Yearbook of Asian Affairs
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2012 Volume 2012 Pages 193-222

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2011年のベトナム 新指導部発足,マクロ経済の安定化を図りつつ,成長モデル転換へ

概況

2011年は,中央・地方ともに新たな指導層が選ばれる年となった。1月には第11回ベトナム共産党全国代表者大会(以下,党大会)が開催された。5月の第13回国会代表選挙を経て,7月下旬から8月上旬にかけて第13期第1回国会が開かれた。この段階で党・国会・国家機構・政府を今後5年間率いる指導層の顔ぶれが正式に出そろった。地方各級でも党大会,地方議会である人民評議会代表選挙が実施され,新たな指導層が選ばれている。

経済では,年初からインフレとドン安への対応に追われ,2月,政府はマクロ経済と社会の安定化のための包括的政策として決議11号を打ち出した。インフレは年後半には沈静化したものの,徹底した金融引き締めによって企業活動は停滞に陥り,年間のGDP成長率は5.89%にとどまった。短期的対応に追われつつも,党大会で定められた中期的な方向性としての「経済成長モデルの転換」を実現すべく,公共投資,金融市場,および国有企業の再編を優先するとの方針が打ち出され,金融機関の自主的統合など新たな取り組みも始まった。

対外関係では,2011年前半は南シナ海のホアンサ諸島(西沙)・チュオンサ(南沙)諸島に対する主権をめぐる中国との対立的局面が目立った。その後両国指導層は問題のさらなる深刻化を避けるため,関係改善に努めている。

国内政治

第11回党大会を開催

2011年1月12~19日に第11回党大会が開かれた。同党大会では,大会に出席した代表1377人(党員総数約370万人)の投票に基づき,第11期党中央委員175人(前回160人),党中央委員候補25人(前回21人)が選出された。同党大会の会期中に第1回目の党中央委員会総会(以下,党中央委総会)が開かれ,党政治局員14人,党書記局員4人,党検査委員会委員21人が選出された。現体制下ベトナムの最高権力ポストである党書記長には,グエン・フー・チョン国会議長(役職当時)が選ばれた。また,政治・経済・社会・外交など幅広い分野にわたる基本方針も定められ,社会主義への過渡期における祖国建設綱領(2011年補充,発展),第11回党大会における第10期党中央委員会政治報告,2011~2020年経済・社会発展戦略の3文書と,党運営方針を定めた党条例の修正・補充案が採択された。

まず人事について見ると,党中央委員175人の構成については,軍・公安関係者などの人数に大きな動きはなかった。他方,国会役職従事者(10人)と人民委員会役職従事者(12人)がそれぞれ6人増加し,地方議会である人民評議会の役職従事者数が7人減って24人となっていることが,大きな動きとして目につく。国会役職従事者の増加については,ノン・ドゥック・マイン前党書記長,チョン新党書記長ともに国会議長職を経て同職に就任するなど,ベトナム政治における国会の地位が上昇していること,立法だけでなく政府に対する監視役としても役割を発揮し始めていること,などが背景にあると考えられる。

ベトナム政治の権力中枢を担う党政治局員総勢14人の構成については(参考資料参照),党大会時の年齢幅は54~66歳,平均年齢は約60歳となった。チョン国会議長,グエン・タン・ズン首相,チュオン・タン・サン党書記局常任,グエン・シン・フン常任副首相,フン・クアン・タイン国防相,レ・ホン・アイン公安相(以上,役職当時)ら,9人が再選された。第10期党政治局でも中心的存在であった,チョン,ズン,サン,フン,タイン,アイン各氏の党政治局員再任は,第11期党政治局の構成が前期からの継続性が強いものであることを示している。チョン新党書記長は,ベトナム共産党理論誌編集長,中央理論評議会主席,ハノイ市党委書記を務めた経歴をもち,政治思想,イデオロギーに対する造詣が深く,穏健な保守派とみられる。1944年4月14日生まれの同書記長は第11回党大会時すでに66歳であり,1期5年の在任だと推測される。

党の日常的な活動を領導する党書記局については(参考資料参照),党大会時点で4人が選ばれ,2月に入り,チョン党書記長を含む6人が党政治局員のなかから同職務を担当することになった。8月には,公安相を務めてきたアイン氏が党書記局常任に就任することが決まっており,政治思想,イデオロギーに強いトップと社会秩序,体制維持の役割を担う公安省トップを経験したナンバー2という,体制護持のメッセージが強い組み合わせとなった。他方,アイン氏はズン首相がかつて党委書記を務めたキエンザン省の出身であることなどからズン首相に近い人物ではないかと推測される。なお,後に開かれる第13期第1回国会(後述)で前任のサン氏は国家主席に選ばれたが,2月の段階では党書記局員に再任されている。サン氏が国家主席就任後も党書記局員の立場を維持しているのであれば,以前からサン氏がズン首相のライバル視されてきた経緯もあり,党書記局内でのサン氏とアイン氏の関係も注目される。

次に,第11回党大会で定められた方向性について見る。先にあげた同党大会で採択された文書の内容を総合的に見ると,基本的に従来の路線を継続,発展させていくという方向にあると考えられる。ベトナム共産党による統治の維持,継続を前提として,市場経済化,工業化・近代化,国際経済への参入という従来からの路線を継続的に推進する。そうした枠組みのなかで,量(規模)だけでなく質をも重視する経済成長モデルへの転換など,直面する課題に取り組み,2020年までに基本的に近代志向の工業国に,そして21世紀半ばまでには社会主義志向に従った近代的工業国になるとの目標達成に向けて,基礎を作る時期として2011年以降の5年間を位置づけている。ポイントとしては,(1)目標の維持と過去からの継続性,(2)経済成長モデルの転換と工業国ビジョンの具体化,(3)試験的な私営企業家の入党許可,(4)新農村建設の推進,(5)行政改革推進と汚職との戦い,(6)社会保障の強化,(7)主権の防衛,国防の強化とASEANへのコミットメントの強化(対外関係の項を参照),などを挙げることができる。

以下,このうちいくつかの点について見ると,上記(2)については,物的資本の投入に依拠する経済成長モデルから脱却し,労働生産性や技術レベルの向上に基づく経済成長モデルに転換していく方向性が示された。そして,2020年までに1人当たりGDPを約3000ドル,GDPに占める工業とサービス部門のシェアを約85%とするなど,さまざまな指標が示された。(3)については,基準を満たす私営企業家の入党を試験的に認めるとの方針が示されている。この方針が正式なものになれば,国内における私営企業家の社会的地位を引き上げ,経済成長に対する積極的なエネルギーをいっそう引き出しうる。最後に(5)については,引き続き行政改革(とくに行政手続改革)を重視している。ベトナム共産党にとって,国民の支持を得るという観点からも,行政改革は優れて政治的問題である。国民生活や企業活動,汚職問題とも直接関わる行政手続の改革を,最優先するとの方針は,そうした党の認識を示していると考えられる。

国会代表選挙,人民評議会代表選挙を実施

第13回国会代表選挙と地方議会である人民評議会の代表選挙(ともに選挙権18歳,被選挙権21歳,任期は2011~2016年)が,2011年5月22日に実施された。ベトナムの選挙では,ベトナム共産党を有力な構成組織とする政治社会組織であるベトナム祖国戦線を中心として開かれる協商会議を通して,立候補者が選ばれる。候補者選定の過程では,候補者が居住する場所の住民の候補者に対する信認度を見る機会なども設けられてはいる。しかし,当局が認めなければ立候補できない。当選者の属性の配分・構成もあらかじめ見込みが立てられている。

