Yearbook of Asian Affairs
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2012 Volume 2012 Pages 95-130

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2011年の中国 政権交代を前に経済成長が鈍化

概況

2011年の中国は,政権交代を前にして権力闘争が展開されると同時に,経済成長が鈍化し,インフレとバブルが鎮静化する1年となった。

国内政治は,第18回党大会を翌年ににらみ,権力闘争が激しくなってきた。他方,ネットや「微博」(中国版ミニブログ)を利用した民衆の権利表出行動や当局批判の影響力がますます大きくなり,当局も対応に苦慮した。

国内経済は,年前半に住宅に象徴されるバブル,豚肉価格の高騰を受けて現れたインフレが,年後半には鎮静化に向かった。

対外関係は,欧州ソブリン危機やリビア情勢などで独自の立場を貫き,大国としての存在感をいっそう増している。他方,海洋権益拡大の動きを続けており,アメリカを含め関係国の反発を招いた。

国内政治

高速鉄道事故に凝縮された政治趨勢

7月23日,温州=杭州間で高速鉄道列車の追突事故が発生し,40人が死亡した。鉄道部は発生直後から事故車両を地中に埋め,現場検証することなく,運行再開を急いだ。28日,温家宝総理が被害者,遺族を慰問し,鉄道部の責任に言及したことで事態は一転した。8月に入り,国務院が事故原因の調査,高速鉄道の安全性に関する検査実施を指示した。12月,国務院が調査報告を聴取した結果,事故原因は信号系統など列車の制御設備に重大な欠陥があり,落雷後の緊急措置も不適切だったと結論づけられた。そして劉志軍前鉄道部長ら54人の処分を決定した。

この事故からは2011年の政治趨勢がみえてくる。第1に,第18回党大会に向けた権力闘争である。この事故に先立ち,2月に劉志軍が鉄道部党組書記を解任された。「重大な規律違反」容疑で取り調べを受けているとされ,高速鉄道建設での業者との癒着が原因とみられている。その背景には「独立王国」ともいわれる鉄道部の事業独占が関係しており,それを支えたのが江沢民前総書記といわれている。劉志軍の解任は江沢民に対する胡錦濤総書記らの牽制との見方もあり,この事故は追い打ちとなった。

第2に,民衆の権利表出意識の高まりである。当局は死者1人当たりの賠償金を当初50万元と設定した。しかし,事故後の当局の対応に不満をもつ遺族やその支援者が抗議行動を起こしたこともあり,最終的に91万5000元に引き上げられた。

第3に,メディアをめぐる自由化と規制である。事故直後から国内メディアが独自の取材記事を掲載するほか,記者らが個人で「微博」を使ってより詳細な状況を伝え,鉄道部の対応を批判した。中央宣伝部(中宣部)はメディアに対し「救援作業などプラス面を中心に報道するように」との通達を出したが無視された。その後政府発表以外のニュース,論評の報道を禁じる厳しい通達を出した。8月,中宣部がメディアに対し「末端に行き,作風を転換し,文風を改める」活動と呼ばれる末端の社会的な話題を重点的に取材し報道することを指示した。その目的はメディアの関心を事故からそらすためと推測される。また9月,北京の新聞『新京報』と『京華時報』が北京市党委員会宣伝部の直接管理下におかれることになったのも,中宣部無視への懲罰的な意味があった。

第18回党大会に向けた権力闘争が表面化

中央政治局常務委員のうち,次期総書記就任が確実視されている習近平は,国内では表立った発言を控え,「安全運転」に徹する一方,積極的に「お披露目外交」を展開している。同じく李克強は,低所得者向け住宅プロジェクトなど民生関連の政策執行に力を入れる一方,経済通のアピールに余念がない。

