乳牛に多くみられる尿糖排泄の実態をしるために, 1954年より1956年までの期間に新潟県, 長野県, 福島県において尿糖と血糖, 泌乳量, 妊娠月数, 疾病との関連性をしらべ, 次の結論を得た.
1. 尿糖排泄は夏季よりも冬季に多く, また地区により大きな差がみられる.
2. 尿糖排泄と血糖値との間には, とくに関連性がない.
3. 高泌乳牛は尿糖排泄率が高い.
4. 尿糖排泄と妊娠月数との間には関係がなく, いわゆる妊娠性糖尿とは別のもののようである.
5. 繁殖障害, 乳房炎, 二等乳, ケトーシス, 肝蛭症, 消化器疾患など疾病による尿糖排泄の差は認められない.
最後に御指導を賜った吉田支場長, 材料採取に協力された新潟, 長野両県畜産課職員, 長野県更科保健所職員, および下越酪農組合獣医師, ならびに農林省福島種畜牧場職員各位に感謝の意を捧げる.
抄録全体を表示