今回の選挙では,1月上旬に党政治局がこれら選挙の領導について指示を出した。同下旬には選挙準備の中心機関となる選挙評議会が設立され,第1回会合が開かれるなど,準備が進められていた。国会代表選挙については,選挙区183,代表定数500人に対し827人が立候補した。人民評議会代表選挙については,省級(第1級行政区)では定数3829人に対し5968人,県級(第2級行政区)では定数2万1124人に対し3万2363人,そして社級(第3級行政区)では定数28万1720人のところ43万4197人が立候補した。選挙評議会が2011年6月3日に公表した選挙結果によると,今回の選挙では有権者の99.51%(6201万266人)が投票に参加し,なかでもライチャウ省,ハザン省,ホアビン省,ランソン省の投票率は99.99%に達したという。

定数を満たす500人が当選した国会代表の構成について見ると,大卒以上の学歴を持つ国会代表が491人と,全体の約98.2%を占める。前回選挙における同比率は約95.9%であり,さらなる学歴上昇となった。また,Thoi bao Kinh te Viet Nam誌は,ベトナム国会が経済にかかわる多くの事項を審議する必要性がいっそう高まるなかで,企業経営に従事する候補者38人が当選し,国会代表に占める割合が前回選挙時の3.2%から7.6%に上昇したことに注目し,今回の選挙は企業経営者にとって成功であったと評価している。さらに,立候補者中,再選を目指す候補者数(国会活動にかかわる知識・経験を持つ候補者)は183人(22.13%)であったが,このうち167人が当選した。こうしたことから,国会の法案審議機能,政府に対する監視機能の一層の強化への志向が看取される。

Thoi bao Kinh te Viet Nam誌が指摘するように,中央推薦枠候補者182人のうち,15人が落選したことも注目される。前回選挙時の同枠中の落選者は7人であった。この落選者のなかには,第12期国会で司法委員会委員長を務めたレ・ティ・トゥ・バー党中央委員が含まれる。ビンズオン省第3区(定数2)から立候補した1956年生まれの同氏は,党員で1972年生まれの有限会社副社長,非党員で1969年生まれの株式会社社長に敗れた。同区では投票率が99%を超えており,これは同選挙区のほぼすべての有権者の判断が反映された結果と見ることができる。

最後に,しばしば民主化の観点から注目される非党員候補者,自薦候補者(組織などを母体とせず,自身の意志で立候補した立候補者)の当選者数については,前者は42人で前回選挙時と比べ1人減,後者は前回1人から4人に増加した。

第13期第1回国会における人事

2011年7月21日~8月6日に第13期第1回国会が開かれ,国会・国家機構・政府の人事が定められた。国会議長にはグエン・シン・フン常任副首相,国家主席にはチュオン・タン・サン党書記局常任が新たに選出され,ズン首相は再任された(参考資料参照)。

国会については,国会副議長が第12期国会に続き4人選出された。1948年生まれで最年長のグエン・ドゥック・キエン国会副議長が退任し,労働・傷病兵・社会問題相を務めてきた1954年生まれのグエン・ティ・キム・ガン氏が新たに副議長に選出された。残る3人は再任されている。

国の具体的な諸施策の立案と執行に直接あたる政府については,総勢27人からなり,選出時の平均年齢は約55歳である。今回の政府人事の特徴としては,(1)副首相ポストの削減,兼務の解消と常任副首相の不設置,(2)世代交代の実行,(3)政府閣僚内の党政治局員数の減少,などが挙げられる。上記(1)については,副首相の人数が前内閣から1人減り,4人となった。また,ほかの閣僚ポストを兼任するケースも解消されている。党政治局員を務めるのは前政府官房大臣のグエン・スアン・フック副首相のみで,しかも政府党幹事委員会副書記も兼ねることから,同副首相が筆頭格の副首相とみられる。8月下旬に決まった副首相間の業務分担によれば,フック副首相が汚職防止・取り締まり,交通問題など,ホアン・チュン・ハイ副首相が部門経済など,グエン・ティエン・ニャン副首相が教育・科学など,ヴ・ヴァン・ニン副首相が経済領域を総合的に担当し,ズン首相を支える。(2)については,思い切った若返りが図られた。前政府発足時には生年が1941~1950年の閣僚が13人いたが,新政府ではズン首相,タイン国防相の2人となった。そして,世代的中核は1946~1955年生まれの世代(20人)から,とりわけ1951~1955年生まれを中核とする(15人),1951~1960年生まれ(23人)の世代に移行した。1960年代生まれの閣僚も3人誕生している。最後の(3)については,前内閣発足時に6人いた党政治局員が新政府では4人に減少した。これは副首相内の政治局員数が3人(1942~1946年生)から1人(1954年生)に減少したことがおもな要因である。

副首相の数が減り,常任副首相のポストが設けられなかったこと,世代的に若返りが図られたこと,閣僚内の党政治局員数の減少から総合的に判断して,前内閣に比して政府内におけるズン首相の指導的地位は高まっていると考えられる。

安定的な成長を模索

2011年,政府はインフレ抑制,マクロ経済の安定,そして社会保障の保証に力を注いだ(経済の項を参照)。政府当局の説明によれば,背景には世界レベルで続く経済の不安定,原油・原料価格高などのインフレ傾向,国内レベルでは自然災害とその生産・生活に対する悪影響,電力・石油価格調整の不首尾,そして経済成長を保つために続けてきた金融緩和策の持つインフレなど負の側面への懸念があった。具体的には,政府はインフレ抑制・マクロ経済の安定・社会保障の保証のための主要方策に関する政府決議(以下,政府決議11号)を2011年2月24日に出し,同決議をベースにして状況に対する対応にあたった。2011年3月中旬には,党政治局が2011年の経済・社会状況に関する結論(以下,党政治局結論02号)を公布したが,同文書も,とくに政府決議11号の首尾良い実行を求めている。政府決議11号は,(1)着実かつ慎重な金融政策の実行,(2)緊縮財政政策を実行し,公共投資を削減し,国家予算の赤字を削減する,(3)生産・経営を促進し,輸出を奨励し,輸入超過を抑制し,エネルギーを節約する,(4)電力・石油価格を貧困家庭補助と結び付けて調整する,(5)社会保障の保証強化,(6)情報・宣伝工作の推進,(7)実行組織,以上7つの項目から構成される。(5)社会保障の保証強化については,①政府決議02号などすでに承認されたプログラム・計画に従った,足並みを揃えた社会保障策の実施,②地方,とくに特別困難な社,村(thon, ban)における貧困緩和,貧困家庭・貧困地方からの労働輸出の補助,③政策対象者・功労者・特別困難な背景を持つ人に関する補助規定の十全な実施,④電力価格調整時の貧困家庭補助規定の実行,などの内容を持つ。同決議の実行に向けて,2011年3月上旬には,ハノイ市が会議を組織し,工商省や交通・運輸省による実行活動プログラムの整備の動きが伝えられるなど,地方・中央省庁における具体的な動きがみられた。たとえば,年半ばを過ぎた8月の政府月例会合の決議においても頻繁に同決議に言及するなど,政府決議11号に基づく諸施策の実行は,2011年における中央・地方政府の主要な取り組みのひとつとなった。

他方,やや長期的な観点から見ると,ズン首相は再任された第13期第1回国会で行った演説において,2011~2016年の政府の中心任務は,第11回党大会が提出した3つの戦略的突破口だとしている。突破口とされたのは,(1)社会主義志向市場経済制度の完成(中心は,平等な競争環境の構築と行政改革),(2)国民教育の根本的な刷新など,人材,とくに高い質の人材のすみやかな発展,(3)交通インフラ,大都市インフラなどインフラ整備・建設の推進,である。

