伊豆沼・内沼に分布する主要な抽水植物の現存量を評価するため,その被度(C)と自然高(H)を乗じた乗算優占度を用いて地上部現存量を推定する方法を検討した.湖岸や隣接水域において純群落を形成していたアシカキ,ショウブ,ヒメガマ,マコモを対象に,単位面積中の被度と自然高を測定し乗算優占度を算出した.また,計測後に調査区内の株について,地上部を刈取り,乾燥重量を測定した.測定結果から得られた乗算優占度を説明変数,乾燥重量を目的変数とした回帰分析を行ったところ,修正済み決定係数は0.60から0.91であり,当てはまりは良好であった.現在,伊豆沼・内沼では失われた抽水植物帯の復元事業が実施されている.復元事業で植栽した植物の現存量を測定する際,今回作成した回帰式を用いれば,非破壊的に現存量の推定を行うことが可能である.
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