住民主導型交通は,住民によって管理される地域共有資源「コモンズ」としての側面を有する.本研究の目的は,Ostromのコモンズ管理論の視座から住民主導型交通を捉え,住民の協力行動とその持続性についての考察を行うことである.具体的には,住民主導型交通を運営する
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つの地域の住民組織へのヒアリング調査を行い,Ostromのコモンズ管理論の視座からその実態を定性的に把握する.そして,把握した実態をコモンズ管理の指針であるコモンズ設計原理から評価し,住民の協力行動とその持続性について考察する.考察として本研究は,住民主導型交通の運営方式により,コモンズ設計原理から適合しない状況が発生することを指摘し,その状況を改善する取り組みを行う環境づくりの重要性を指摘した.
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