その他の動き

党中央委総会は,党大会直前の第10期第15回党中央委総会,党大会中に開かれた第11期第1回党中央委総会,第13期第1回国会前の第11期第2回党中央委総会を含めて,計5回開かれた。それまで注目され続けた人事が正式に落ち着いた第13期第1回国会以降にも,党中央委総会は10月上旬,12月下旬の2度開かれている。そこでは先に言及した政府決議11号,党政治局結論02号,そしてインフラ整備についてなど,経済施策に関する議論が行われたほか,幹部・党員の政治思想,道徳,生活様式面での衰退との断固とした戦い,党検査委員会委員の補充といった,規律引き締めに向けた取り組みの強化などについて話し合われた。なお,規律引き締めについては,5月中旬には党政治局がホー・チ・ミン道徳の範に従った学習と仕事運動の継続的推進について指示を出し,7月初めには党書記局が同運動の実行計画を公布,そして11月上旬にはズン首相が各省大臣,省級人民委員会委員長などに対し,同運動の継続的推進について集中的に指導するよう指示を出すなど,取り組みが行われている。

国会については,第12期第9回国会~第13期第2回国会の,計3回開かれた。2011年の立法作業としては,独立会計法,民事訴訟法修正・補充法,人身売買防止取締法,機密法(Luat Co yeu),請願法,告発法などが可決された。また,第13期第1回国会では重要人事だけでなく,1992年憲法の修正・補充と1992年憲法修正草案委員会の設立について決議が可決され,フン国会議長を委員長とする同委員会が設立された。2001年の第9回党大会の結果を受けて同年に1992年憲法の第1回目の修正・補充が行われたのと同様に,第11回党大会で定められた党の方針・路線を,憲法に反映させるための作業が今後進められるものと考えられる。同委員会は8月上旬から活動を開始している。さらに,フック副首相が委員長を務める1992年憲法執行総括指導委員会も10月中旬に活動を開始しており,憲法修正・補充に向けて具体的な動きが始まっている。

最後に,政府は省庁間の国家管理における重複解消,行政手続改革,人事ローテーションなど,行政改革,行政改善に向けた取り組みを2011年も継続した。11月8日には,2011~2020年段階における国家行政改革総合プログラムの公布を決議し,2001~2010年段階の国家行政改革総合プログラムの後継プログラムが準備された。同プログラムでは(1)制度改革,(2)行政手続改革,(3)国家行政機構組織改革,(4)幹部・公務員(cong chuc,vien chuc)層の建設と質の向上,(5)公財政改革,(6)行政近代化,以上6つの任務が定められている。

(寺本)

経済

年間の経済パフォーマンス――減速傾向が鮮明に

2011年のベトナム経済は減速傾向が鮮明となった。統計総局の速報によれば,実質GDP成長率は5.89%と,世界同時不況によりベトナム経済が深刻な停滞に陥った2009年の実績をわずかに上回る低水準となった。四半期ごとの実績は5.57%,5.68%,6.07%,6.10%と,年間を通じて前年を下回った。部門別にみると,成長率が前年実績を上回ったのは農林水産業(4.00%)のみで,近年の経済成長を牽引してきた工業・建設(5.53%)とサービス(6.99%)はいずれも前年を下回った。サービス業では小売販売の落ち込みが顕著で,名目上では前年比24.2%増だが,価格要因を除外すると4.7%増という低水準にとどまった。

国内消費が低迷する一方で,輸出は963億ドルに達し,目標(前年比10%増)を大幅に上回る33.3%増となった。原油,コーヒー,ゴム,コメなどの単価の上昇による部分が少なくなく,価格要因を除くと前年比11.4%増にとどまるとはいえ,世界経済が低迷するなかにあって堅調な結果といえるだろう。主な輸出品目は,繊維・縫製品(140億ドル,前年比25.1%増),原油(72億ドル,同45.9%増),電話および部品(69億ドル,同197.3%増),靴・サンダル(65億ドル,同27.3%増)などである。主要市場である欧米の需要減退の影響が軽微であったのは,輸出品目の所得弾力性の小ささによると推察される。電話および部品の急激な伸びは,携帯電話を生産する外国投資プロジェクトの稼働によるものである。コメも,過去最高を記録した前年をさらに上回り,709万トン,36億ドルという記録的な水準となった。

輸入は,前年比24.7%増の1058億ドルであったが,石油や綿などの単価上昇が寄与した部分が大きく,価格要因を除くと3.8%増にとどまった。政府の輸入抑制策に加えて,生産活動の停滞が輸入拡大のペースを鈍化させたと推察される。主な輸入品目は,機械・設備・部品(152億ドル,前年比12%増),石油(99億ドル,同62.2%増),布地(68億ドル,同26.1%増)などであった。貿易赤字は95億ドル,輸出に占める比率は9.9%と2001年以来の1桁となった。

計画・投資省の速報によれば,12月15日までのベトナムへの外国直接投資の登録資本金額は147億ドル(前年比26%減),うち新規投資は116億ドル(同35%減),拡張投資は31億ドル(同65%増)であった。実行資本金額は110億ドルで前年と同水準であった。近年の外国投資の拡大に寄与してきた大規模不動産投資案件の落ち込みにより登録資本金額は急減したが,工業・建設への投資が総登録資本金額に占める割合は前年の34.3%から76.4%へと急上昇した。10億ドルを超える大型案件は,マレーシアのジャックス・リソーシーズ(JAKS)のBOT方式による電力プロジェクト(22億6000万ドル),アメリカのファースト・ソーラーによる太陽電池生産プロジェクト(10億ドル)の2件であった。サービス業では,市場開放が進みつつある流通分野への参入への関心が高まった。ベトナム企業による対外直接投資は,新規案件75件と登録変更案件33件があり,年間の登録資本金額は21億2000万ドルとなった。

財政収入は前年比20.6%増となり,予算比でも113.4%となった。公共投資案件の延期や停止などを通じた財政支出抑制策(後述)の効果もあり,財政赤字の対GDP比推測値は4.9%と,前年実績の5.95%,目標の5.3%をともに下回った。

中期的な経済発展の方向性――工業国入りに向けた経済成長モデルの転換

1月の党大会では,2011~2020年経済・社会発展戦略(以下,10カ年戦略)が定められた。同戦略では,過去10年間の高成長を通じ低所得国からの脱却を達成したことを評価しつつも,成長の質や経済の競争力は低く,マクロ経済の均衡はいまだ確固たるものとなっていないという現状認識を示した。そのうえで,2020年までに「基本的に近代志向の工業国となるよう努力する」という従来の目標を継承しつつ,資本や労働力の投入の拡大による従来の成長から脱却し,生産性向上を通じた新たな成長モデルへ転換することで持続可能な成長を目指す,という方向性を提唱した。具体的には,年平均GDP成長率7~8%を達成することで2020年における実質GDPを2010年の2.2倍とし,1人当たりGDPを3000ドルとする,という目標が定められた。GDPに占めるハイテク製品の比率(45%),経済成長への生産性向上の貢献(35%)といった,従来の10カ年戦略にはみられなかった指標も新たに掲げられ,成長の「質」を重視する姿勢が鮮明になった。

