今回われわれは,固有肝動脈(PHA)と胃十二指腸動脈分岐部(GDA)の総肝動脈に存在する肝動脈瘤の症例を経験したため報告する.症例は72歳,男性.血管造影で,病変はGDA,PHAの分岐部に25mmの紡錘状動脈瘤として描出された.予防的治療の適応と判断し,動脈瘤辺縁のGDAからPHAへの経路を閉塞しないようframingした後コイルで塞栓した.塞栓後の造影では上腸間膜動脈経由で肝への血流が保たれていた.
症例は52歳男性.総胆管結石にともなう急性胆管炎に対して内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)関連処置を施行し,門脈血栓症合併に対してエドキサバン内服を開始した.1カ月後,黒色便を主訴に来院,造影CTにて肝動脈A7に仮性動脈瘤を認め,肝仮性動脈瘤の胆管穿破による胆道出血と診断し,緊急で経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)を施行した.急性胆管炎後に肝仮性動脈瘤が出現し得ることを念頭におく必要がある.
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