他方,総書記任期が残り2年となった胡錦濤はレームダック化回避に必死だった。2011年は7月に中国共産党創立90周年と10月に辛亥革命100周年を迎え,胡総書記もこのイベントを政治的に利用しようとした。胡総書記は,共産党創立90周年記念大会で,「今日,生気にあふれる社会主義中国が世界の東方にそびえ立ち,13億の中国人民は中国の特色ある社会主義の偉大な旗印の導きの下に,自信にあふれて中華民族の偉大な復興に向かっている」と述べ,90年間の共産党の指導を自賛した。辛亥革命100周年記念大会では,「中国共産党人は孫中山先生の切り開いた革命事業のもっとも強固な支持者であり,もっとも親密な協力者であり,もっとも忠実な継承者である」と述べた。

しかし,辛亥革命記念大会の話題をさらったのは江前総書記だった。7月6日,香港のテレビ局ATVが「江沢民死去」と報道した。翌7日,新華社はこの報道を「まったくのデタラメ」と否定したが,その真偽については不明だった。江前総書記が10月の辛亥革命記念大会に出席したことは,死亡説を一蹴し,第18回党大会に向けてのキーパーソンの1人であることを誇示するためだった。

第18回党大会後の中央軍事委員会主席ポストにも注目が集まっている。2011年1月1日付『解放軍報』の社説に「国防と軍隊建設の科学的発展を主題とする」と「戦闘力生成モデル転換の加速を主線とする」という文言が初めて登場した。その後「胡主席の国防と軍隊建設に関する主題主線に関する重大戦略思想」として宣伝されている。これは現任の胡錦濤の軍事理論の体系化の一過程とみられ,第17回党大会後に江沢民が同ポストに留任した時と同じようなプロセスを胡錦濤もたどっている。

10月,党第17期中央委員会第6回全体会議が開かれ,「文化体制改革を深め,社会主義文化の大発展,大繁栄を促す若干の重大な問題に関する党中央の決定」が採択された。打ち出された方針のひとつは文化強国の構築である。国際社会において,経済力・軍事力だけでなく,ソフトパワーでも世界を席巻するために,国内の文化事業・文化産業の体制を改革しようということである。しかし,これには党内のイデオロギー論争を抑え込む目的もあった。経済格差や腐敗などの問題に対し,政治改革や市場経済化が進んでいないことを原因とする右派(改革派)と行きすぎた改革を原因とする新「左」派(保守派)という両極から胡政権批判が展開されている。とりわけ右派の代表的な経済学者である呉敬璉の胡政権批判は激しく,『人民日報』(11月28日付)にも掲載された。そのため,「社会主義の核心的価値」が強調され,現状肯定のスタンスで党内を意思統一する目的があった。

次期中央政治局常務委員入りをねらう同局委員の薄煕来(重慶市党委員会書記)と汪洋(広東省党委員会書記)の「ケーキ」論争も注目された。薄は「(ケーキの)分配の重要性」を,汪は「(ケーキを大きくする)成長の重要性」を説き,暗に相手方を批判した。これに対し分配,成長ともに重要との評論が数多くみられ,舌戦をエスカレートさせる両者を批判した。

部・省レベルの人事では,鉄道部長と国家人口計画出産委員会主任が交代し,国家民族事務委員会主任の楊晶が同党組書記に就任した。省レベルの党委員会書記は5人(うち4人は引退),首長は8人(うち3人は引退)が交代した。しかしこの人事は,次期中央政治局委員以上の人事とは直接関係ないとみられる。

全国人民代表大会の動き

3月に開かれた第11期全国人民代表大会(全人代)第4回会議では,「第12次5カ年計画要綱に関する決議」が採択された。2010年度には前年度実績比で1桁の伸びにとどまった国防予算への対応が注目されたが,2011年度予算案では12.7%増の6011億元(約7兆5000億円)に上り,再び2桁の伸びとなった。増加の理由として,装備増強や軍事訓練,人材育成,軍人の待遇改善などがあげられたが,軍の巻き返しがあったことが推測される。

