Japan Journal of Human Resource Management
Online ISSN : 2424-0788
Print ISSN : 1881-3828
Articles
Changing the Wage Structure through Personnel System Reform: Empirical Analysis of the Differences in Prefectural Police Job Ranks
Toshihiro ICHISE
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2016 Volume 17 Issue 1 Pages 36-49

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ABSTRACT

This paper empirically examines the effects of personnel system reform at the Prefectural Police on differences in job grades, which are considered to significantly influence promotion incentives. The analysis found that after Prefectural Police personnel systems were overhauled, differences in wages among job grades widened and age became a less important factor. In short, the starting pay is higher for police work than for general civil service jobs, but because the screening process for police jobs is so strict, future pay raises are lower; so is the average compensation. However, a personnel policy that supplements relatively low pay with good benefits is the general wage practice in Prefectural Police departments. This paper confirms the major point that wage structure reform that increases pay differentials between job grades and promotion system reform that makes it easier to advance to the Assistant Police Inspector level serve as incentives both to those who are likely to be promoted and to those who are not.

1. はじめに

本稿の目的は,昇進インセンティブに大きな影響を及ぼすと考えられる職階間賃金格差に焦点を当て,自治体警察における人事制度改革が賃金構造にもたらした変化を実証的に検証し,そのインプリケーションを考察することである。

地方公務員の給与は,不適切な手当や民間企業に比べて高い水準の給与が支給されているといった一般的に関心の高い問題であるが,地方公務員の賃金構造を統計的に検証した研究はほとんどなく(太田2013森川2013),公務員の賃金は年功的で民間企業のような能力・実績主義的な改革が行われていないといった論調は根強い。しかしながら,行政が直面する課題は極めて多種多様で深刻な問題も多く,高度化した行政需要に対処するため,職員のパフォーマンス向上を目的とした人事制度改革がこれまでも行われてきた。

そこで本稿では,かつて人事制度改革を断行したA県警察本部(以下,A県警という)を分析対象として,その制度改革の成果を検討する。A県警では,1991年に昇進制度を大きく変更し,多くの者が係長(警部補)までは昇進1できるような階級構造へと組織形態を実質的に変化させた(一瀬2014)。さらに,その翌年の1992年には,昇進時の職階間賃金格差を拡大させる賃金制度改革を実施した。本稿では,こうした一連の制度改革が賃金構造にもたらした影響を定量的に検証する。

本稿で自治体警察を分析対象とする理由は,主に2つある。まず,一般行政職員の昇進構造や賃金体系は,制度の趣旨や背景こそ違うものの日本の雇用慣行(遅い昇進,年功的賃金,長期雇用)と酷似した運用が行われていることが,これまでに実証されている(稲継1996など)。一方,警察職については,「早い昇進」政策が採られていることが明らかにされており(一瀬2014),地方公務員の中でも自治体警察は階級制度2が採用され,上命下服の命令系統を明確にするためにポスト管理が厳格に行われている可能性が高い。つまり,そのような官僚組織の内部労働市場において,警察官の動機づけが,どのように行われているのかを検証することが第1の理由となる。また,自治体警察では,1991年に階級構造を改革し,従来のピラミッド型の組織から,日本の内部労働市場の階層構造の特徴である「将棋の駒型」(小池2005)に変化させている。官公庁でこのような大規模な改革が行われた例はほとんどなく,組織構造と賃金構造の改革が昇進インセンティブに及ぼす影響を考察する必要性のあることが第2の理由となる。

自治体警察は,地域と密接にかかわり,国民の生命・財産を守るという職務を担っている。犯罪が高度化・凶悪化している現状においては,警察人事のインセンティブ設計を改め,警察官のモチベーションをより高める人事政策により,高度な技能形成を促進することが社会的要請ともなる。また,全国の都道府県警察官は約26万人(総務省統計局:2014年4月1日現在)にものぼり,今なお増員が続いている状況にある。日本の公務部門における賃金構造を精緻に分析した研究はほとんどなく,これまで解明を見なかった自治体警察の賃金構造を検証することは,日本の公務部門研究の一助となろう。

本稿の分析結果を先取りすれば,制度改革により,自治体警察の職階間賃金格差は拡大して,年齢が賃金に与える効果が抑制されていた。これらの結果を踏まえて「早い昇進」政策下でのインセンティブ・メカニズムが,自治体警察でどのように機能しているかについて議論していく。

本稿の構成は以下の通りである。2では,賃金格差に関する経済理論と実証研究を検討する。3でA県警の人事制度を概観し,制度改革の意図を提示することで,検証課題を導出する。4の実証分析では,組織構造を確認してから,職階間賃金格差を統計的に検証する。最後の5では結論と今後の課題を述べて結びとする。

