長野県南部の北部木曾地方(中央アルプス北方)の領家変成岩類を記載した。
この地方は,領家帯の北西の端にあたり,非変成古生層から,高変成度の片麻岩まで,連続的に分布している。変成帯は,鉱物学的には,黒雲母の晶出で始まり,最高変成度のところには,珪線石や珪灰石などが現われる。
変成分帯は, Ia, Ib, Ic, IIa,IIbおよびIIIの6帯に分類される。このうち, Ia~Icの帯は,従来あまり記載されていなかつた,(領家帯としては)低変成度の変成岩である。
なお,分帯は,一種類の源岩からの変成岩の観察によるものではなくて,三種類の岩石,つまり粘板岩,玄武岩(いわゆるシャールスタイン)および石灰質岩石にあらわれる鉱物学的な観察によつたものである。
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