1.鹿児島県肝属川の11地点 (図1) において, 瀬の川床への付着藻類を, ある条件設定のもとに採集し, それらの試料によって
生物学
的水質判定を行ない (表2) , 本河川の汚染図 (図2) を作成した。
2.付着性珪藻群集の多様性 (表4) と, 汚濁
階級
との間には, 今回の調査に関する限り明瞭な相関は認められなかった (図3) 。
3.付着珪藻群集相互間の類似度を求め (表5) , 群分析を行なった結果を, 図4にデンドログラムとして示した。その結果, 珪藻群集は6つのグループに大別できる。
4.類似度が高い珪藻群集が生育する水域の汚濁
階級
は, たがいに等しいことが多いが, 群集間の類似度が大きくても, それらの群集は必ずしも同等の汚濁
階級
の水域に出現するとは限らない。したがって, 類似度の大きさは, 汚濁
階級
の相似性の有力な目やすとはなるが, 単に類似度の数値にのみ注目することは避けるべきであろう。群集中の相対頻度の高い種の組成をも, 併せて考慮する必要がある。
5.珪藻の多くの種には, どの汚濁
階級
にも広く出現する傾向はあるが, 群集中の優占度が高い種―相対頻度の大きい種―に関する限り, 水質汚濁に対する適応性には, 各taxonごとに顕著な違いがあるように見うけられる。肝属川に優占的に出現した珪藻について, それらの具体例を示した。
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