中高年期の食生活状況を知る目的で, 昭和61年6~7月に本学学生の父親73人, 母親73人を対象に, 朝食, 昼食, 夕食, 間食別の実態調査を行い, 次の結果を得た。
1) エネルギー, たん白質, ビタミンの摂取量は, 一般に両親とも栄養所要量を充足していた。しかし, カルシウムの充足率は70%前後と低かった。
2) 朝食は, テレビ・新聞を見ながら, 短時間に摂取する傾向がみられた。1日の栄養所要量に対する朝食からの各栄養素の摂取割合は, 20~30%であった。因子分析を行った結果, 乳製品が麦類と高い相関を示し, 米類と強い負の相関を示すことを考え合わせて, 抽出された第1因子は, 両親とも米食―パン食の傾向を示す因子と読み取れた。
3) 昼食は, 両親ともカルシウム不足が顕著であった。因子分析をした結果, 父親の第1因子は副食の欧米風―和風の傾向を示す因子であり, 母親の第1因子は米類―麦類傾向を示す因子と推察した。
4) 夕食からの父親のエネルギー摂取量の平均は916kcalで, そのうちアルコール摂取によるエネルギー量は123kcalであった。また, 夕食の各食品群間の相関は全体に弱く, 因子分析を行った結果得られた因子の因子寄与率は低いので, 典型的な因子とはいいがたいが, 父親の第1因子として抽出されたものは, 副食の和風―欧米風の傾向を示すものであり, 母親の第1因子は米類―麦類の傾向を表す因子と考えられる。なお, 父親のアルコール類摂取に関する因子は, 第2因子として取りあげることができた。
5) 3日間のうち1回以上間食をとった者は約8割であり, 1日の栄養所要量に対する間食からの各栄養素の摂取割合は5~10%程度であった。
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