2. 先行研究の検討

2.1. 賃金格差と昇進インセンティブ

賃金決定に関する一般的な理論としての限界生産力仮説によれば,賃金は企業に所属する従業員の貢献度合いに一致することになるが,従業員の貢献度合いの全てを完全に計測することは困難である。しかしながら企業は,個々の労働者の生産性を観測することができなくとも,賃金をキャリアの前期に低く,後期には高くするという後払い賃金契約を設定することで,労働者の努力(ひいては高い生産性)を引き出すことが可能である(Lazear,1995)。さらに,企業は労働者のより高い生産性を引き出すために昇進に伴って賃金格差を広げようとするが,こうした賃金格差は前もって決定されているため,必ずしも労働者の実際の生産性格差とは一致しない。

労働者にとっての昇進のインセンティブ効果は,職階間の賃金格差を広げたり狭めたりすることから生じるが,相対ランクを用いた賃金決定は,トーナメント・モデル(Lazear and Rosen,1981)として知られている。より高い賃金を生産性の高い勝者への報酬,より低い賃金を敗者に与える報酬と考えれば,「昇進」に伴う賃金格差が大きくなるほど,労働者はより高い地位を得ようと懸命に努力する。具体的には,部長の賃金は課長の動機づけにはなるが,部長自身の動機づけにはならない。換言すれば,部長の給与は確かに高いが,それは部長がよく働くからではなく,課長時代に一生懸命働くインセンティブとなるように高くなっているのである。ただし,生産性の格差より賃金格差が小さく設定されている場合,できるだけ昇進トーナメントを長く引き延ばし,その間の職階間賃金格差を小さくすることで勝者と敗者を区別せずに,多くの労働者をできるだけ長期間競争させることが,インセンティブを高める効果となる(Lazear,1995)。一方,短期的な賃金と長期的な昇進のインセンティブのトレードオフについての理論としては,Gibbons and Murphy(1992)のキャリア・コンサーン理論がある。キャリア・コンサーンとは,現在の業績や努力が今すぐに直接的な報酬(インセンティブ)としては返ってこないが,将来の昇進見込みや給与の形で今後の業績や昇進に反映されるかもしれないという期待を持つことで,間接的にインセンティブとして機能するというものである。この理論によれば長期勤続が見込まれる労働者は,今年の成果が将来のキャリアに影響を及ぼす効果に関心を持つので「昇進」が間接的にインセンティブ効果を発揮し,特に若い労働者に効果が高いとされる。なお,Inoki(1993)稲継(1996)は,公務員でも長期競争に打ち勝ち昇進することが,将来の退職金や再就職先まで影響を及ぼすという「積み上げ型褒賞システム」を指摘している。

日本の大企業では「遅い昇進」政策を採用して,昇進しても大きな賃金格差を実現することはしない。つまり,昇進昇格しなくても年齢・勤続年数とともに賃金が上昇する年功的賃金体系を採用することで,長期に亘って競争を促し,できるだけ多くの者に対して技能形成へのインセンティブを持続させるシステムが,そこに存在しているのである(守島1997小池2005)。

しかし,日本企業でも初期キャリアの早い時期から幹部候補を選抜する「早い昇進」政策が採られている企業(Pucik,1981)もある。これらの選抜のタイミングが持つメリット・デメリットについては,Prendergast(1992)がわかりやすい。それによれば,「早い昇進」は非常に有能な労働者のみを特殊的技能の蓄積前に特急組として昇進させる制度であって従業員全体へのシグナル効果を有し,幹部と非幹部のセパレート機能を果たすが,その反面,特急組から外れた多くの者は技能蓄積への誘因を失う。一方,「遅い昇進」では,特殊的技能を蓄積するまでは昇進に差をつけないため,全ての労働者が技能修得に投資するがリーダーは育ちにくいとされる。

賃金格差の実証研究としては,1990年代以降,いわゆる「成果主義」の進展による賃金制度改革について盛んに議論されてきた。樋口(2001)は,大企業(1000人以上)の男性従業員の職階間の年間給与格差を検証し,成果主義制度への移行が多かった1999年と,1976年の2時点の比較から,年齢階層別の職階間賃金格差が縮小していないことを指摘している。個々の企業の人事データを用いた研究によれば,成果主義導入企業において,制度改革の意図通り,賞与の非年功化が確認される(井川2004)一方で,制度改革の意図とは逆に管理職層で賃金の年功化と賃金格差の縮小が示されている事例もあり(中嶋・松繁・梅﨑2004),改革の帰結は一様ではない。