最高人民検察院活動報告によれば,2010年に汚職などで立件された公務員は4万4085人(前年比6.1%増),そのうち閣僚級6人を含む局長級以上の幹部は2723人(同2%増)にのぼった。この報告の採択での反対票と棄権票はあわせて全票中の約20%,さらに最高人民法院活動報告の採択では同約22%と,相変わらず少なくない「批判票」が投じられた。これは幹部の腐敗に対する不満の表明とみられた。

幹部の汚職に対し,当局は手を打っていないわけではない。国務院は中央部門の「三公」と呼ばれる公用車,公費による飲食,公費出張の経費圧縮を決定し,5月に中央部門に2010年度「三公」経費の決算額と2011年度「三公」経費予算の公開を指示し,実施された。さらに6月には,審計署(会計検査院に相当)が会計検査の対象をこれまでの一部の中央の高官に加え,省レベルの党委員会書記に拡大することを提案した。しかし,審計署は第三者的な監督機能を有していないため,その効果は期待できない。

全人代常務委員会では,2月に刑法修正案が採択され,証券詐欺や窃盗などの13の罪が死刑の適用対象から外された。個人所得税法改正案の審議では,公開意見請求が24万近く集まり,人々の関心の高さを示した。当初案は控除額を2000元から3000元へと引き上げていたが,最終的に3500元に上方修正した末,6月に採択された。10月に採択された住民身分証法では,身分証に指紋情報がインプットされる条項に対し批判も多かった。

ジャスミン革命の影響

チュニジアでの「ジャスミン革命」に端を発し,中東や北アフリカの一部の国に連鎖した民主化運動,政権交代の動きに中国も無縁ではなかった。2月20日(日曜日)に国内13都市での「中国ジャスミン革命」集会開催を呼びかける書き込みが,その数日前から反体制派のサイトに掲載され,それがほかのサイトに転載されていった。当局は書き込みの削除や反体制活動家らの行動監視を強化し開催阻止に全力をあげた。当日は,北京や上海など一部の都市では野次馬を含め多数の人が集まり,参加者の一部が拘束された。しかし多くの都市では人が集まらず,集会は不発に終わった。翌週27日の集会の呼びかけは23都市に拡大し,その後も毎週日曜日ごとに開催の呼びかけが続いたが,行動に移されることなく自然消滅した。

その理由として,当局の取り締まり強化がある。また,呼びかけが組織的なものではなかったこともあり,海外から発信されていたともいわれている。さらに人々の政治への無関心がある。当局の説明通り,中国は経済発展により,人々が経済的な豊かさを享受しており,政治社会的不安定を望んでいないため,「ジャスミン革命」が発生する状況にはなかった。

しかし,呉邦国全人代常務委員会常務委員長が,3月の全人代で「中国の特色ある社会主義の道を堅持するうえで,もっとも重要なことは正しい政治方向を堅持することで,国の根本的制度などにかかわる重大な原則的問題で動揺しないことである。動揺すれば,社会主義近代化建設など語ることはできないし,これまでの発展の成果も失うことになり,果ては国が内乱の深淵に陥るおそれがある」と述べたことは,当局が「ジャスミン革命」と関連した反体制派の動きに強い警戒感をもっていたことを示している。

4月に四川大地震の被害者救済活動を通じ政府批判を展開していた芸術家の艾未未が拘束された。当局はその理由を巨額の脱税と説明したが,国内外の関心が高まり,6月に保釈された。温総理の外遊を控え,人権批判を和らげるためとみられた。

影響力を増す群体性事件

群体性事件と呼ばれる集団抗議行動の件数は2006年以降,公式に発表されていないが,2月23日付『人民日報』に「群体性事件は増えている」と指摘する中国社会科学院の文章が掲載された。群体性事件は件数のみならず,その影響力もますます大きくなっている。

遼寧省大連市で8月14日,8日の台風により防波堤が崩壊し,ポリエステル繊維原料のパラキシレンを生産する福佳大化の工場から有毒物質が漏出したことで,1万人を超える市民が抗議デモを決行した。大連市当局は生産の即時停止と工場の移転を決定した。広東省スワトウ市では12月に発電所建設計画に反対する住民約5万人のデモが起こり,市政府は建設計画の中断を発表した。このように,住民との合意なしでは当局が政策を遂行できない状況がますます増えている。

