包皮
と小陰唇となるものは, 胎齢20日目の時期に, 生殖結節をほとんど覆うように発達して
陰核包皮
となった。生殖隆起, すなわち, ヒトでいう大陰唇となるものは, 胎生末期までにそのままの位置で平担, かつ不明瞭となった。すなわち, 胎生期のラットには, ヒトに相当するような陰唇は認められなかった。しかし, 陰唇は腟開口時に形成される。このことを考えると, 生殖隆起は, 出生後の陰唇を形成するものと思われた。外生殖器の性分化について一胎齢の17日目において, 雌雄ともに尿生殖ヒダと生殖隆起との間に楕円形の小さな尿生殖口が認められた。この尿生殖口は, 雄のほうが雌よりも大きかった。生殖隆起も, 雄のほうが良く発達していた。また, これに一致して, 肛門と尿生殖口との間の距離は, 雄のほうが雌よりも長かった。すなわち, ラット胎仔の外生殖器に性分化が認められる時期は, 胎齢の17日目であった。
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