しかしながら総じて,日本企業における賃金構造に関する変化の方向性は,年齢・勤続年数が賃金に与える効果を小さくする一方で,査定や役職の効果を大きくすることと,人事制度が従来の職能等級制度から役割等級制度へと移行していることが明らかにされてきた(都留・阿部・久保2005石田・樋口2009)。ただし,石田・富田・三谷(2009)の自動車企業の役員ヒアリングでは,人ではなく職務の「役割」に着目した等級制度への移行が進んでも,賃金の決まり方は従来の職能資格制度と大差なく,新しい賃金制度においても,技能形成に対する動機づけが継承されている点も明らかにされている。

2.2. 公務部門における賃金構造の研究

では,公務部門の賃金研究の成果はどうか。残念ながら民間企業に比べて,公務部門における賃金構造の研究は極めて少ない。稲継(1996)は,1993年時点における地方公務員の役職―年齢別賃金構造について,役職やランクの違いに応じて同一年齢でも相当の賃金格差が生じていることを示している。また,野見山(2001)も地方公務員の職階間年収格差を検証した結果,1990年代以降,賞与の役職加算の導入により職階間で相当の賃金格差が生じていることを明らかにしている。ただし,これらの研究は民間部門との違いを平均値で比較するだけに留まっている点に問題がある。

しかし唯一,圓生(2008)は,民間部門と一般行政職の職階間賃金格差を,計量的手法を用いて比較している。その結果,民間部門よりやや小さいが,公務部門でも相当大きな職階間賃金格差が存在する一方で,公務部門は昇進差を殆どつけないため,生涯に亘る賃金格差は極めて小さいと説明している。さらに同じく圓生(2008)は,本稿と同様に,1992年に全国の地方自治体で実施された,職階間賃金格差の拡大を意図した賃金制度改革の結果も検証し,地方自治体の団体別のプールデータを用いた計量分析の結果から,「行政職の職階間賃金格差の拡大を確認することはできなかった」と結論づけている。ただし,圓生(2008)の分析では,職階間賃金格差のみに焦点が絞られていることもあって,サンプルサイズや年齢・勤続年数といった推計結果の詳細が示されておらず,公務部門内の職種別職階間賃金格差も議論されていない。

本稿では,警察職の賃金構造について検証する。

3. 制度的背景

3.1. 自治体警察の賃金・昇進制度

本稿では,自治体警察のなかでもA県警を分析対象とする。この県警は,県内に政令指定都市や中核市を抱える警察官数1万人以上を擁する大規模な自治体警察であり,賃金構造に関する定量的な分析に耐えうる規模がある。以下では,まず,地方公務員に関する賃金・昇進制度を概観したのち,本稿の分析対象である自治体警察の特色について説明する。

公務員の給与は,その職員が属する「級」と「号俸」の組み合わせによって決まる(太田2013)。「級」は職務の複雑さや困難度,責任の程度によって定められる一方で,同じ「級」でも職務経験年数に応じた習熟度を反映するものが「号」である。そして実際の給与は,これらの組み合わせからなる「給料表」によって決定される。地方公務員の賃金水準は,給与条例の改正を議会で決議するという形(給与の条例主義)を採用する。その際,基本となるのは行政職の給料表であるが,それを準用することで警察職の賃金水準も改定されることになる。

表1は,A県警の賃金等級と階級・役職の関係を示したものである。警察職の賃金等級制度は,1991年以前は6級制をとっており,1992年からは7級制3となっている。警察では役職のほかに階級制度も導入されている。階級は1級が巡査(係員),2級は巡査長(係員),3級は巡査部長(主任),4級は警部補(係長),5級は警部(課長),6級は警視(調査官級),7級は警視(署長級)となっているが,1987~2006年の間であれば賃金等級と階級が整合している。ただし,地方採用警察官は,巡査(1級)から警視(7級)までは地方公務員であるが,警視の上位階級である警視正4からは国家公務員(地方警務官)に身分が切り替わるため,本稿では警視正以上の階級は分析対象外とする。

実際,どの賃金等級(階級)にどの程度の者が分布するかについては,昇進制度に依存する。この点については,1987~2006年のA県警の昇進制度を分析した一瀬(2014)に基づいて説明する。自治体警察では昇進試験による「早い昇進」政策が採られており,警部に昇進するためには3度の昇進試験に合格する必要がある。早い選抜により,上級幹部候補者を初期キャリアの早い時期に選抜していることになるが,全員が昇進できる階級は下位ランクの巡査長(2級)であり,中位以上への昇進確率の低い点が警察職の特徴となる。

