茶樹品種系統,茶期,栽培環境,年度による茶生葉の精油成分の組成比をガスクロマトグラフィーで調べた。
1,精油成分の質的な差は少なく,38内外のピークが認められた。
精油成分の組成をピーク面積比で比較すると品種間差は大きく,それぞれの品種の特徴を示すパターンが得られた。すなわち,リナロールの含有割合の高い品種,ゲラニオール,ベンジルアルコール,フェニルエチルアルコールの比率の高い品種などに分類することができた。前者に属するものはキャン種,はつもみじ,さつまべにで,後者はいんど,べにかおり,べにほまれであった。
2,茶期間で最も差の大きかったのはゲラニオールで,ベンジルアルコール,フェニルエチルアルコールも変化の大きい成分と考えられた。すなわち,ゲラニオールは一番茶の含有割合がきわめて高く,三番茶では低かった。反対にベンジルアルコール,フェニルエチルアルコールは一般的に三番茶でその比率が高くなった。リナロール,サリチル酸メチルは茶期差が比較的少ない成分であった。
3.アッサム種と日本種との間で最も差の大きかった成分はリナロールで,アッサム種は日本種よりその比率が高かった。ゲラニオールもアッサム種のほうが高かった。日本種はアッサム種に比べてリナロールオキサイド(II),ベンズァルデヒド,ベンジルァルコールの割合が高かった。
4.栽培環境,年度による精油成分の組成差はあまり大きくなかった。
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