現在,公営交通事業において過剰投資や非効率経営による問題点が指摘されている。今後は,民間同様の経営効率性を持って,民営化などの組織形態の変更も含めた改革が求められている。
本稿では,このような状況にある公営交通事業の中でもバス事業と地下鉄事業に対し,平成11年度から平成16年度までの年度間におけるマルムクイスト生産性変化指数を計測した。計測結果から,年度ごとに公営バス事業,地下鉄事業ともに各都市のマルムクイスト生産性変化指数にばらつきがあることがわかった。そして,マルムクイスト生産性変化指数の程度に影響を与えている要因を実証分析において検討した結果,公営バス事業の生産性の変化には,補助金が生産性変化指数を低下させる可能性,また経営基盤強化のための経営計画の実施が効果的である可能性が実証分析により示唆された。また,公営地下鉄事業については委託の促進が生産性変化に効果的である可能性が示唆された。
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