このような昇進試験による「早い昇進」政策は,警察法(警察制度研究会2004)等に基づき各都道府県警に同じような昇任試験規程が定められていることから,規模にかかわらず全ての自治体警察5に適用されていると考えられる。ただし,自治体警察の「本部長」が警視監の階級を有している場合は,その下位職の「部長」には警視長の階級が付与されて,地方採用警察官が就任する一方で,本部長が警視長である小規模県警では,部長職にはワンランク下位の警視正をあてるという差異がある。

表1 A県警の人事制度(要約)

3.2. 1990年代初頭の人事制度改革

本項では,人事制度改革の趣旨・目的を説明する。A県人事委員会の勧告(1992)では職員給与について,国家公務員の昇格制度の改善を踏まえて,昇格に伴う職責の高まりに応じた適切な給与上の処遇を図るため,昇格後の号俸を現在より1号俸上位の号俸にするとされている。この改正は,当時の昇格制度では,昇格後の級の号俸は昇格前の俸給月額と同額か直近上位の額の号俸に決定するとされていたことから,昇格による職責の高まりに比して給与上の昇格のメリットが十分とはいえないこと,民間企業では昇進・昇格時にかなりの給与上昇を伴うことが一般的であること等の事情を考慮したものである。

この賃金制度改革は,行政職だけではなく,警察職にも適用があり,行政職俸給表(一)以外の給料表についても行政職俸給表(一)に準じて改定されている。ただし,警察職の賃金等級制度は,行政職とは別に「警察職給料表の一部について,職務の多様化に応じた等級構成に改定する必要がある」と報告され,1992年からは6級制→7級制へと移行されている。警察職の改革前1991年と改革後1992年の賃金テーブル(給料表)は,改革前141,000円~503,000円に対して,改革後148,900円~518,700円となっており,等級も6級制が7級制に改定されている。警察職の最低賃金は一般行政職よりも高いが,その差の根拠は,警察官が国民の生命・身体を守るという職務を担っていることから優遇措置がとられ,他の行政職員より高い初任給が支給(現在の国の公安職俸給表(一)に相当)されていることが理由である(A県警採用パンフレットより)。ただし,これらの賃金テーブルからは,改革前後の賃金差はベースアップ改定分程度の変化しか確認することができない。なお,月例給与以外の平均諸手当額(時間外手当,宿直・夜勤・休日手当,特殊勤務手当など)を総務省「地方公務員給与実態調査(2006年)」で計算すると,一般行政職の諸手当は平均月額5万円程度であるが,警察職は11万円を超えている実態がある。

一方,警察職では,階級構成や昇進制度も1991年に大きく変更され,巡査(巡査長を含む)という最下位層の人員構成の偏りが大幅に是正されて,階層構造がピラミッド型から「将棋の駒型」に変化して,警部補(4級:係長)までは多くの者が昇進できるような昇進制度改革が全国的に行われた(吉村2006)。警察職では,警部に昇進するために3度の昇進試験を突破する必要があるが,1991年の昇進制度の改革において,試験によらない「勤務実績を重視した選抜昇任制度」および「勤続年数に基づく実務経験を重視した選考昇任制度」が併設され,試験に合格しなくても実務経験や実績により,定年時54%の者が警部補(4級)まで昇進できるようになっている(一瀬2014)。これらの昇進制度改革の意義として三浦(1993)は,試験における昇進制度は相対的に見れば,幅広い分野の知識と管理能力の有無の確認に重点がおかれ,管理者6としてトータルな能力を有する人材を確保する制度であるとする。そして,試験によらない昇進制度は,管理者としての能力よりも各実務分野における専門能力を評価されるものであると指摘している。つまり,警察の昇進制度改革は,高度化した警察業務を「警部補」の階級を保有した者に対応させることを目的としつつ,上位職への昇進が見込めない多くの警察官の処遇改善効果を期待した改革であった可能性がある。