第13期第2回国会では,2011~2015年5カ年経済・社会発展計画(以下,5カ年計画)が採択された。後述のような2011年の厳しい経済情勢を反映し,5カ年のうち最初の2~3年はマクロ経済と社会の安定化を図ることに注力し,続く2~3年で急速かつ持続可能な成長を可能とするための経済構造の再編を基本的に終えるという方針が示された。10カ年戦略では7~8%と定められた年平均成長率も5カ年計画では6.5~7%に抑えられ,貿易赤字(輸出の10%未満),財政赤字(GDPの4.5%未満),公的債務(GDPの65%以下),消費者物価指数(CPI)(5~7%)の2015年に向けた目標値も定められた。さらに,生産性の向上に依拠した成長モデルへの転換を促すための方策として,公共投資,金融市場,国有企業の3つの重要領域における構造再編を集中的に推し進めるという方向が示された。

徹底した金融引き締めとその帰結

中期的な成長モデルの転換への決意とは裏腹に,年初からベトナムはドン安とインフレへの短期的対応に追われた。為替市場では公式レートと実勢レートの乖離が広がり,2月11日,国家銀行は9.3%という大幅なドンの対ドル為替レートの切り下げに踏み切り,同時に許容変動幅を3%から1%に縮小した。インフレ沈静化の兆しがみえないなか,政府はマクロ経済と社会の安定化を図るための包括的政策パッケージとして,(1)金融政策の引き締め,(2)公共投資の削減による財政赤字の縮小,(3)生産や輸出の促進と貿易赤字の抑制,(4)社会的安定の確保などを柱とする決議11号を出した。(1)については与信の増加率を前年比20%未満とする,(2)については財政赤字を対GDP比5%未満とする,(3)については貿易赤字を輸出の16%未満に抑える,といった目標が掲げられた。

このうち,とりわけ積極的な政策介入がみられたのは金融引き締めである。基本金利は9%に据え置かれたが,リファイナンス金利とディスカウント金利は数度にわたって引き上げられ,強制準備金比率も引き上げられた。3月1日には,与信の増加率を前年比20%未満,総与信残高に占める非生産部門の比率を22%未満とすることなどを金融機関に徹底する国家銀行指示01号が出された。これと並行して,「自由市場」における為替取引の徹底した取り締まりが行われ,金融機関におけるドル不足はひとまず緩和された。しかし,2月末から3月にかけガソリンや電力の価格が大幅に引き上げられたことなどにより,4月のCPIの上昇が単月で3.32%と1991年以来の高水準を記録するなど(図1),前年末に採択されたGDP成長率7~7.5%,CPI増加率7%という目標の達成が困難であることは明白となった。従来,GDPなどの年間経済目標は国会で採択され,修正も国会で承認されることとなっていたが,第12期第9回国会においてズン首相は,政府が経済実勢に応じた柔軟な修正を担い,直近の国会で報告するという方法を提案した。6月初めの政府月例会合では,年間のGDP成長率約6%,CPI増加率約15%という目標の修正値が示された。

図1  各月の消費者物価・為替相場指数(前月=100)

(出所) 統計総局ウェブサイト(http://www.gso.gov.vn)。

徹底した引き締め策により,8月にはCPI上昇率が単月で1%を割り込んだ(図1)。しかしながら,金融引き締めによる資金調達難,最低賃金(「その他の動き」参照)や電力価格(「国有企業改革」参照)の大幅な引き上げによるコストの上昇が企業経営を圧迫し,年後半に経済は深刻な停滞に陥った。計画・投資省の報告によれば,9月末までに4万9000社が活動ないし納税を停止,うち5800社は解体ないし破産に追い込まれたという。工業生産も年初は好調であったが,第4四半期頃からはギリシャ危機に端を発する欧米の経済停滞により,繊維・縫製や靴などの輸出向け産業に影響が現れ始めた。

最終的には,与信残高の増加率は12%と目標の20%を大幅に下回るレベルに抑えられたものの,年間のGDP成長率は上述のように5.89%,CPI上昇率は前年末比18.13%となり,いずれも修正後の目標を達成できずに終わった。

国有企業改革――動き出すも課題山積

国有企業改革は過去数年にわたり滞っていたが,経済構造再編の重点領域のひとつに据えられたことをきっかけとして,改革促進に向けた機運が高まった。制度面では,国有企業の株式化についての規定が改訂された(7月18日付,政府議定59号)。遅延が目立っていた新規株式公開(IPO)や戦略投資家の決定を促進すべく,戦略投資家への株式売却やIPOについての条件が一部緩和された一方で,戦略投資家が株式を保有しなければならない最短期間は3年から5年に延長された。

実施面では,先送りされ続けてきた大手企業の株式化やIPOに進展がみられた。6月にはベトナム最大の製鉄企業であるベトナム鉄鋼総公司(VNSteel)が,91型総公司(首相決定により重要産業に設立される垂直型国有企業グループ)としては初のIPOを実施した。石油輸入販売最大手のベトナム石油総公司(Petrolimex)も,5月末の株式化および再編計画の承認を受けて,株式化,および持株会社形態をとる経済集団への転換を実施し,7月にはIPOを実施した。メコン住宅開発銀行(MHB)とベトナム投資開発銀行(BIDV)の国有商業銀行2行もIPOを実施した。いずれも株式市場が低迷する状況下でのIPOであったことから投資家の関心はおおむね薄く,MHBは売却予定株式の3分の1程度しか売却できなかった。BIDVは,売却対象を総発行済み株式の3%と大幅に絞り込んだ。

大手企業の一部で新たな動きがみられたとはいえ,課題は山積している。2010年のビナシン経済集団の破綻危機に続き,2011年も国家経済集団についての情報開示や経営の改善を促す仕組みの不備が明るみに出た。電力セクターはベトナム電力集団(EVN)による垂直統合モデルをとり,政府がマクロ経済安定に配慮しつつ価格を決定してきたが,段階的な市場競争の導入が進められている。6月からはEVNが燃料費などの変動に応じて価格変更の申請ないし報告を行い,関連省庁の承認によって価格が定められる制度となったことを受け,EVNは価格引き上げの申請を行った。しかし,3月に平均15.28%という大幅な電力価格の引き上げが行われたばかりであり,生産コストの上昇が経済にもたらす悪影響への懸念から疑問の声があがった。同社の財務状況およびコスト構造の検査が実施された結果,2010年の電力事業で100兆ドンを超える巨額の損失を出し,深刻な資金不足に直面していることが明らかになった。最終的に,EVNは12月に年内2度目となる5%の電力価格の引き上げに踏み切る一方,多額の損失を出しているとされる電力外事業への投資から撤退することを余儀なくされた。しかし,EVNの経営実態を明らかにし,改善するための抜本的な取り組みはなされていない。なお,2012年初めに予定されていた発電市場への市場競争の導入は見送られ,同年2月末に再検討を行ったうえで条件が整ったと判断されれば実施することとなった。

12月上旬,国有企業改革の総括のための会議が相次いで開催された。近年,株式化の対象が中規模・大規模企業に及ぶにつれ,株式化の進捗の遅れが顕著となっていることが報告され,徹底的な取り組みによって2015年までに部門・領域ごとの再編を終えるよう努力するとの方針が示された。だが,最大の懸案は国家経済集団への対応である。計画・投資省の報告によれば,これまでに12社が試験的に設立され,うち11社で国有企業の総資産額の30%,総所有資本の51%,経済全体においても総資産の10%,総所有資本の14%を占めるに至っている。生産性,競争力,財務状況の弱さなどの問題点も指摘されたものの,対策としては2012年第1四半期中に中核領域に集中する方向での再編案を作成するよう指示が出されるにとどまった。会議を締めくくったのは,国家の任務を実現し,マクロ経済の安定に貢献し,発展の基礎をなすとともに効率的経営を行う強力な経済集団を構築していく必要があるとのズン首相の強いメッセージであった。

