GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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ENDOSCOPIC SUTURING: THE NEW FRONTIER OF THERAPEUTIC ENDOSCOPY
Hiroyuki AIHARA
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2019 Volume 61 Issue 5 Pages 1095-1108

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要旨

外科領域における縫合(suturing)は基本的で必須な手技であるものの,軟性内視鏡領域での縫合技術開発の困難さからわが国では現在,日常診療で使用可能な内視鏡的縫合デバイスが存在しない.米国ではOverStitchおよびIncisionless Operating Platformが現在使用可能であり医原性消化管穿孔の閉鎖,内視鏡的全層切除術,難治性慢性消化管瘻孔の閉鎖,ステントの留置固定,そして内視鏡的肥満治療など非常に多岐にわたり活用されており,従来外科治療の適応であった様々な疾患に対しても軟性内視鏡手術(flexible endoscopic surgery)により治療を完遂できるようになってきている.内視鏡的縫合術(endoscopic suturing)は軟性内視鏡手術の基本手技であり,上記の内視鏡治療を施行する上で必須な手技である.軟性内視鏡先進国のわが国で,このような内視鏡的縫合デバイスが使用できる日がすぐに到来し,さらに新しい先進的な治療技術が生まれることを期待したい.

Ⅰ 緒  言

消化器外科領域において縫合(suturing)は基本的で必須な手技であり,その目的は消化管や膵胆管の吻合,腹壁の閉鎖など多岐にわたる.手術手技が開腹手術から腹腔鏡下手術,ロボット手術へと発展を遂げるに伴い,縫合技術も従来の手縫い縫合からステープラーなどを用いた器械縫合,そしてロボットを用いた繊細な縫合へと変化してきた.一方で軟性内視鏡(flexible endoscopy)領域では内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection;ESD) 1),2や経口内視鏡的筋層切開術(per-oral endoscopic myotomy;POEM) 3などわが国で生まれ現在世界的な普及を見ている軟性内視鏡外科手技(flexible endoscopic surgery;FES)があるにも関わらず,残念ながら今の所一般臨床で使用可能な軟性内視鏡用縫合デバイスは存在しない.その技術的要因として,軟性内視鏡の対象領域である消化管腔は消化管外科の対象領域である腹腔と比較してworking spaceが狭くtriangulationが困難であること,軟性内視鏡には数mmのチャンネル径しか与えられておらずそのスペースを利用した縫合装置の開発が困難であること,軟性内視鏡は腹腔鏡手術用硬性デバイスと比較して軸が一定でなく,大きな空間を利用した回転操作である縫合手技が困難なこと,また社会的要因としてわが国では新規医療機器の認可が欧米と比較し遅れている 4ことが挙げられる.

一方で米国では,この十数年間にわたり軟性内視鏡用縫合デバイスの技術開発がめざましく進んだ.2004年にJohns Hopkins UniversityのAnthony Kallooらがnatural orifice translumenal endoscopic surgery(NOTES) 5のコンセプトを提唱した.NOTESは経消化管,経膣ルートを用いた新たな内視鏡的低侵襲手術として期待されたが,NOTESにおける腹腔内へのエントリーポイントを確実に縫合閉鎖する技術・機器開発がこの時期に求められ,多くの研究費が投入された.このことが米国における縫合デバイスの開発を加速させた一因である.また米国では近年,軟性内視鏡用縫合デバイスを用いた内視鏡的肥満治療が脚光を浴びており,その領域への内視鏡関連企業の参入が盛んになっている.

本稿では筆者が米国で経験している内視鏡臨床の実際を踏まえ,最近の文献報告などを含め現在の米国における内視鏡的全層縫合術につき解説したい.

過去に米国または米国外で開発され実際に使用された軟性内視鏡用縫合デバイスとしてはEndoCinch(Figure 1 6およびEagle Claw(Figure 2 7が挙げられる.しかしいずれのデバイスもその操作性および安全性に問題があり,広い臨床使用には至らなかった.その後研究開発が重ねられ,現在米国ではOverStitch(Apollo Endosurgery, Inc., Austin, TX, USA)およびIncisionless Operating Platform(USGI Medical, Inc., San Clemente, CA, USA)がFood and Drug Administration(FDA)により認可され,広く臨床使用されている.

