0打ち切りPoisson分布など,一般に1パラメータ指数型分布の最尤解を求める近似式について述べる.観測データxから母集団のパラメータyを最尤推定しようとする際現れる超越方程式の解は,個々のxに対して適当な初期値から出発するNewton法を用いれば求めることができる.しかし,相対誤差3桁程度の近似値でよければ近似式の方が簡単であり,さらに高精度の解を必要とする際Newton法の非常によい初期値となる.ここで与える近似式はパラメータyの符号により場合を分け,それぞれ分子3次分母2次と分子3次分母3次の有理式で,実用的な範囲で相対誤差が一様最良化されている,またxが1のごく近い範囲に対してはx-1の2次の多項式で近似する.いずれも相対誤差は.2×10-3以下である.Newton法では初期値のとりかたが難しいが,この近似式による値を用いれば,精度一杯求めるのに単精度では1回,倍精度でも2回の反復でよい.
この種の一様最良化有理関数近似を求める手法に,いわゆる"山内の折りたたみ計算法"と呼ばれるものがある.計算機が発達した現在ではこの手法に依らなくても解は求められるが,性質のよい関数に関しては非常に強力な方法なので,ここで扱う関数を例にその手法を紹介する.
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