金融セクターの動き

金融セクターも,5カ年計画に掲げられた経済構造再編の重点領域のひとつである。近年のマクロ経済の不安定化と2011年の徹底した金融引き締めにより,金融機関,とりわけ中小金融機関の抱える負担は増大している。2011年1月以降,WTO加盟時の公約にしたがって,外国銀行に国内銀行と同条件での参入を認めることとなっており,国内市場における競争の激化も予想される。金融機関の経営とリスク管理の強化は急務となっている。

金融セクター強化策の一環として,政府は商業銀行について3兆ドンなどとする最低法定資本金基準を2010年までに満たすことを義務づけてきたが,一部の中小金融機関が資本増強の困難に直面している状況に鑑み,期限は2011年末に延長された。リスク管理強化の観点から,金融機関の情報開示規定も強化された(11月11日付,国家銀行通知35号)。金融機関は2012年4月1日以降,自己資本比率,不良債権比率などの指標を定期的に開示することを義務づけられ,国家銀行を通じて一般に公表されることになる。

金融セクターの中核的役割を果たすことが期待されている国有商業銀行に関しては,上述のようにMHBとBIDVが株式化されたことで,5行のうち4行が株式化を実施したことになる。2007年末にIPOを実施したものの戦略投資家の選定が大幅に遅れていたベトナム外商銀行(Vietcombank)では,みずほ銀行が初の戦略投資家になることが決定され,9月30日,発行済み株式の15%を売却する契約が締結された。

近年,著しい急成長を遂げてきた株式商業銀行については,乱立する中小銀行の競争力強化が課題となっていたが,年末に新たな再編の動きがあった。デニャット銀行(Ficombank),ティンギア銀行(TinNghiaBank),サイゴン商業銀行(SCB)というホーチミン市に本店をおく3行の自主的統合が発表されたのである。12月6日,国家銀行は統合案を承認するとともに,統合に向けたプロセスにはBIDVが全面的に参加すると発表し,株式銀行3行およびBIDVの代表は国家銀行ホーチミン支店において戦略的協力に関する覚書に調印した。国有商業銀行であるBIDVが経営面,資金面を含む全面的な支援を行うことで預金者の利益を保護し,混乱なく統合を進める狙いがあると考えられる。これは中小銀行の再編と淘汰に向けた第一歩とされており,同様の流れは今後も続くであろう。

国家によって管理された金融市場の確立に向けた動きも鮮明となった。政府決議11号の実施にあたり,非公式な外貨の売買が行われてきた「自由市場」は徹底的に取り締まられた。国家銀行は,投機の対象となることで近年のマクロ経済の不安定化を助長してきた金の取引についても,国家管理の対象とする構えである。金融機関の金による預金や融資,金の購入を目的とした融資は禁じられ,延べ棒の生産への参入を制限する方向にも言及がなされたが,後者は反発を招いている。金市場を国家としてどのように管理していくのか,体制の確立までには紆余曲折が予想される。

その他の動き

9月19日,ズン首相は外国投資の管理に関する指示(首相指示1617号)を出した。国家の発展計画に沿って,高度な技術を採用し,環境への影響が少なく,国内の資源を効率的に用いるプロジェクトを優先的に受け入れる一方,製造を行わず貿易赤字を増大させる投資,環境に悪影響を及ぼす投資などを制限する方向性が明確となった。また,大規模国有企業を中心に拡大が著しい対外直接投資についても,投資の効率性などの問題が指摘されており,管理強化の必要性が言及されるようになってきている。

インフレの加速が人々の生活を圧迫するなか,最低賃金の引き上げが行われた。公務員などに適用される共通最低賃金は5月1日付けで1カ月73万ドンから83万ドンへ引き上げられた。国内企業および外資企業の労働者に対する最低賃金は通常年1回引き上げられるが,2011年は1月1日,10月5日と2回の引き上げが行われた。2回目の引き上げでは国内・外資企業の賃金水準が初めて統一され,地域により1カ月140万~200万ドンとなった。

(藤田)

対外関係

外交方針の基本的方向性

第11回党大会では,今後の外交基本方針についても定められた。そこでは,(1)主権と領土の保全の一層の重視,(2)アジア・太平洋地域の協力枠組み下における,ASEAN共同体に対するコミットメントの強化,という基本的な方向性が提示された。国防・保安については,祖国防衛の新しい条件のひとつとして「海上の島をめぐる主権競争」の存在が指摘され,海軍・空軍装備などの近代化が課題として挙げられている。2009年からとくに顕著となった南シナ海上のホアンサ諸島,チュオンサ諸島をめぐる,おもに中国との主権争いが背景にあるものと考えられる。ベトナムは同問題について,1982年国連海洋法条約,南シナ海における関係国の行動に関する宣言(DOC)に基づく解決の模索を,基本的立場としている。ASEANに対するコミットメントを強化し,同諸国をはじめとしてアメリカ,ロシア,日本,欧州,インドなどとの協力関係を維持,発展させながら,中国との関係をそうした多方面外交のなかに組み込み,関係を保ちつつも,独立を脅かされないよう外交上の均衡維持を模索するという,基本姿勢が看取される。

対中国関係――南シナ海上の主権争い

2011年前半の対中国関係は,従来からの懸案事項である南シナ海上のホアンサ諸島,チュオンサ諸島に対する主権をめぐる対立的な局面が目立った。5月下旬には,ベトナムの排他的経済水域内,大陸棚上において,ベトナム国家石油ガス集団の船の探査ケーブルが中国の海上監視船によって切断される事件が起きた。さらに,6月初めにはチュオンサ諸島海域で操業中のベトナム漁船が中国の3隻の艦船(tau quan su)により威嚇射撃を受けた。こうした事件の発生がベトナム国民のナショナリズムを刺激し,6月5日にはハノイ市内の中国大使館,ホーチミン市内の中国総領事館前に人々が集まり,抗議行動を行う事態に発展した。これ以降も抗議行動はしばらく続いた。時期を同じくしてシンガポールで開かれていた第10回アジア安全保障会議において,タイン国防相は5月下旬に起きた事件に言及したものの,ベトナムはあくまでも平和的な手段による問題解決を追求するとの従来方針を改めて示した。2011年後半に入っても,ベトナムの排他的経済水域内でベトナムとインドが石油ガス共同開発を行うことに対する,中国の反対が伝えられるなどしたが,両国政府の事態鎮静化に向けた動きの方が目立つようになる。7月末から8月初めにかけて越中専門家による海上問題解決に向けた会議がハノイで開かれ,8月下旬には北京でベトナム・中国国防・保安戦略対話が開かれるなど,両国政府間の取り組みが行われた。そして,10月中旬にはチョン書記長が中国を訪問し,海洋上の問題の解決のための基本原則について合意がなされ,両国政府級国境交渉団団長会合の年2回開催やホットライン設置などが決められた。12月下旬には次期中国共産党総書記,国家主席とされる習近平・中国国家副主席がベトナムを訪問し,両国指導層は友好的関係を世界にアピールした。しかしながら,第13期第2回国会において,国会代表からホアンサ諸島,チュオンサ諸島をめぐる問題について問われたズン首相が,事実上中国の支配が続くホアンサ諸島に対するベトナムの主権を断言したことが,tuoi tre紙1面で大きな見出しとともに報道されたことなどを考えると,両国政府が解決に向けて歩み寄りを見せ,いかに友好的関係を強調しようとも,真の問題解決に向けた道はけっして平坦なものではないと考えられる。

