前報に引き続き,岡時期•同一場所の植生と傾斜のelevationとの関係について検討した結果,次のような成績が得られた.
1. 傾斜のelevationの間に相関を認めたのは5%水準であるが,短草類が低位に向かつて増大する傾向を認め,ワラビは2%水準で同様の傾向を示した.またマメ科は,全体では有意を示さなかつたが,草本のみの場合は,低位に向かつて増加をみせた.
2. 植生は,長草類,短草類,ワラビ,雑灌木,マメ科,草本マメ科,ササ,餘剰草(キクを主とする一年生•二年生雑草)に単純化して検定した.野草収量との間には,長草類が5%水準で有意な相関を示した.土壌要因との間には,長草類が孔隙率と高い相関を示し,マメ科が容水量と1%水準で有意な相関を示したほか,顕著な傾向は見当たらなかつた.しかしワラビが全窒素,全炭素(腐植),全燐酸,容水量,孔隙率のいずれとも1%水準以上で有意な相関を示したのは意外であつた.これは火入れ,放牧,刈取り等によるsuccession妨害に基づく結果と,ワラビの土壌養分吸収率が低いため,このような見せかけを表わすものと考えられる.
3. 傾斜のelevationと植物共同体の類似度を検定した結果ではelevetionによつて育意な差が示された.
4. 長草類の被度を含めた場合,野草収量の推定は,次式によつて行なわれる.
Y=2,6229+0.0387X1+0.9952X2+0.0108X3
また5変量から求めた場合は,次式により,やや精度が高まつた.
Y=4.0683-0.0115X1+0.1045X2+0.0101X3+0.0481X4
抄録全体を表示