3.3. リサーチクエスチョン

これまでの先行研究や人事制度の概要を再検討し,検証課題を導きたい。日本の大企業は,遅い昇進や年功的賃金,長期雇用などで特徴づけられるが,稲継(1996)によれば,それは概ね公務員の世界にもあてはまり,実証研究も存在する(前浦2002圓生2008)。日本の大企業では,重層的キャリアにおける昇進トーナメント競争(Lazear and Rosen,1981)の結果を長期に亘って賃金格差として実現せず,長期間競争を続けさせることで,できるだけ多くの者に対してインセンティブ効果を持続させる方法が採用されてきた(守島1997小池2005)。そういった傾向は公務部門にも継承されており(稲継1996),人事制度の違いが公務員の賃金構造に影響を及ぼすことが予想される。しかし,警察職では,日本の雇用慣行である「遅い昇進」とは真逆の「早い昇進」政策が採られているため(一瀬2014),全員が昇進できる階級は下位ランクの巡査長(2級)に留まる。昇進制度改革により,警部補(4級)までは昇進しやすくなったとはいえ,昇進試験による厳しい選抜のある警察職は,賃金制度改革後に職階間賃金格差が広がっている可能性もある。

以上のことから導出される本稿の検証課題は,人事制度改革が行われた警察職で,職階間賃金格差と年齢効果がどのように変化したのかを実証することである。

4. 実証分析

4.1. データ,方法

本稿では,A県人事委員会から提供を受けた「職員の給与等に関する報告および勧告参考資料」に基づき,1987~2006年の賃金データを分析対象期間として実証分析を進める。この資料は47都道府県で最も充実しており,賃金等級と職階(階級)が合致しているため,昇進=昇格と考えることができる点で優れている。ただし本稿では,制度改革前後の政策効果を統計的に比較するため,7級は6級にまとめて「警視」として扱う。なお,この資料には,学歴情報が不明な点で制約がある。

同データの記述統計量は表2のとおりである。分析に用いる賃金は,各年次の月例賃金を2005年基準の消費者物価指数で実質化して対数をとったもので,諸手当は含まれない。また,賞与・学歴についてはデータの制約上,分析対象外とせざるをえない。実証分析の方法は,まず警察職の組織構造を確認する。その後,人事制度改革前後の職階間賃金格差を比較するため,職階ごとに実際支給を受けている賃金を「箱ひげ図」で記述統計的に検証してから,加重最小二乗法(WLS)を用いた計量分析で賃金関数を推計する。

表2 記述統計量

4.2. 自治体警察の組織構造

本項では,A県人事委員会「職員の給与等に関する報告および勧告参考資料」に基づき,A県警のランク別組織構成比率を計算し,それぞれの職階へ最速昇進する者の年齢をコーホート別に集計して,その要約を表3に整理した。本項では一瀬(2014)をベースに,A県警の組織構成や昇進構造の実態を把握することを目的とする。

地方採用警察官が警部に昇進するには原則,3度の昇進試験に合格する必要があり,一般の行政職とは異なり,厳しい昇進選抜が展開されている(三浦1993)。2006年時点のA県警察職の階級構成比率は,巡査(17.1%)+巡査長(16.5%)で33.6%,巡査部長で28.9%,警部補で29.1%,警部で5.9%,警視(6級+7級)で2.5%となっており,警部から急激に昇進者が絞り込まれていることが確認できる。警察職の決定的選抜ポストは,逮捕状請求権を有する警部(警察署課長)の階級となり,これは20年の時を経ても変化がない。なお,本稿でいう決定的選抜ポストとは,上位ポストの数が限られているため,急激に昇進できる者が絞られる職階があり,そのような職階を本稿では「決定的選抜ポスト」と定義している。元来,警察は人員構成が下位層に偏ったピラミッド型の組織構造(1987年時点)であったが,1991年の昇進制度改革により,その偏りが是正されて警部補(4級)の階級構成比率(2006年時点)が約15%から約30%になり,「将棋の駒型」の組織構造へと変容していることも,表3により確認できる。

次に,分析対象期間内のA県警の昇進構造について確認する。分析結果をみると,「同一年次」の最速昇進者で巡査部長に24歳,係長である警部補に26歳,警察署課長職である警部に34歳で昇進している。6級警視には43歳で昇進し,7級警視には45歳で昇格しており,警察職では「早い昇進」政策が採られていることが確認できる。警察職で全員が昇進できる階級は巡査長(2級)7までとなり,昇進制度改革があったとはいえ下位層に滞留する警察官は未だに多い。また,2006年の59歳時点の集計では,同一年次の者が巡査長で4.2%,巡査部長で19.9%,警部補で54.0%,警部で7.7%,警視(調査官級)で4.5%,警視(署長)で9.7%が定年を迎えようとしているため,同一年次7割以上の者が警部補以下の下位層で滞留して定年を迎えていることが確認できた。ただし,警部(7.7%)の上位階級である警視に14.2%の警察官が定年直前期までに昇進しており,警部補以下に滞留する者と警視に昇進できる者の二極化が進んでいるようである。