近隣諸国との関係――関係の維持,強化に努力

注目されたチョン書記長就任後初の外遊は,6月下旬のラオス訪問であった。ズン首相再任後初の外遊も9月上旬のラオス訪問である。ベトナムが対ラオス関係を重視する姿勢が看取される。ラオスからは,2月末から3月初めにトーンシン首相,8月上旬には3月開催のラオス人民革命党第9回党大会で再任されたチュームマリー同党書記長・国家主席が来訪した。また,両国の「特別な歴史的関係」を総括する取り組みや,7月中旬のNhan Dan紙常駐代表施設のラオス開設,同下旬の2011~2020年における両国の経済・社会開発に関するワークショップのヴィエンチャンでの開催など,関係の維持,強化に向けた動きがみられた。

カンボジアとも関係の維持,強化に努めた。3月上旬にはタイン国防相が同国を訪問し,国防協力計画に調印した。4月下旬にはズン首相が同国を訪問し,投資促進会議が開かれている。フン国会議長の就任後初の外遊先はカンボジアであり(9月中旬),12月上旬にはチョン書記長が同国を訪問した。また,カンボジア・ラオス・ベトナム(CLV)3国の関係では4月20日に治安担当相がホーチミン市で会議を組織し,保安・秩序の保全協力に関する共同宣言に調印した。12月上旬にラオスで開かれた第7回発展の三角地域調整委員会の会合でも保安・対外関係における関係強化の重要性が強調された。また,12月中旬にミャンマーで開かれた第4回大メコン川流域地域(GMS)首脳会議にはズン首相が出席している。

その他の東南アジア諸国との関係も,基本的に良好であった。サン国家主席就任後初の外遊は,9月下旬のシンガポール,マレーシア訪問であった。ズン首相はインドネシアで5月上旬と11月中旬に開催されたASEAN首脳会議および関連会合に出席した。また,9月中旬にはインドネシアを公式訪問し,2012~2015年の両国活動プログラムなどの署名に立ち会った。5月末,チュオンサ諸島海域に地理的に近いビントゥアン省の漁船7隻がフィリピン領海で非合法操業中にフィリピン海軍に拿捕され,漁民122人が拘束される事件が起きたが,徐々に漁民の解放が進められた。10月下旬にはサン国家主席がフィリピンを訪問し,両国海軍間の情報協力・情報共有の強化に関する覚書などの署名に立ち会っている。また,11月末にはインラック・タイ首相が来訪した。

対欧米諸国関係――着実な関係深化

2011年のアメリカとの関係は民主化問題など懸案は残るが,比較的堅調であった。6月中旬には政治・保安・国防対話,9月中旬には国防政策対話,そして11月上旬には人権対話がいずれもワシントンを舞台にして行われ,両国は相互理解を深めている。ヴ・フイ・ホアン工商相が5月下旬にアメリカを訪問した際には,アメリカ側と二国間投資協定(BIT),環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について協議(dam phan)を行った。11月中旬にハワイで開かれたAPEC首脳会議にはサン国家主席が出席した。また,6月下旬に上院,7月中旬に下院が,それぞれ南シナ海上の領土・領海をめぐる問題の平和的な解決を求める決議を可決した。アメリカのこうした動きは中国との領土,領海問題を抱えるベトナムにとって,「援軍」になったと考えられる。

欧州(旧ソ連諸国含む)との関係では,11月下旬にロシアとニントゥアン第1原子力発電所建設に対する信用供給について政府協定を締結した。同月下旬には外交・国防・保安戦略対話もモスクワで開かれている。原発プロジェクト受注でロシアと日本に遅れをとった形のフランスとの関係では,先述したロシアとの対話の1週間ほど前にパリで国防協力に関する越仏合同委員会が開かれた。しかし,6月13日~7月30日にホアンサ諸島西方海域からチュオンサ諸島北方の海域で中国がフランス側と協力して測量・科学調査を実施したとNhan Dan紙が伝えるなど,必ずしも友好的な要素ばかりではなかった。他方,10月中旬にはメルケル・ドイツ首相が来訪し,2010年のイギリスに続き,戦略的パートナーシップ樹立に関する共同声明を出した。イギリスとは10月下旬に初めての戦略対話がロンドンで行われている。一時,在ベトナム大使館の閉鎖を検討していたスウェーデンは大使館の維持を決めた。閉鎖となれば,他国への影響も憂慮されただけに,ベトナムにとって朗報となった。

対日本関係――関係深化の方向

3月11日の東日本大震災に際して,ベトナム政府は20万ドルの緊急支援を決定し,もし要請があれば医療隊の派遣を行う旨表明した。また,ベトナム赤十字の支援の呼びかけに対し,4月15日までの段階でベトナム国民から約612億ドンもの支援が寄せられた。6月上旬に訪日したサン党書記局常任(役職当時),10月末から11月初めに訪日したズン首相は,それぞれ千葉県,宮城県の被災地の慰問を行っている。訪日時,ズン首相は野田首相と共に約926億円の円借款に関する交換公文や,ベトナムからの看護師・介護福祉士候補者の受け入れに関する覚書に署名した。12月上旬に開かれた援助国会合で日本は2012年度に前年度を上回る約19億ドルの対越支援を約束した。ズン首相訪日に先立って10月下旬にタイン国防相が日本を訪問した際には,日越防衛協力・交流に関する覚書に署名し,海上の安全保障について域内各国が連携を図るということで意見が一致した。そして,12月上旬には2回目の日越戦略的パートナーシップ対話が東京で開催された。1月20日の原子力協定の調印など従来通り経済面にかかわる協力を軸としつつも,両国の協力関係はほかの重要分野にも浸透する方向にある。

その他の動き

韓国との関係では11月上旬にサン国家主席が同国を訪問した。また,4月下旬にハノイで第1回目の外交・国防・保安戦略対話が行われた。南アジア諸国との関係では,8月上旬にインドとの戦略対話,政治参考会議がハノイで行われ,9月中旬にインドから外相,国防省次官が来訪し,国防戦略対話,経済協力・通商・科学技術に関する両国政府合同委員会が開かれた。チョン書記長の中国訪問と同時期の10月中旬には,サン国家主席がインド,スリランカを訪問している。インドとの共同声明には南シナ海上の各国の主権争いの平和的手段による解決が盛り込まれた。ラテンアメリカ諸国との関係では,Nhan Dan紙は4月中旬に開かれた第6回キューバ共産党大会の様子を1面で報じ,9月上旬にはベトナムで外務省間政治参考会議が開かれた。ベネズエラとの関係ではベトナム国家石油ガス集団とベネズエラ側との石油ガス開発における協力が進められている。中東諸国との関係では,2月にリビア全土でカダフィ政権に対する反政府デモが勃発し,在リビアのベトナム人労働者の安全確保,帰国に向けた対応に政府は追われた。11月下旬にはペレス・イスラエル大統領が来訪し,両国は海上輸送協定などに調印した。アフリカ諸国との関係では,5月初めにグエン・ティ・ゾアン副国家主席,6月上旬にアイン公安相(役職当時)が南アフリカを訪問し,9月末にはモザンビークとの政府合同委員会が同国の首都マプトで開催された。12月中旬には,2012~2020年のアフリカ諸国との農業協力制度・政策に関する規定の公布をズン首相が決定している。

(寺本)

