固形がん分野ではおもに標準治療が終了した患者を対象に,2つの遺伝子パネル検査が保険償還されている。一方で,造血器腫瘍に特化した遺伝子パネル検査は未だ存在せず,早期の臨床実装が期待されている。固形がんと造血器腫瘍では,変異をきたす遺伝子の種類が異なるだけでなく,検査の使用用途が異なる。具体的には,固形がん分野では遺伝子パネル検査が分子標的薬の適応を決める目的でのみ使用されるのに対し,造血器分野では検査から得られるゲノム情報が「治療法選択」に加えて,「診断」「予後予測」において有用である。本稿では
固形がん領域で先行している遺伝子パネル検査が造血器腫瘍の領域にも近い将来導入される見込みである。遺伝子パネル検査は網羅的な変異検索を行う検査の性格上,本来の検査目的とは異なる変異を検出することがありこれを二次的所見という。さらに,疾患の発症素因を先天的に保有していることが判明することもある。これらの生殖細胞系列バリアントについて,検出方法,同意取得,開示の範囲,遺伝カウンセリング方法など,今後解決していかなければいけない問題は多岐にわたる。造血器腫瘍領域では同種造血幹細胞移植を行うため,ドナーの生殖細胞系列バリアントを検出する可能性があり問題はさらに複雑となる。本稿では
STEM/STEAM 教育は近年国内外で大きく注目されている.一方で日本の幼児教育における実践的研究はまだ少ない.本発表においては,日本の幼児教育の特性である「遊び」を通しての総合的な指導に着目し,既報の事例研究を基に,幼児がクラフト紙を用いて遊ぶ過程で多様なプログラミング的思考の萌芽が見られること,モンテッソーリ教育園において園児が自ら選んだ生命科学に関する活動を行う過程で,算数・数学の基礎的概念や,表現活動につながる学びがあること,親や保育者との関係の中で自発的な活動に進展が見られたり,科学的思考の萌芽が精緻化されたりすること等を示した。これらをふまえ,日本における幼児向けSTEM/STEAM 教育の在り方について検討し,(1)幼児が充実感や満足感を得られる「遊び」としての活動の設定, (2)幼児が主体的に遊ぶ過程で科学的な気づきが得られうる環境構成, (3)幼児の発見に寄り添い発展を支援する保育者・教育者,を重要な要素として示した.
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