続いて職種別の職員数と給与総額(人件費)を比較する。A県警察職については,刑法犯認知件数の増加や犯罪の高度化・凶悪化に伴う警察官の増員により,1987年当時は9,908人であった職員数も2006年には11,306人にまで増員されており,1991年の昇進制度改革とも相まって給与総額は36%上昇している。また,定年直前期の在職人数は,1987年では53名しかいなかったが,2006年では287人まで大幅に増えており,多くの者が定年まで勤め上げる退職管理へと移行しつつある。現状の警察職では,署長以上の幹部に昇進しない限り,再就職(天下り)は殆どできないので,多くの者が定年(60歳)まで在籍しているようである。

本項では,警察職は「早い昇進」政策により,少数の者を急進組として昇進させる一方で,選抜に漏れた大多数の者を警部補(4級)以下の下位層に滞留させる昇進構造であることが確認された。

表3 改革前後の階級構成の比較

4.3. 記述統計分析

推計に入る前に,本項では職階賃金の分布を把握するため,警察職の賃金制度改革前(1987~1991年)と改革後(2002~2006年)に実際に支払われた賃金データを用いて,箱ひげ図(図1)を作成し,人事制度改革後の職階間賃金格差の変化を検討する。

警察職では,制度改革後に巡査(1級)の賃金レンジが縮小されているが,それをカバーする形で巡査長(2級)の賃金レンジが拡大している。ただし,各階級の最大値にほとんど差がなく,昇進昇格せずともある程度は,賃金が年功的に上昇していくことが外形的にも確認できる。しかし,制度改革後の各階級の賃金レンジは,重複部分の多くが解消され,改革後は昇進しなければ賃金上昇は頭打ちとなるため,年功制だけでは努力インセンティブが減退する可能性がある。

しかしながら,箱ひげ図では年齢効果を検証することができないため,次項では年齢効果をコントロールした計量分析を進める。ただし,警察職では,警視の上位階級である「警視正」からは国家公務員となるため,本稿では分析対象外とする。

図1 改革前後における職階賃金の分布(箱ひげ図)

4.4. 計量分析

本項では,A県警の人事制度改革前後の職階間賃金格差を比較する。推計モデル(1式)は通常のミンサー型賃金関数であり,被説明変数,説明変数を以下に示して,各セルの職員数をウエイトとする加重最小二乗法により推計する。

  • ただし,
  • lnW=月例賃金(CPI:2005年基準)の自然対数値
  • α:定数項,β:係数,ε:誤差項
  • i:A県警年齢別・職階別職員グループのインデックス
  • t:年次
  • A:年齢,RD:職階ダミー(階級)
  • AID:年齢×制度改革後ダミーの交差項(改革前:0,改革後:1)
  • RDID:職階ダミー×制度改革後ダミーの交差項(改革前:0,改革後:1)
  • YD:年次ダミー

職階間賃金格差の推計結果は,警察職において賃金制度改革前1987~1991年,改革後2002~2006年のデータをプールし,年次ダミーでコントロールしてから表4に示した。

まず,人事制度改革前後の職階間賃金格差について比較検証する。警察職の賃金制度改革後の階級間賃金格差については,確実に拡大していることがわかる。具体的には,巡査(1級)をベースに各階級(等級)間の賃金格差を推計して制度改革前後の賃金格差の変化(制度改革による効果)を比較した結果,巡査長(2級)以外,全て1%水準で有意となり,巡査部長(3級)は6.0%,警部補(4級)は6.5%,警部(5級)は5.6%,警視(6級+7級)は3.9%,賃金格差が拡大していた。ただし,全員が昇進できる巡査長(2級)の賃金格差は拡大していない。

年齢効果については,賃金制度改革前の年齢効果7.0%が,改革後は1歳あたり1.4%抑制されていた。つまり,A県警では,年齢上昇に伴う賃金上昇効果は若干低下しているものの依然として,昇進昇格が伴わなくても定期昇給により,賃金が年功的に上昇していることが確認された。

表4 警察職の職階間賃金格差の推計結果

4.5. ディスカッション

分析の結果,自治体警察では人事制度改革後,職階間賃金格差を拡大させる一方で,年齢効果を抑制していることが確認された。つまり,自治体警察における人事制度改革は,年功制を緩め,昇進のインセンティブを強めることで,労働意欲を高めようとする人事政策であったと考えられる。