Figure 1 

EndoCinchデバイス(文献6より抜粋).

Figure 2 

Eagle Clawデバイス(文献7より抜粋).

OverStitch(Figure 3)は米国のApollo Endosurgeryから販売されているダブルチャンネル内視鏡専用のシングルユースデバイスである.OverStitchのデザインの優れている点は,外科の湾曲針のように作動する縫合アームとneedle driverとの間のアンカーの受け渡し,アンカーのリリースなどすべての機能がこの先端部分に集約され(Figure 3-a),縫合に必要なすべてのステップが内視鏡による直視下に施行可能な点である 8.一方でこの縫合アームの基部は内視鏡の外を通るワイヤーを通じ,内視鏡の鉗子孔直下部にマウントされるハンドルに直結し(Figure 3-b 青矢印),ハンドルの開閉により縫合アームが1対1で開閉する.使用可能な糸は用途に応じ非吸収糸(2-0 Polypropylene)および吸収糸(2-0 Polydioxinone)2種類の選択肢があるが,一般的に非吸収糸が用いられることが多い.結節縫合,巾着縫合,連続縫合など臨床用途に応じ様々な縫合パターンで縫合を行うことが可能である(Figure 4).縫合のステップとしてはまず,糸先端のアンカー部分をneedle driver先端に装填し,needle driverのボタンを押下することでアンカーがリリースされ縫合アームにアンカーの受け渡しがなされる(Figure 5).次にもう一方の鉗子孔から挿入したHelix(Figure 3-a 赤矢印)を用い,縫合対象領域の消化管壁をデバイス内に牽引する.そしてアンカーが装着された縫合アームを閉鎖し消化管壁全層を貫通させ(Figure 6),最後にneedle driverでアンカーの受け取りを行う(Figure 7).これにより1針の全層縫合が完遂される.縫合アームが弓状にデザインされているため,縫合の際にアームの角度を調整することにより任意の深さおよび間隔をとることが可能である.縫合終了時にはCinching device(Figure 8)を挿入し糸を締め上げる.このデバイスを用いることで糸の切離および固定が一度に可能であり,煩雑な糸の結紮切離は一切必要ない.すなわち一連の縫合操作が一人の内視鏡医により可能であり,この点もOverStitchのデザインの優れている点である.このデバイスの登場により,従来外科治療の適応とされてきた様々な病態に対し軟性内視鏡治療の適応範囲が大幅に拡大した.

Figure 3 

OverStitch(Apollo Endosurgery, Inc., Austin, TX, USA).

a:デバイス先端部分.矢印:Helix(これを用い消化管全層をデバイス内に引き込み縫合を行う).

b:OverStitchのコントロール部分.鉗子孔の直下にマウントされ,術者が一人で縫合を行うことが可能である.

Figure 4 

OverStitchで可能な様々な縫合パターン(文献18より抜粋).

Figure 5 

Needle driverから縫合アームへのアンカーの受け渡し.青いボタンを押下することでアンカーがリリースされる.

Figure 6 

OverStitchによる全層縫合.Helixを用い消化管全層をデバイス内に引き込むことで縫合アームを全層に貫通させることが可能となる.

Figure 7 

縫合アームからneedle driverへのアンカーの受け渡し.このステップで1針の全層縫合が終了する.

Figure 8 

Cinching device.Needle driverを抜去しcinching deviceを挿入.術者が縫合糸にテンションを掛けつつ助手がcinchingを行う.このステップで糸の切離および縫縮が同時になされる.

