7432-Sは, 新しいセフェム系の経口抗生物質である。本剤の
食細胞
機能に及ぼす影響, 臨床分離株に対する抗菌力および臨床的効果について検討した。
1) 臨床分離の
Escherichia coli (19株),
Klebsiella pneumoniae (20株),
Pseudomonas aeruginosa (15株),
Stapdylococcus aureus (19株) に対する7432-Sおよびcefaclor (CCL), amoxicillin (AMPC) の感受性を検討した。
E. coliや
K. pneumoniaeに対する7432-Sの抗菌力は, ほとんどがMIC 0.1μg/ml以下であり, CCLやAMPCより優れていた。
P. aeruginosaの大部分の株は, CCLやAMPCと同様に, 7432-Sに対しても高度耐性であった。
S. aureusに対しては. 本剤は感受性不良で, AMPCより劣り, CCLよりはやや劣ったMICであった。
2)
E.coli NIHJ JC-2株を7432-SのSub-MICs (1/2, 1/4, 1/8MIC) で, 37℃の恒温槽中で, 3時間振盪培養した場合, 菌のフィラメント化がみられた。
3) 7432-Sの1/4MICで処理した
E. coli NIHJ JC-2株を用いた全血chemiluminescence (CL) は, 未処理菌に比較して1.36倍高値を示した (P<0.05)。
4) 7432-Sで処理された細菌のCLピーク時間は, 未処理菌に比較して有意に短縮していた (P<0.05)。この結果は, この薬剤によって処理された細菌により, 血清オプソニン活性が亢進することが推測される。
5) 7432-S処理菌による好中球CLは, 未処理菌に比較して, 1.31倍高値を示した (P<0.05)。単球CLも, 有意ではないが, 薬剤処理菌は未処理に比較して1.18倍高値を示した。
6) 臨床的には, 尿路感染症5例, 肺炎2例に, 本剤1回100mgを, 1日3回, 5~21日間経口投与した。成績は, 著効3例, 有効3例, やや有効1例であった。副作用は認められず, 2例において臨床検査値異常が認められたが, 本剤使用との因果関係は不明であった。検査値異常は, GOT, GPTの上昇1例, Hbの減少1例であり, 両方ともに軽度な異常で, かつ一過性であった。
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