初等国語科における俳句創作は,五・七・五の定型や季語等の指導に止まりがちであり,自身の命と自然界の命との深い交感の一瞬を捉えるという俳句の本質へと導くための方法が十分に開発されていない。そのため本稿では,初等国語科における俳句創作の指導方法を探究するために「児童の言語生態研究会」の実践を考察した。「児童の言語生態研究会」は,指導の方法として「二つの事物の取り合せ」と「題詠」を用いている。一つ目の方法における要点は,二つの事物によって構成された絵画を示すことによって,二つの事物を取り合せて「ハッとする一瞬」を描き出すという俳句創作の本質を視覚的に理解させることである。また二つ目の方法における要点は,「雲の峰」など児童のイメージを活性化する季語を与えて創作させることである。考察の結果,児童の俳句創作を本質的なものに導いていくために,これらの方法が有効に機能することが明らかになった。
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