Ⅱ 医原性消化管穿孔の縫合閉鎖

内視鏡施行時の医原性消化管穿孔は,時に重篤な合併症を併発することから安全で速やかな管理が必要である.消化管穿孔に対しては従来の止血用through-the-scope(TTS)クリップやover-the-scopeクリップ(OTSC),留置スネアを用い内視鏡的な管理が可能であったという報告が見られる 9),10が,大きな穿孔や解剖学的にクリップ操作が困難な領域では安全性・確実性を優先し外科的穿孔閉鎖が施行されてきた 11.しかしながらOverStitchを用いることでこのような消化管穿孔の内視鏡的縫合閉鎖が可能である.われわれのグループでは内視鏡施行時に発症した医原性の大きな空腸および胃穿孔2症例に対しOverStitchを用い漿膜側を含めた連続全層縫合(figure-of-8 stitch)を行い,穿孔部の内視鏡的縫合閉鎖を施行した(Figure 9).両症例とも翌日の造影上リークが見られず,感染兆候もなく同日退院した 12.前述のごとくOverStitchでは,Helixを用いることにより穿孔部の漿膜側の消化管壁を含め全層縫合することが可能であり,これが既存のクリップを使用した閉鎖法と比較した場合の大きな利点である.Kantsevoyら 13は,21例の医原性大腸穿孔症例に対し止血クリップまたはOverStitchで穿孔部の内視鏡的縫合閉鎖を施行した.クリップ閉鎖を施行した5例中4例では腹膜炎を併発し手術加療が必要で,残り1例ではOverStitchでの追加閉鎖が必要であった.しかしながらOverStitchによる内視鏡的縫合閉鎖を施行した16例中14例では腹膜炎兆候が見られず,抗生剤投与による保存的治療が可能であった.残り2例では術後腹痛が見られたため腹腔鏡下に観察するも腹水や閉鎖部の哆開が見られず,外科的追加治療が不要であったと報告している.

Figure 9 

Figure-of-8 stitch(8の字縫合)の模式図(文献12より抜粋).

Ⅲ 内視鏡的全層切除術への応用

2017年に発表されたAmerican Society for Gastrointestinal Endoscopy(ASGE)のガイドライン 14によれば消化管壁第4層由来,2-4cmで増大傾向にある消化管粘膜下腫瘍には内視鏡的全層切除術(endoscopic full thickness resection;EFTR)を含めた局所切除が勧められている.筋層由来の上部消化管の粘膜下腫瘍に対しては,トンネル下切除(per-oral endoscopic tumor resection;POET 15,submucosal tunneling endoscopic resection;STER 16)が解剖学的な位置などから困難な症例がEFTRの適応になり得る.EFTRの手技としてはまず,局注後にESDナイフを用い病変周囲に全周性の粘膜切開をおき粘膜下層および筋層を露出する.その後ニードル型のESDナイフで直接筋層に切り込みを入れ腹腔内への穿孔を確認したのち,ITナイフ(Olympus America,Center Valley,PA,USA)を用い全周性に筋層漿膜を切開し病変切除を終了する.粘膜下腫瘍の被膜周囲に結合組織を残す層で切除を行えば,基本的に腫瘍細胞の腹腔内播種の危険性は少ないと考えられている(Figure 10 17.この方法の利点としては粘膜下層トンネルを利用しないため病変の大きさに関わらず腫瘍の完全切除が可能な点が挙げられるが,欠点としては胃壁の全層欠損部が大きくなると送気による視野確保が困難になる点,大きな動脈の分枝に当たった場合に予期せぬ大出血にあうリスクが挙げられる.欠損部の閉鎖にはより閉鎖性の高い全層連続縫合が望まれるが 18,手技的に困難な場合には結節縫合に変更することも可能である.

Figure 10 

a:壁外および壁内発育型の粘膜下腫瘍.

b:切除標本.上方:粘膜側,下方:漿膜側.

c:全層の壁欠損.

d:OverStitchによる縫合閉鎖後(文献17より抜粋).

