人工肛門造設後のリハビリテーションの立場から,便を受け入れる器具の問題はとくに重要である.この研究の対象は医学と工学にわたるいわゆる境界領域の問題であるが,これまでのような道具的感覚から脱却して新しい視点に立ち,もっと高い次元で扱うべきである.この観点から構造研究を進めるにあたってプロテーゼの概念を導入し,オペレーションズリサーチの手法をとり入れた.人工肛門プロテーゼの構成要素を5人のパネルメンバーによって30項目選びだし,これから要素分析をして6項目を設定した.(1)清潔性,(2)装着性,(3)適合性,(4)運動性,(5)簡易性,(6)経済性等これらの各項目についてそれぞれ評価の基準をきめ,価置分析をしていくと,プロテーゼはアダプターリング,アダプターカバー,採便袋,丸ゴム腰バンドの4部品になる.さらにプロテーゼ使用面からは(1)常用,(2)入浴用,(3)術後用,(4)就寝用の四種別化の必要があるが(1)と(2)とは1部共通,(3)と(4)は共通できることがわかった.
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