広東省では6月,増城市新塘鎮大敦村で,治安関係者が四川省から出稼ぎに来ていた露天商の妊婦に対し暴行を加えたことを機に,日常的に地元政府に不満をもっていた出稼ぎ者ら1000人が警察署を襲撃した。7月,広州市当局は,鎮幹部と村幹部ら6人の処分を決定したが,『人民日報』には広東省当局の対応を間接的に批判する論評も掲載された。11月には陸豊市烏坎村で村民委員会幹部選挙の長年にわたる不正実施に抗議する村民約4000人のデモが発生した。同村では9月にも村幹部の土地取引の不正に村民約3000人が抗議し警官隊と衝突していた。その後も村民らがインターネットを通じて国内外に支援を呼びかけたことで活動が注目された。12月11日,抗議デモのリーダー格の1人が身柄拘束中に急死したことから村民がさらに反発を強めた。21日,朱明国広東省党委会長副書記は村民代表と会談し,拘束者の釈放や選挙のやり直しなど村民の要求に応じ,デモは回避された。22日付『人民日報』は,村民の利益要求を「合理的」とし,その要求に応じた広東省当局の解決方法を評価した。類似の大規模な群体性事件は貴州省でも8月に発生しており,広東省に限ったものではなく,全国的に深刻な問題である。しかし,村民の要求が通った烏坎村のケースはきわめてまれといえ,その対応に地方政府が苦慮する状況に変わりない。

胡総書記は,2月に「社会管理の科学化の水準を高め,中国の特色をもつ社会管理システムを構築しよう」と題する重要講話を行い,社会管理強化を指示した。混乱する末端社会の管理を立て直すという喫緊の課題への対応である。胡政権は,この社会管理を残りの任期における最後の重要な取り組みと位置づけている。

複雑化する民族問題

内モンゴル自治区では,5月11日に西ウジムチン旗で石炭運搬トラックがモンゴル族の牧畜民をひき殺す事故が,15日にはシリンゴール盟アバグ旗で住民と衝突した鉱区労働者がフォークリフトで住民をひき殺す事件が発生した。石炭採掘による鉱区の騒音,粉塵や飲料水の汚染,運搬トラックの暴走などに対するモンゴル族の日常的な不満が大きい。これらの出来事をきっかけに,死亡原因の究明やモンゴル族の人権尊重を求め,大規模な抗議デモが各地で発生し,25日にはシリンホト市内で数千人が政府庁舎を取り囲んだ。こうした事態に,区内の主要都市に戒厳令が敷かれたとも伝えられたが,当局は確認していない。5月末,外交部が「民衆の合理的な要求に対して,地方政府は積極的に対応するし,環境保護と経済発展をうまく処理するよう努力する」とし,民族問題とは切り離す見解を示した。区当局は,2011年の民生分野への投資を前年よりも276億4000万元多い788億6000万元に増やした。6月には国務院が生態建設と環境保護を全面的に推進するなど8項目の指示を出した。7月には早くも2つの事件の被告に死刑判決が言い渡され,早期解決が図られた。

チベット自治区は共産党による解放60周年を迎えた。7月にラサ市で開かれた記念大会で習中央政治局常務委員は「社会制度の歴史的飛躍を実現し,経済・社会の全面的発展を実現し,人民の生活水準が大幅に向上し,各民族の団結が強固になった」として,共産党による60年間の統治を正当化した。

他方,3月中旬の四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県を機に,同省カンゼ・チベット自治州道孚県,さらにはチベット自治区チャムド地区で,チベット族の自由を求めるチベット僧の焼身自殺が相次ぎ,12月までに少なくとも12人の死亡が確認されている。当局はこれらを「姿を変えたテロの一種」と断定した。4月,チベット亡命政府の首相にロブサン・サンガイ氏が当選し,中国当局との対話を求めたが,当局は応じていない。

