本稿では,地点間の非類似度や距離の可視化に有用な,地理的ベイズ多次元尺度構成法を提案する.通常の多次元尺度構成法はこの目的で用いられる手法であるが,その投影は本来の地理的配置と大きく乖離した分かりにくいものとなる場合がある.この問題に対処するため,提案手法では多次元尺度構成法に対してベイズ統計的な地理的制約条件を導入した.これにより,制約条件の強さに関する統計的な規準が得られるため,制約の強さを適切に調整することができる.本稿ではこの手法を都府県間の公共交通による移動時間に適用することで,新幹線や航空機がアクセシビリティに及ぼす影響を可視化した.さらに通常の多次元尺度構成法と比較することにより,提案手法が本来の地理的位置関係に近い投影をつくる,可視化に有効な手法であることが確かめられた.
抄録全体を表示