Ⅳ 難治性瘻孔の閉鎖

長期留置したpercutaneous endoscopic gastrostomy(PEG)チューブ抜去後や外科的吻合部縫合不全の治癒遅延などにより,難治性瘻孔が発生し得る.従来このような状況ではTTSクリップやOTSC 19,心室中隔欠損閉鎖用のデバイス 20,フィブリン糊の使用 21などが試みられてきたが,OverStitchによる内視鏡的な瘻孔の縫合閉鎖の成功例も報告されてきている 22)~25.われわれのグループでは瘻孔周囲粘膜にESDナイフで深い全周性切開をおき筋層の露出を行った上で筋層-筋層縫合閉鎖を行う方法 26,および瘻孔自体を全層的に切除し皮膚側と胃側の縫合閉鎖を別個に行い瘻孔閉鎖に成功した症例 27を報告している.

Ⅴ ステント固定への応用

食道ステント留置後の逸脱予防は,食道狭窄患者のquality of life(QOL)を守る上で重要な措置である.従来用いられてきたTTSクリップはステント固定のための把持力が十分でない場合が多いが,OTSCはステント固定に有用であるという報告が見られる 28

米国ではステントの固定にOverStitchによる縫合固定が頻用されている 29),30.食道ステントの留置後,OverStitchを用いステントの口側端に1針ずつ,2-3カ所の結節縫合固定を行う(Figure 11).この際の縫合の深度であるが,粘膜のみを掛けた場合には縫合糸による粘膜の裂傷が起き後にステントが逸脱しやすいことから,筋層までの全層縫合を施行することが勧められている 31.しかしながら食道隣接臓器の損傷予防も必要であり,筋層のみに糸を掛ける慎重な深度選択が必要である.OverStitchを使用することのメリットとしては,良性食道狭窄の場合で症状が改善しステントが不要になった際に,縫合糸を切離することで固定糸およびステントを容易に抜去できる点が挙げられる.

Figure 11 

OverStitchによる食道ステントの固定.通常2-3針固定を行う.

Ⅵ ESD後の粘膜欠損部閉鎖

OverStitchによる連続縫合により,その大きさに関わらずESD後の粘膜欠損部の内視鏡的な完全閉鎖が可能である.KantsevoyらはESD後の粘膜欠損部の縫合閉鎖により,術後入院期間を短縮できたと報告 32している.一方でわれわれのグループでは従来よりESD後の粘膜欠損部の縫合閉鎖は行っておらず,全例当日帰宅させている 33.十二指腸ESD症例は遅発穿孔のリスクがあることから全例OverStitchで閉鎖を行う 34),35ものの,入院管理は行っていない.しかしながら後出血により再入院が必要であったのは全体の2.7%の症例のみで,内視鏡による止血措置が必要であったのは1%に満たなかった.ESD後の縫合閉鎖が必要かに関しては,今後前向き比較試験が必要である.

米国では繊維化の強い上皮性病変に対し,敢えて困難なESDを行わずEFTRを施行しOverStitchでの閉鎖を行っている施設も一部に見られるが,このような上皮性腫瘍の場合,腫瘍細胞の腹腔内への播種のリスク 36が強く危惧される.この点に関しても今後の検討が必要である.OverStitchを用いた腫瘍の腹腔内露出を伴わない新たなEFTRの方法が近年報告され 37,臨床への応用が望まれる.

Ⅶ ESDでのカウンタートラクション法

ESDでは現在まで糸付きクリップ 38やS-Oクリップ 39など,有用性の高い様々なトラクション法が活用されてきた.われわれの施設ではOverStitchを用いたSuture-pulley法の有用性を報告している 40.この方法はFigure 12の如く,OverStitchを用い1針目を病変対側壁のやや肛門側,2針目を粘膜全周切開後の病変口側に掛け,糸付きクリップ法と同様に糸の牽引によりトラクションを得る方法である.anchoring pointがS-Oクリップ法と同様に病変の対側肛門側にあり,糸付きクリップ法と同様にトラクションの張力の調節が可能である.当施設ではESD未経験の消化器内科指導医およびフェローに対し前向きランダム化試験を行い,Suture-pulley法を用いることで有意にESDの手技時間を短縮することが可能であることを示した 41.トラクションに使用した糸は回収し,必要性に応じ粘膜欠損部の縫合閉鎖に再利用することができるため,臨床的にも有用な方法であると考えている.