これまでの公務部門の先行研究では,公務員には多くの場合「遅い昇進」政策が採用されていることが実証されてきたが,一瀬(2014)の研究により初めて自治体警察が「早い昇進」政策を採用していることが確認された。警察職の「早い昇進」政策は,非常に有能な警察官のみを特殊的技能の蓄積前に特急組として昇進させ,将来,自治体警察の管理運営を担う人材(総務部長等)を早期に選抜するというものである。県警本部では,現場業務の多い警察官を公平に評価する手法として昇進試験制度(情報の非対称性緩和策;一瀬2014)が設けられていると考えられ,トップである本部長は警察官僚が1~2年で挿げ替わってしまう実情がある。つまり,自治体警察内で警察行政執行8に秀でた幹部候補生を早期に育成する必要性があり,「早い昇進」政策は妥当な判断なのかもしれない。

警察職は職務上,指揮命令系統の厳格性が求められて「早い昇進」政策を採用しているが,4級以下の下位層に多くの者が滞留するため,理論的には選抜に漏れた者のモチベーションは低下する(Prendergast,1992)。しかし,警察職においては,相次ぐ人事制度改革で職階間の賃金格差を拡大しながら,多様化する警察ニーズに対応するために警部補(4級)までの昇進者を増やして,処遇改善に取り組んだと言える。

自治体警察は,人事制度改革後に職階間賃金格差が拡大している一方で,年齢効果が抑制されているため,昇進可能性の高い者の昇進インセンティブは強まっていると考えられる。また同時に,4級警部補までは,努力すれば昇進できるよう階級構成も改編されているため,昇進可能性の低い,多くの者にも警部補クラス(4級)のポストを付与することで,努力インセンティブを強めようとしている。そして,前述したとおり,警部補(係長)止まりとはいえ,労働意欲向上のために諸手当(時間外手当,宿直・夜勤・休日手当,特殊勤務手当など)を他職種よりも倍以上高額に設定することで,努力インセンティブ低下を防止していると考えられる。ただし,警部以上になると管理職(警察署課長職)になるため時間外手当等が管理職手当となり,賃金の総支給額が減額になる可能性はあるが,昇進すれば職務権限の拡大や退職金加算,退職後の再就職というインセンティブが暗示されているため,短期的なインセンティブである諸手当よりも長期的なインセンティブの方が警察官には重要である可能性もある(Gibbons and Murphy, 1992 ;Inoki,1993)。1987年から2006年にかけて36%も総人件費が上昇(行政職は21%程度の伸び)しているが,その背景としては,刑法犯認知件数の増加や犯罪の高度化・凶悪化に伴う警察官の増員,俸給表の改定,昇進選抜の緩和などが主な理由となろう。

以上のことから,警察職の場合,一般行政職に比べて初任給は高いが,厳しい選抜により,その後の給与の伸び率が低く,平均給与も低い。しかし,その分,諸手当で補われる人事政策が,自治体警察の賃金メカニズムであると考えられる。

5. 結びにかえて

本稿では,自治体警察の人事制度改革が,昇進インセンティブに大きな影響を及ぼすと考えられる職階間賃金格差に,どのような影響を及ぼすのかを実証的に検証した。分析の結果,自治体警察では人事制度改革後,職階間賃金格差を拡大させる一方で,年齢効果を抑制していることが確認された。つまり,自治体警察における人事制度改革は,年功制を緩め,昇進昇格しなければ賃金が上がらない制度に移行することで,労働意欲を高めようとする改革であったと考えられる。

このような自治体警察の人事制度改革を評価するならば,仕事をあまり頑張らなくとも定期昇給により賃金が上昇する年功的賃金制度を改め,昇進昇格のインセンティブを強めることで職務に専念させて,警察官の能力を高める賃金制度に変更した本改革は,メリハリのある改革と言える。しかし,警察では厳格な昇進試験制度があり,多くの警察官が昇進できないため,警察全体のインセンティブ低下の懸念がある。そこで,4級警部補までの昇進選抜の緩和と手厚い諸手当により,昇進を期待できない多くの警察官のモチベーションを保持させたと考えられる。

本稿で確認された重要な論点は,職階間賃金格差を拡大させた賃金制度改革と,4級警部補までは昇進しやすくした昇進制度改革により,昇進可能性の高い者だけではなく,低い者にも労働に対するインセンティブを与えようとしていた点にある。自治体警察では,本部長と警務部長以外ほぼ全てのポストが,所属する県警の内部昇進によって充てがわれる。昇進試験に早く合格した者は自治体警察の上級管理者としての能力を期待されるが,昇進制度改革により設置された「試験に合格せずとも昇進できる制度」により,下位層の警察官のモチベーションをも保とうとする。そもそも昇進試験を受験し合格していく者は昇進意欲が高く,ほっておいても職務に邁進し,能力を向上させるだろうが,「早い昇進」政策が採られている警察では,昇進競争に敗れた者や昇進に興味のない者が大半を占める。しかし,警部補以下の警察官が,実質的に犯罪捜査などに従事しており,彼(女)らの働きが国民生活に直接影響を及ぼすものと考えられる。人事制度改革は,全体最適化されるようなインセンティブ・デザインができるよう検討されるべきであり,総人件費上昇という犠牲は伴うものの,「早い昇進」政策下でも下位層のインセンティブに配慮しようとした警察の人事政策を垣間見ることができた点を,本稿の貢献としたい。