新疆ウイグル自治区では,7月に和田地区の公安派出所で爆破事件が,カシュガル地区で2件の無差別襲撃事件が発生した。当局はこれらを暴力テロ事件と断定した。8月,孟建柱公安部長が同区で開かれた全国対テロ工作会議で党中央指導者の重要指示を伝え,「暴力テロ活動を行う犯罪者に対しては容赦なく厳罰に処し,決して寛大にすることなく,決して手加減しない」と強調した。11月にはウルムチ市内に特殊警察官数千人が配備されたことが判明した。しかし,12月にも和田地区でテロ集団の襲撃事件が発生し,死傷者が出たことが確認されている。

(佐々木)

経済

バブルとインフレ懸念が第4四半期に反転した2011年

2011年の中国経済は,国内総生産47兆1000億元(名目:約581兆円),対前年比で9.2%(実質)の伸びとなった。年初から第4四半期までのマクロ経済運営において最大の懸念であったインフレは,消費者物価指数で5.4%の伸びとなった。2008年頃から断続的に問題になってきた食糧価格の上昇に引っ張られたインフレと,不動産価格の上昇に象徴されたバブルとが,年初の最大の懸念事項であったが,ギリシャ財政危機に端を発する欧州ソブリン危機の影響が,10月頃から徐々に現れはじめ,輸出,輸入ともに伸びが鈍化し始めた。貿易収支の縮小を受けて,2011年12月期には外貨準備が前月を下回り,香港での人民元為替レートは一時下落に転じた。2008年以来過熱気味に推移してきた中国経済は,鎮静化し始めている。

この景気の動向にあわせ,マクロ経済政策も対応した。中央銀行である中国人民銀行は,2011年10月までに貸出金利と銀行預金準備率の引き上げを計6回行い,預金準備率はあわせて3ポイント,貸付基準金利を0.75ポイント引き上げた。そのほか,公開市場操作での流動性の吸収,選択的な準備率調整,貸付規模上限規制なども行い,マネーサプライと融資残高の調整を行った。しかし,10月以降,欧州ソブリン危機の影響が出始めると,緩和的な金融政策に転じた。預金準備率を0.5ポイント引き下げ,3年物中央銀行手形の発行を停止した。この結果,マネーサプライ(M2)の伸びは13.6%,金融機関貸出額残高の伸びは15.8%となった。12月の貸出金利の加重平均は8.01%で,年初に比べ1.82ポイント上昇した。また,年平均の人民元対米ドルレートは1ドル=6.3009元となり,年初に比べ5.11%増価した。

第12次5カ年計画始動

2011年は,第12次5カ年計画の第1年度としてスタートした。今回の5カ年計画の主眼は,社会主義市場経済体制を堅持しながらイノベーション志向,資源節約型へと,経済発展方式の転換を加速させることにある。これにより,(1)内需を拡大し,さらにGDPの伸びを上回る国民収入の伸びを達成すること,(2)生産構造の転換と地域間の協調的発展,(3)省エネと二酸化炭素排出削減などの達成,(4)新興産業の育成を進めることを目的としている。農業に関しては,食糧生産能力の確保を目的とし,そのための農業技術水準の向上,農業生産構造の調整を行い,農民の収入拡大も目標とする。鉱工業については,産業構造の高度化,地理的配置の最適化,技術改造能力の向上を掲げ,そのために,自動車,鉄鋼,セメント,機械製造,電解アルミ,レアアース,電子情報,医薬品などの産業を重点産業とし,買収合併により産業の集中度を引き上げ,中国ブランドの構築を目指す。新興産業としては,省エネルギー・環境保全型産業,最新移動通信技術,バイオテクノロジー,飛行機・ヘリコプター,衛星通信,GPSなどの高度製造業,新エネルギ-・新材料,新エネルギー自動車産業の振興を目指す。

