北米電子機器業界におけるハイブリッド技術の使用割合は高度に達しており, その新規用途への展開は拡大の一途をたどっている。その主なものとしては, 軍事用途の銅材料を用いたマザーボード, 電話回線中継回路, 自動車エンジンコントロール回路等が注目される。
一方ハイブリッドメーカーはこれに呼応して, ますます複雑多岐化するIC技術に対応しつつも, 新規用途を目指し個々の面で努力改善を重ねている。一般傾向としては,
○基板サイズの拡大化―基板のコスト低減化と基板品質の向上に伴い, 多数個どり基板サイズの拡大化傾向がより顕著になった。5年前では2.5×5cmが標準であったが, 今日では10×12.5cmが主流である。一個一個の基板サイズも拡大化傾向にあり, 軍事用では15×20cmが普通である。通信機器, 自動車ではまだ7.5×10cmが主流である。
○高密度印刷―5年前は500μm線幅は主流であったが, 高信頼性ハイブリッド分野において改良がすすみ今では125μm線幅がごく普通になっている。商業用分野においては, 250μm線幅が使用されているケースもまだ残っている。
○多層配線回路―高密度化を図るため, 今日の軍事用およびデータプロセス用分野では, ほとんど多層技術 (金属層にして6層以上) が貴金属, 卑金属システムを問わず採用されている。通信機器, 自動車関連では1層が未だ主流だが, 新規設計では多層化傾向 (2~4層) が強い。
○高導電性材料―貴金属システムでは, PdあるいはPt比率を下げる方向にあり, 一方で, 銅システム採用への方向が出ている。
○高熱伝導性基板材料―IC技術の高度化に伴い基板の放熱性が一般関心事になっている。アルミナ以外の材料の基板への応用研究がすすみ, なかでも窒化アルミ基板は注目を浴びている。
○低温硬化型厚膜材料―
K値のより低い材料, あるいはプロセスのコスト低減化を目ざして低温硬化型材料の開発がすすんでいる。
北米におけるハイブリッド市場の規模は大きく (約35億ドル) 常に力強い成長を続けている。この市場は主に高信頼性用途分野によって支えられており (20億ドル以上) 新技術開発面では, リーダー的役割を果している。商業用分野においても, 今日ではその進歩は顕著で, 特に通信機器および自動車分野においてはおおいに高度ハイブリッド技術が採用されるにいたっている。
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