2012年の課題

2011年には今後5年間を担う新たな指導層が中央・地方で選ばれた。顔ぶれ,路線において継続性は保たれているが,新たな職責に就く指導者も多い。引き継ぎ作業を滞りなく終え,新たな職責に的確に対応しうるよう,すみやかに態勢を整える必要がある。国民が2桁を超えるインフレなどから抱く生活に対する不安感を払拭できるよう,当局は的確な対応策をとるだけでなく,説明責任をしっかりと果たす必要がある。

経済面では,インフレ抑制のための徹底した金融引き締めは,生産や投資のみならず雇用や消費までを含めた経済活動全般の停滞という少なからぬ代償をもたらした。マクロ経済の安定化と適度な成長を両立することの困難は明らかになってきているものの,両者のバランスに配慮した巧みなマクロ経済運営が求められる。さらに,短期的な対策に追われる状況から早急に脱却し,昨今のマクロ経済の不安定化の根底にある構造的な問題を解消すべく,中期的な改革に腰を据えて取り組む必要がある。経済構造再編の3つの柱をなす国有企業,公共投資,金融部門のそれぞれの分野において,改革を着実に実現していくことが肝要であろう。

対外関係では,グローバルな政治・経済状況,環境・気候の変動,中国との南シナ海上の主権争いなど,これまで以上に各国との緊密な協力が求められる状況下にある。関係の悪化から得られるものは何もない。的確に情勢分析を行いつつ,しなやかかつ柔軟な対応が求められる。

(寺本:地域研究センター)

(藤田:地域研究センター研究グループ長代理)

