東広島市の水田において,1981, 1982年にアメリカカブトエビの個体数調査を行った。
1) 発生前の土壌中卵数には差がなかった。しかし,1982年は1981年に比べて初期発生数が1/5∼1/10であり,これは高水温によるふ化抑制と考えられた。
2) 個体数の減少傾向は,密度独立的であった。
3) 各個体の生長は密度依存的であり,密度が低かった1982年のほうが生長が速く,大きな個体が得られた。
4) 水田に産下された卵の密度は1981年と1982年で大きな違いはみられなかった。
5) 注水・代かき後もふ化せず,次世代へ繰り越す卵の割合は,約60%で安定していた。
6) 以上の結果より,アメリカカブトエビは,毎年の発生個体数を安定にする性質をもつが,外的な環境要因により,発生数のふれ幅が大きくなるものと推測した。
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