日本産キツネノボタン類の交配様式を明らかにするために開花習性,交配実験,P/O比(花粉数と胚珠数の比)を比較した。花弁の開閉運動:キツネノボタン,コキツネノボタン,ケキツネノボタンの花弁は2-3日間,朝開き夕方閉じた。オトコゼリは1度開くとそのまま閉じることはなかった。雌雄生殖器官の成熟時期:キツネノボタンは雌雄同熟,コキツネノボタンとケキツネノボタンは雄性先熟,オトコゼリは雌性先熟であった。自家和合性:4種とも自家和合性を示した。交配様式:キツネノボタン,コキツネノボタン,ケキツネノボタンは主に自家受粉によって,オトコゼリは他家受粉によって種子ができた。この様に,互いに近縁な4種は有性生殖に関連した性質が分化していた。前3種においては自家受粉が生殖隔離を維持している1つの要因であることが考えられる。
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