重要日誌 ベトナム 2011年
  1月
1日 政府,最低賃金を改訂。地域により国内企業は1カ月83万~135万ドン,外資企業は110万~155万ドンに。
5日 党政治局,第13期国会代表選挙,各級人民評議会代表選挙の領導について指示。
5日 ライチャウ水力発電所建設,正式着工。
9日 第10期第15回党中央委総会,開催。
11日 ベトナム商品取引所,ホーチミン市に開業。コーヒー,ゴム,鉄鋼の取引を行う。
12日 第11回党大会,開催(~19日)。
21日 国会常務委員会,国会代表選挙・人民評議会代表選挙の実施日(5月22日)と選挙評議会の設立について決議。
  2月
10日 党政治局,第13回国会代表選挙・人民評議会代表選挙工作の展開のための全国会議を組織。
11日 国家銀行,ドンの対米ドル為替レートを9.3%切り下げるとともに,許容変動幅を3%から1%に縮小。
18日 『共産』誌,カントー市に南部西方地域代表事務所を開設。
24日 政府,インフレ抑制,マクロ経済安定,社会保障の保証のための主要方策について決議(以下,政府決議11号)。
24日 財政省,ガソリン価格の1リットル当たり2900ドンの引き上げを承認。
24日 ズン首相,裾野産業の発展奨励政策について決定。
27日 ビン最高人民裁判所長官,日本訪問(~3月4日)。
28日 トーンシン・ラオス首相,来訪(~3月2日)。
  3月
1日 国家銀行,マクロ経済安定化のための01号指示を出す。金融機関に対し,与信増加率を20%以内に抑えることなどを徹底。
1日 電力価格,平均15.28%の引き上げ。
1日 ベトナム石炭・鉱物集団(Vinacomin),ベトナム電力集団(EVN)に対する石炭価格を5%引き上げ。
2日 ホーチミン市内に建設中のNhan Dan紙社屋が落成。
9日 教育・訓練省,数学高級研究所の設立を決定。所長にフィールズ賞受賞者のゴー・バオ・チャウ教授。
14日 外務省,3月11日に起きた東日本大震災で政府が20万ドルの緊急支援と要請あれば医療隊の派遣を行うことを表明。
16日 党政治局,2011年の経済・社会状況について結論。
21日 第12期第9回国会,開催(~29日)。
29日 財政省,ガソリン価格の1リットル当たり2000ドンの引き上げを承認。
  4月
1日 EU,ベトナム製革靴に対する反ダンピング課税を撤廃。
4日 ハノイ市人民裁判所,インターネット上に反国家的文書を流したとされる被告に対し,懲役7年の判決。
15日 ズン首相,市場制度に従った電力価格調整を認める決定。6月1日から適用。
22日 党書記局,第5回ベトナム退役兵士の会全国代表者大会に向けた各級大会の領導について指示。
23日 ズン首相,カンボジア訪問(~24日)。
26日 選挙評議会,第13回国会代表選挙立候補者の名簿を公布。
  5月
1日 政府,共通最低賃金を1カ月73万ドンから83万ドンに引き上げ。
7日 ズン首相,第18回ASEAN首脳会議と関連会合に出席(ジャカルタ,~8日)。
12日 外務省,ディエンビエン省で4月末から5月初めに起きたモン族の「王国」建設を目指す動きについて説明。
14日 党政治局,ホー・チ・ミン道徳の範に従った学習と仕事の継続的推進について指示。
19日 政府,2011~2020年における持続可能な貧困削減の方針について決議。
22日 第13回国会代表選挙,各級人民評議会代表選挙を実施。
29日 外務省,26日にベトナムの排他的経済水域,大陸棚でベトナム国家石油ガス集団の船が探査活動中,中国船が探査ケーブルを切断した事件で,中国に対して抗議。
30日 労働・傷病兵・社会問題省ほか,2010年の貧困世帯センサスの結果を公表。全国の貧困世帯は約300万戸。
  6月
1日 サン党書記局常任,日本訪問(~4日)。千葉県旭市の震災被災地を訪問。
2日 外務省,中国船が1日,チュオンサ諸島海域で操業中のベトナム漁船に対し威嚇射撃を行った事件で,中国に抗議。
3日 タイン国防相,第10回アジア安全保障会議(シンガポール,~5日)に出席。梁・中国国防相と会談し,全体会合で演説。
9日 中間援助国会合,開催(ハティン)。
10日 ベトナム鉄鋼総公司(VNSteel),ハノイ証券取引所で新規株式公開(IPO)を実施。
16日 ベトナム航空,ハノイ=クアラルンプール便を就航。
19日 ベトナム海軍と中国海軍,北部湾上共同パトロールを実施(~20日)。
20日 チョン書記長,ラオス訪問(~22日)。
27日 UNESCO,タインホア省の「胡朝の城塞」を世界文化遺産として公認。
  7月
1日 農村・農業・水産業センサス実施。
1日 21省・中央直轄市で正式に農業保険の試験的実施を開始。
4日 第11期第2回党中央委総会,開催(~10日)。
18日 政府,国家資本100%企業の株式化について議定。
18日 Nhan Dan紙,ラオス(ヴィエンチャン)に常駐機関を開設。
20日 メコン住宅開発銀行(MHB),ホーチミン証券取引所でIPOを実施。
21日 第13期第1回国会,開催(~8月6日)。国家主席,首相など主要人事を決定。
22日 グエン・カオ・キ元南ベトナム共和国副大統領,マレーシアの病院で死去。
28日 ベトナム石油集団(Petrolimex),ハノイ証券取引所でIPOを実施。
  8月
8日 チュームマリー・ラオス人民革命党書記長・国家主席,来訪(~10日)。
8日 第1回1992年憲法修正草案委員会,開催(ハノイ)。フン国会議長が委員長。
8日 ベトナム・インド第2回戦略対話,第5回政治参考会議,開催(ハノイ,~9日)。
26日 国家銀行,商業銀行大手12行の代表を召集し,年末に向けた銀行セクターの任務について会合。ビン総裁は会合の定期的開催を示唆。
27日 財政省,ガソリン価格の1リットル当たり500ドン引き下げを通報。輸入価格の低下を受けた調整。
28日 第2回ベトナム・中国国防・保安戦略対話,開催(北京)。
  9月
1日 党書記局,第10回ホーチミン共産青年団全国代表者大会に向けての各級大会の領導について指示。
5日 ホーチミン証券取引所,ヴィエンドン薬品株式会社を上場停止に。情報開示にかかわる規定違反のため。
6日 ベトナムのマクロ経済状況に関する国際パートナーとの諮問会議を開催。
7日 第1回1992年憲法修正草案編集委員会,開催(ハノイ)。
7日 国家銀行,指示02号を出し,金融機関のドン建ておよびドル建て貸出金利水準について規制を徹底。
8日 ヴォー・チ・コン元国家評議会主席,死去。
9日 ズン首相,ラオス訪問(~10日)。
13日 ズン首相,インドネシア訪問(~14日)。
15日 フン国会議長,カンボジア訪問(~20日)。第32回ASEAN議員会議(AIPA)開幕式典に出席。
19日 第2回ベトナム・アメリカ国防政策対話,開催(ワシントン)。
19日 ズン首相,外国投資の管理について指示。
25日 9月の政府月例会議,開催(~26日)。着実な金融財政政策を堅持の方針。
26日 サン国家主席,シンガポール,マレーシア訪問(~30日)。
27日 ズン首相,オランダ,ウズベキスタン,ウクライナ訪問(~10月6日)。
27日 ハノイ国家大学,政治科学科設立決定の公布式典を挙行。
30日 ベトナム外商銀行(Vietcombank),みずほ銀行に発行済み株式の15%を売却する契約を締結。みずほ銀行はVietcombank初の戦略投資家に。
  10月
5日 最低賃金,改訂。初めて国内企業と外資企業の水準が統一され,地域により1カ月当たり140万~200万ドンに。
6日 第11期第3回党中央委総会,開催(~10日)。
10日 政府議定101号に従ったコメ輸出業者の登録期限。
11日 チョン書記長,中国訪問(~15日)。
11日 メルケル・ドイツ首相,来訪(~12日)。
11日 サン国家主席,インド,スリランカ訪問(~15日)。
11日 ズン首相,農林水産物加工や製造業で多数の労働者を雇用する企業に対し,2011年の法人所得税の1年の延納を認めると決定。
18日 1992年憲法執行総括指導委員会,第1回会合開催。
20日 第13期第2回国会,開催(~11月26日)。2011~2015年の経済・社会発展計画に関する決議などを可決。
21日 党書記局,新しい状況における食品安全問題に対する党の領導強化について指示。
26日 サン国家主席,フィリピン訪問(~28日)。
26日 第1回ベトナム・イギリス戦略対話,開催(ロンドン)。
30日 ズン首相,日本訪問(~2日)。
31日 ナザルバエフ・カザフスタン大統領,来訪(~11月1日)。
  11月
1日 チョン書記長,党条例執行規定などについて決定。
3日 10月の政府月例会議,開催(~5日)。引き続き政府決議11号の精神に従った施策を堅持しつつ,生産・経営を推進へ。
4日 政府,世銀と協力関係会議を開催(ハノイ)。
4日 政府,中小企業および多くの労働者を雇用する企業などに対する2011年の法人所得税の減免措置について議定。
8日 政府,2011~2020年の国家行政改革総合プログラムの公布を決議。
8日 サン国家主席,韓国訪問(~10日)。後,ハワイで開催の第19回APEC首脳会議に出席(~13日)。
11日 チリとの自由貿易協定(FTA)に調印。
11日 国家銀行,金融機関の財務状況などについて定期的な情報開示を求める通知を出す。2012年4月1日から実施。
17日 ズン首相,第19回ASEAN首脳会議と関連会合に出席(バリ,~19日)。
20日 サイゴン川を貫くトゥーティエム・トンネルが開通。
22日 ペレス・イスラエル大統領,来訪(~26日)。
25日 工商省の傘下機関としてエネルギー総局,設立。
28日 第7回ベトナム共産党,中国共産党理論ワークショップを開催(江蘇省,~30日)。
28日 第4回ベトナム・ロシア外交・国防・保安戦略対話,開催(モスクワ,~29日)。
30日 インラック・タイ首相,来訪。
  12月
1日 バリア・ヴンタウ省にカイメップ国際港が正式開業。大規模な深海コンテナ積み替え港に。
2日 日本・ベトナム戦略的パートナーシップ対話,開催(東京)。
4日 フン国会議長,ベルギー,欧州議会,イギリス訪問(~11日)。
4日 ハノイのノイバイ国際空港第2旅客ターミナルビル,建設着工。
5日 ベトナム科学・技術院(VAST),アメリカ航空宇宙局(NASA)と人材育成,環境問題などに関する協力プログラムに署名。
5日 党政治局,幼児教育普及,小中学校教育の普及強化,識字教育強化などについて指示。
6日 チョン党書記長,カンボジア訪問(~8日)。
6日 援助国会合,開催(ハノイ)。2012年の支援約束額は73億8600万ドル。
6日 国家銀行,デニャット銀行,ティンギア銀行,サイゴン商業銀行の自主的合併を認めると発表。3行とベトナム投資開発銀行(BIDV)は戦略的提携についての覚書に調印。
8日 ズン首相の主催による国有企業再編・刷新10カ年総括会議,開催(ハノイ)。
9日 党政治局,工業化・近代化,国際参入推進期におけるベトナム経営者の建設と役割の発揮について決議。
9日 ズン首相,11月初めに洪水被害を受けたトゥアティエン=フエ省など4省に対し,550億ドンの支援を決定。
9日 ズン首相の主催による国家経済集団モデルの予備的総括会議,開催(ハノイ)。
12日 政府官房,競争的発電市場への移行を2012年1月には実施せず,2012年2月末に再検討のうえ,条件が整っていれば実施するとのハイ副首相の結論を発表。
14(紙面掲載日)日 2020年までに体育・スポーツに関する力強い発展を生み出すための党の領導強化について決議。
15日 ダナン国際空港の新ターミナル,開業。
19日 ズン首相,第4回大メコン川流域地域(GMS)首脳会議に参加(ミャンマー,~20日)。その後,同国を公式訪問(21日)。
19日 財政省,石油輸入業者4社の検査結果を公表。Petrolimexらは販売店に対し規定より高い手数料を支払うことで,石油輸入事業の損失額を大きく見せていたと指摘。
19日 ホンダベトナム,ハナム省で二輪車第3工場の建設に着工。
20日 ベトナム電力集団(EVN),電力価格を平均5%引き上げ。
21日 チョン党書記長,サン国家主席,フン国会議長,訪越中の習・中国国家副主席と会談。ズン首相は翌22日に対面。
26日 第11期第4回党中央委総会,開催(~31日)。
28日 BIDV,ハノイ証券取引所でIPOを実施。
28日 ベトナム商工会議所(VCCI),各省庁のビジネス関連法制度の策定および実施の効率性指数を初めて発表。

参考資料 ベトナム 2011年
①  国家機構図(2011年12月末現在)
②  ベトナム共産党指導部(2011年12月末現在)
③  国家機関要人名簿
④  2012年の主な目標と主要指標

主要統計 ベトナム 2011年
1  基礎統計
2  支出別国内総生産(名目価格)
3  産業別国内総生産(実質:1994年価格)
4  所有形態別国内総生産(実質:1994年価格)
5  生産統計(実質:1994年価格)
6  国・地域別貿易
 
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