川口市と鳩ヶ谷市は, 東京の北側に隣接した市である.我々は, この地域での小学生の三大アレルギー性疾患の有病率と大気汚染の関係について検討した.1996年5月および6月に調査した地域の小学生のアレルギー性疾患の有病率は, 気管支喘息13.5%, アトピー性皮膚炎24.5%, アレルギー性鼻炎および結膜炎22.8%, 蕁麻疹12.4%, 食物アレルギー7.8%, 薬剤アレルギー2.2%であった.この地域の大気汚染の指標として二酸化窒素, 二酸化硫黄および浮遊粒子状物資の濃度について検討した.二酸化窒素による汚染は農村部より住宅地で著しく, 浮遊粒子状物質による汚染は幹線道路の周辺で著しかった.また, 二酸化硫黄は環境基準以下の濃度であった.気管支喘息, アトピー性皮膚炎, アレルギー性鼻炎および結膜炎の有病率は, 大気汚染物質との間には相関が認められず, 人口密度との間にのみ緩やかな相関(それぞれp<0.1, p<0.01, p<0.1)が認められた.
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