Editorial Note

2020年は激動の一年となった。これまで経験したことがない感染症の拡大により，我々の生活は大きな変化を余儀なくされた。一年前，オンライン会議やオンライン講義がここまで一般化することなど，誰が予想していたであろうか。本学会のイベントもほとんどがオンラインによって行われた。残念に感じている読者の方も少なくないだろう。その一方で，意外とオンラインでも色々できる，と感じている方も多いのではないだろうか。

本号の特集テーマは，2019年の年末には既に決まっていた。前回の担当の際に理論的側面が強いテーマを設定したこともあり，今回は実務的貢献を前面に押し出したいと考え，周囲の先生にご相談しながらテーマを決めていった。その中で出てきたのが「クラウド」というテーマであった。結果的に，図らずもオンラインの影響を論じる時流に合ったテーマとなった。ご相談に快く応じてくださった先生方には，この場を借りて心からお礼申し上げたい。

COVID-19による生活の変化は，研究自体にも大きな影響を与えている。予定していた調査や視察が延期や中止に追い込まれた先生方も数多くいらっしゃることだろう。本号に寄せていただいた論文の中にも，様々な事情から当初の予定を大幅に変更せざるを得なかったものもあると聞いている。そのような大変な状況下でも，非常に質の高い論文をご執筆くださった執筆者の先生方に，心からの感謝と敬意を表したい。