乳児期におけるマイコプラズマ感染症は, 元来, 稀とされていたが諸家による報告が散見されるようになった.今回, 大阪医科大学附属保育所においてマイコプラズマ感染症の集団発生を経験したので, 幼児・学童のマイコプラズマ感染症との比較を行い, 乳児マイコプラズマ感染症の特徴を検討した.
今回経験した乳児マイコプラズマ感染症の臨床所見で, 発熱は38.5℃ 以上の高熱を示すものは少なく (40%15例中6例), 有熱期間も短い (平均3.5日).咳漱期間は, 幼児・学童症例に比べ短い (乳児=平均12.3日, 幼児・学童=平均18.7日) が, 喘鳴を示すものが多く (1歳未満児の6例中4例), 皮膚症状はみられなかった.検査所見では, 白血球数は増加傾向にある (平均10, 837/mm3) が, 左方移動はなく, CRPの上昇は軽度 (66.7%は2.9mg/d1以下) であった.マイコプラズマ抗体は3例を除き上昇はみられず, 寒冷凝集素価は4例にのみ上昇がみられた.胸部X線所見は, 肺紋理の増強程度で幼児・学童にみられる区域に限局した陰影はみられなかった.マイコプラズマ抗体の上昇はほとんどみられなかったが, 咽頭培養ではマイコプラズマ感染症と診断された15例中14例で,
Mycoplasma pneumoniaeが分離された.
抄録全体を表示