東京都目黒区祐天寺に所在する阿弥陀堂は,五代将軍徳川綱吉・八代将軍徳川吉宗の養女であった竹姫が,1724(享保九)年,厄除けの為に造営・寄進した堂宇と伝えられる。寺録にはその由来と合わせ,寄進時,施主竹姫の御髪を収めた石箱が
須弥壇
の下に埋設されたことも記されている。2014年,改修工事のため阿弥陀堂が一時移設されたところ,寺録に記されている通り,
須弥壇
の真下に当たる位置に基壇に埋設された石箱が現れ,その内部から頭髪と板材片,白色の粉塊,懐中鏡ほか若干の遺物を発見するに至った。小稿では,それらの観察所見・分析結果を報告し,将軍家養女の中でもひときわ著名な竹姫の食性と厄除け行為について推測し得た事柄を記す。
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