この報告では,前報で述べた索張り様式のY型架線で,左右対称形のものをとりあげ,これによってY型架線の設計法を与えるうえの諸問題を検討する。この架線は軌索に関しては前報と同じ方法で操作するが,案内索は,軌索方向によって変わる案内索張力が,その最大時において一定の許容値をとるような長さで,定索長として操作されるものとする。まず支間条件,荷重条件が与えられたときの,案内索長,結合点位置係数など,諸量を求めるための精密算定法を誘導したが,その計算結果から,設計諸量の変化の一般的傾向と,あわせて支間条件が対称形から若干偏倚する場合の諸量の変化状態とを明らかにした。次に,前報の結果から明らかにされた近似的諸関係を利用する簡便なる設計計算法を提示するが,計算結果は,それが実用算定法としておおむね満足しうる精度をもつものであることを示した。これまでの検討から, Y型架線設計上の主要な問題点については,その基本的な性格を明らかにしえたと考える。
抄録全体を表示