そのうち,2011年の改革目標としては,次の8つが掲げられた。(1)国有資産管理について国有部門の進出・退出する分野を明確にする,(2)行政改革を行い政府機能の転換を行う,(3)税制改革を進め,県レベルの税収の確保等を強化する,(4)金融改革,(5)水,電力,石油,天然ガス,鉱物を中心とする資源価格改革を行い,需給および環境破壊コストを反映した価格形成システムを導入する。これにより,資源を節約し,環境破壊を抑制する。(6)社会体制改革を行い,社会事業と行政事業,営利事業と非営利事業の分離を行う。(7)公平性を考慮した再分配と社会保障制度の構築を行う。(8)都市と農村の発展メカニズムの統一を行い,都市化による発展を促進するため,農村の土地,戸籍管理,基本公共サービス制度の改革を行うとした(2011年4月7日,発展改革委員会副主任彭森)。

さらに2011年11月までには産業,地方ごとの5カ年計画が出そろった。サービス貿易の強化,バイオテクノロジー関連産業の振興,二酸化炭素排出削減,環境負荷の軽減を謳い,具体的な手段としては,重点産業については公有制を維持しながら企業買収などを通じて集中度を高める,という方法を示している。

欧州ソブリン危機と引き締め政策がもたらした経済過熱の沈静化

2008年の北京オリンピックの前後から続いた経済過熱が沈静化すると同時に,金融面での調整的な動きが続いた。まず,住宅購入制限策,低所得者向け住宅の整備といった不動産引き締め政策が行われた。また,資金調達プラットフォーム(融資平台)と呼ばれる地方政府がインフラ整備などのために設立した第3セクター向け融資について,デフォルト懸念が広がり,さらに温州では中小企業の倒産連鎖が起こった。

ここ数年続いてきた不動産価格の上昇がバブルを懸念するレベルに達したため,2011年1月,国務院は「不動産市場のコントロールをさらに着実に行うことに関する問題についての通知」を発表した。この通知では,低所得者向け住宅の整備,2軒目の住宅購入を制限する住宅購入制限策,各地での不動産価格上限目標の設置などが発表された。これにより,投機的な住宅需要が抑制されたため,2011年末には全国的に不動産価格が対前年比で下落し始めた。2011年12月期の全国70大中都市の不動産価格統計では,新築物件と中古物件それぞれ,53都市,52都市において前月比で下落,新築について8都市,中古について29都市で前年同月比で下落した。

資金調達プラットフォームは,改革開放後,地方政府の資金調達手段として利用されるようになったが,2008年に始まった4兆元の景気刺激策をきっかけに急激に利用が増えた資金調達方法である。政府が土地や株式,財政資金を投資する形で設立し,銀行からの借入,債権・株式の発行を行い,地方のインフラへの投資などを実行した。その結果,地方政府の負債が2009年に急激に拡大した。銀行業監督管理委員会および中国人民銀行は,2008年から独自に調査を開始し,2008年初1兆7000億元あまりに過ぎなかったプラットフォーム向け融資が,2009年には7兆3800億元に跳ね上がり,2010年末には9兆900億元にまでふくらんだことを報告している。これを受けて,銀行業監督管理委員会は,新規融資の禁止と既存債務整理の原則を打ち出し,プラットフォーム向けの融資の増加を抑制する措置をとった。そして,2011年2月には,日本の会計検査院にあたる審計署の精査が始まった。表1は,この審計署の精査,中国人民銀行の公開報告,銀行業監督管理委員会の内部調査の結果と比べたものである。審計署の地方債務総額と,銀行業監督管理委員会のプラットフォーム向けの融資総額の調査結果は,ほぼ同規模であるが,中国人民銀行の報告とは5兆元近い差があり,これが国内外で銀行株をもつ投資家のパニックを誘った。その後,銀行業監督管理委員会の数字には,鉄道,道路,飛行場,インフラなどの整備プロジェクトのためのプラットフォーム向け融資が含まれていないことが報道された(『新世紀』2011年第23期,29ページ)。

表1  資金調達プラットフォーム向けの融資(2010年末)