一般行政職では多く場合,「遅い昇進」政策を採用して,多くの者に技能形成へのインセンティブを付与する。しかし一方で,警察職の場合は,昇進試験による「早い昇進」政策が採られて,少数のリーダーを初期キャリアの早い段階で選抜する仕組みを採用しているため,理論的には昇進に漏れた多くの者のモチベーションは持続しない。同じ自治体でも職種が異なればインセンティブ・メカニズムも異なることが実証されたが,本稿では,公務員個人のモチベーションという観点で議論はできなかった。「遅い昇進」と「早い昇進」というインセンティブ・メカニズムの差異が,公務員個人のモチベーションに実際,どのような影響を及ぼしているのかを今後検討する必要がある。本稿では自治体警察の職階間賃金格差を明らかにしてきたが,学歴情報と警察職の上位階級にあたる警視正以上のサンプルが欠落している問題があり,これらの問題を考慮することも,今後の課題としたい。

【謝辞】

本稿は,3名の匿名レフリー,勇上和史先生(神戸大学)に多くのご助言を受けながら執筆しました。また,日本労務学会第44回全国大会などでも多くの貴重なコメントを頂きました。ご議論頂いた全ての方々に深く感謝いたします。本稿は元々,行政職と警察職の比較検証論文でしたが,筆者の力不足により警察職のみが議論の対象となりました。今後は,より詳細なデータで公的機関の人事を分析したいと考えております。なお残る本稿の誤りは,全て筆者の責に帰することを申し添えます。

(筆者=神戸大学大学院経済学研究科研究員)

【データ・資料】

  • A県警察本部(2008)「昇任規程:A県警採用パンフレット」
  • A県人事委員会「職員の給与等に関する報告および勧告(1992年)」
  • A県人事委員会「職員の給与等に関する報告および勧告 参考資料(1987~2006年)」
  • A県警察本部(2008)「昇任規程:A県警採用パンフレット」
  • 警察制度研究会(2004)「全訂版 警察法解説」東京法令出版
  • 総務省「地方公務員給与実態調査(2006年,2014年)」

【注】
1  公務員では昇進することを「昇任」というが,本稿では一般的な用語である「昇進」で表記する。

2  警察官に階級が必要な理由を宮園(1993)は,①警察内部の統一性の確保,②職務に従事する警察官の代替性,③栄誉の付与などの効果が期待されていると指摘している。

3  2013年時点の警察職は9級制となっており,役割により等級づけられている。

4  たたき上げの地方警務官(内部昇進で警視正,警視長へ昇りつめたノンキャリア警察官)の賃金データが不明であるため分析対象外としているが,警察官僚への聞きとり調査では,学歴に関係なく早い選抜が行われ,結果としてキャリア前期に早く昇進した者が警視正以上の階級へ昇進することが示されている。ただし,警察官僚の聞きとり調査では,巡査部長の段階で将来の上級幹部を決めているわけではないことも強調されている。

5  警視庁は警視総監がトップであり,部長職も警視監の階級を有しているため,本稿では例外として扱う。また,自治体警察ごとに昇任規程が定められているため,実際の昇進選抜には若干の差異はある。

6  警察における管理職は,逮捕状請求権を有する「警部」の階級からであり,少数の者しか昇進できない。

7  巡査長は「巡査長に関する規則」において設けられたもので,階級は「巡査」であり昇進試験もない。

8  警察政策の企画立案は,警察庁で警察官僚が担当しており,自治体警察は基本的に警察行政を執行することが主たる職務となる。

【参考文献】
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  •   Lazear,Edward P.(1995).“Personnel Economics,”The MIT Press,(樋口美雄・清家篤訳『人事と組織の経済学』日本経済新聞社, 1998).
  •   Prendergast, Canice.(1992)“Career Development and Specific Human Capital Collection,”Journal of the Japanese and International Economies, Vol.6, pp.207-227.
  •   Pucik,V.(1981)「“日本的経営論”への挑戦」『週刊東洋経済』臨時増刊 No.57.
 
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