Figure 12 

Suture-pulley法によるESDのカウンタートラクション.病変対側壁にanchoring pointが存在し,大きな術野が展開できるのがメリットである(文献41より抜粋).

Ⅷ 内視鏡的肥満治療への応用

米国では近年,肥満人口がさらに増加し外科治療適応の肥満患者の約99%が手術加療を受けられていない状況である.手術による合併症率・致死率が高い外科的肥満治療を鑑み,低侵襲で代替療法となり得る内視鏡的肥満治療の開発が求められている.われわれのグループでは以前,胃空腸バイパス術後の吻合部径が肥満治療の術後体重増加と有意に関連していることを報告した 42.その後胃空腸バイパス術後の開大した吻合部にOverStitchを用い巾着縫合(purse-string transoral outlet reduction;TORe)を行い縫縮することで,体重減少だけでなく血圧やHbA1cのような肥満合併症の改善が得られることを示した 43.われわれは現在,肥満手術術後の体重増加患者に対し,積極的にTOReを行っている.

また米国では現在,肥満患者に対して腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(Laparoscopic Sleeve Gastrectomy;LSG)が多く施行されているが,これをOverStitchを用い経口的に行うEndoscopic Sleeve Gastroplasty(ESG)が現在脚光を浴びている(Figure 13 44.2018年に報告された国際多施設共同研究 45では112名の患者にESGを施行し,術後6カ月の時点で86.5%の患者で25%以上の余剰体重の減少(excess weight loss;EWL)が得られたと報告している.

Figure 13 

OverStitchを用いたendoscopic sleeve gastroplasty.

a:胃前庭部肛門側前壁→大彎→後壁の順に全層性に糸を掛け口側にらせん状に縫合を行っていく.

b:最終的に腹腔鏡下スリーブ状胃切除術と同様の効果が期待できる.

一方で,USGIが販売している全層縫合用デバイスであるIncisionless Operating Platform(Figure 14)もendoscopic primary obesity surgeryに用いられている 46.このデバイスはg-Prox(縫合デバイス),g-Lix(コークスクリュー鉗子),Transport(軟性トロカール)からなるシングルユースデバイスである.このデバイスはOverStitchとは異なりいわゆるひだ形成(plication)用デバイスである.g-Lixを用い筋層を牽引しさらにg-Proxの大きな鉗子で消化管壁全層を把持しニードルを貫通させg-Cath EZ Suture Anchorがデリバリーされるシステム(Figure 15)により消化管壁全層の確実なひだ形成が可能であり,これを繰り返すことにより管腔縮小術がなされる(Figure 16).このデバイスを用いたPrimary Obesity Surgery Endolumenal(POSE)procedureの米国内多施設ランダム化比較試験 47では胃穹窿部に8-10カ所,胃体部に3-4カ所のplicationを行い,術後6カ月の時点でのEWLは22.3%で,shamコントロールと比較して有意な体重減少が得られたと報告している.このデバイスは前述の如くひだ形成に特化した全層縫合デバイスであり,OverStitchとは異なる適応疾患への使用が期待されている.

Figure 14 

Incisionless Operating Platform(USGI Medical, Inc., San Clemente, CA, USA).手元の操作部でコントロール可能な軟性トロカール(TransPort)には4つの鉗子孔が存在しここからg-Prox,g-Lix,および細径内視鏡を挿入する.

Figure 15 

g-Lixを用い消化管全層をデバイス内に引き込みg-Proxで全層を貫通,g-Cathが進められた状態.

Figure 16 

最終的にg-Cathを締め上げ全層のplicationが終了する.

Ⅸ おわりに

米国における全層縫合の現状について概説した.優れた内視鏡的縫合デバイスの登場により,米国ではflexible endoscopic surgeryの適応疾患の拡大が見られている.われわれ米国のadvanced endoscopistsにとって,内視鏡的縫合手技(endoscopic suturing)は基本で必須の技術である.今後内視鏡的縫合術の適応疾患や方法などに関しさらに研究を進め,知識をさらに深めていく必要がある.

 

本論文内容に関連する著者の利益相反:なし

文 献
 
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