慢性副鼻腔炎に伴ってみられる
鼻茸
組織中には種々の炎症性細胞が浸潤していることが知られている.近年のわが国における
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には, 好酸球が浸潤細胞の中で主要なものであることが多くなってきた.慢性副鼻腔炎患者の
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組織における好酸球の浸潤には, C-Cケモカインのひとつであり好酸球や好塩基球を局所に選択的に集積させる作用を有するとされているeotaxinが関与していることが考えられる.しかしながら,
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組織におけるeotaxinに関する研究は非常に少なく, その作用は不明な点が多い.本研究では, 慢性副鼻腔炎患者の
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組織の好酸球浸潤におけるeotaxinの関与を明らかにするために, 抗eotaxinポリクロナール抗体や抗major basic proteinモノクロナール抗体などを用いた免疫組織学的方法により
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組織中のeotaxinの発現とeotaxin陽性細胞の同定を検討した.その結果, 正常上顎洞粘膜, 慢性副鼻腔炎単独症例やアレルギー性鼻炎を合併した慢性副鼻腔炎症例の
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に比べ, 気管支喘息を合併した慢性副鼻腔炎症例の
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ではeotaxin免疫陽性細胞が多く認められ, それらの陽性細胞は, ほぼ好酸球と一致していた.また, 血管内皮細胞の一部にもeotaxinの発現がみられた.このことから,
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組織においてeotaxinは主として好酸球から産生され, 好酸球の
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への集積に関与していることが示唆された.
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