鈍的外傷による脾損傷の保存的療法中に脾内仮性動脈瘤を生じた症例を報告する.
33歳女性,交通事故にて搬送,肝外側区損傷(IIIa)と脾損傷(IIIa)を認めた.保存的療法で安定した状態であったが経過観察のため施行した第9病日のCTで,脾内にやや造影効果の強い領域があり,超音波検査では低エコーレベルの嚢胞状の領域として描出,第16病日にはdynamic CT,超音波検査で増大した血栓を伴った動脈瘤と確認された.第23病日に動脈塞栓術(TAE)を施行,その後問題なく経過しているが約10カ月後もCTで造影されず低エコーレベルの小領域が脾内に認められた.
脾内仮性動脈瘤は遅発性脾破裂の一因といわれている.脾損傷で保存的療法や脾温存手術を選択した場合,計画的な画像診断による経過観察で破裂前に発見治療することが望まれる.
抄録全体を表示