(出所) 中国人民銀行『2010年区域金融運行報告』,2011年6月1日。審計署『2011年第35号:全国地方政府性債務審計結果』,2011年6月,銀行業監督管理委員会の内部調査(複数の報道より)。

このプラットフォーム向け融資10兆元前後のうち,銀行別の融資残高をみると,国家開発銀行が最大の貸し手となっている。銀行業監督管理委員会の規定は,貸し手の銀行は,借り手のプラットフォームの経営キャッシュフローと元利返済額の比率(キャッシュフローカバー率)を把握し,このキャッシュフローカバー率に応じて金融機関側が引当金を積むことを要求している。キャッシュフローカバー率が100%に達しない債権については,担保を積む,保証を付けるなどを求めている。2011年6月の段階で,プラットフォーム全体でこのキャッシュフローカバー率は安全なレベルにあり(国家開発銀行は99%,工商銀行,建設銀行は65%以上と報告),全面的にこの債権が焦げ付く心配はないという見解を政府は出した。また実際,工商銀行,建設銀行など国家開発銀行をのぞく商業銀行のプラットフォーム向けの融資額は,2011年には減少しつつある。同時にカバー率が100%を下回る融資については,担保の設定など,リスク回避を十全に行うようにとの指示が出された。

しかし,部分的には資金繰りにつまり, デフォルトの懸念が生じたプロジェクトもあった。2011年4月,雲南省公路開発投資有限公司が債権銀行に対し,利払いのみを行い元本の返済の猶予を求める事態に至った。この道路建設のためのプラットフォーム会社は,資本金50億元のところ,国家開発銀行を最大の借入先とし,中国建設銀行,中国工商銀行など計10数行の銀行から約1000億元の借入を行い,雲南省での道路建設を担ってきた。主な収入は道路交通料などからなるが,2007年の設立から5年間で8億元の利益しかあげていないため,債務の返済能力が疑われるケースであった。その後,省政府から3億元の増資,財政からの立て替え払い枠20億元の設定により,銀行が融資の継続に応じる形となった。

表2  各銀行の資金調達プラットフォーム向け融資

(出所) 開発銀行:毎日経済網 “ 平台貸国開行占全国21% 専家建議中央為地方債「買単」 ” 2011年11月13日。工商銀行,建設銀行,農業銀行,中国銀行:鳳凰網財経訊 8月25日 “四大行上半年地方融資平台貸款余額約2.17万億”。ともに2011年2月27日閲覧。

またこのプラットフォームによるインフラ建設に含まれていなかった,鉄道部による鉄道インフラ建設も経済的には黄色信号がともっている。鉄道部はこれまで,銀行融資に加え債券発行で資金調達をし,鉄道建設にあたってきた。7月23日の温州での鉄道事故の後,銀行は貸出金利も上限まで引き上げ,債券市場での金利も上昇し,資金調達コストが跳ね上がった。鉄道部は,事故の後にも債券市場で資金調達を行った。具体的には,短期債券200億元,8月に超短期債券を2回200億元と150億元, 11月8日に中長期手形300億元を発行した。しかし,8月8日の長期短期債券の利払いは,2月に発行した時に比べ,金利が3.92%から5.5%へと跳ね上がったことで,利払いが8000万元上乗せされることとなった。こうした資金調達コストの急上昇は鉄道部の資金繰りを悪化させ,取引先への支払いが遅れ,債券のデフォルトが危ぶまれる事態となった。2011年9月末鉄道部の負債は2兆2000億元(そのうち債券が6000億元,国内銀行融資が1兆4000億元)となり,銀行も追加融資に慎重になっていた。このため,中央政府は,2011年11月に銀行と協議を経て新規融資を実行させると同時に取引先への速やかな支払いを鉄道部に命じ,一旦金融機関,取引先への支払いは正常化した。しかし,2012年以降,金融市場に大きな打撃を与えるリスクは残っている。

欧州の景気後退,不動産価格の下落といった景気過熱の沈静化のなか,2011年9月,温州の眼鏡メーカーの社長,地元信用組合の所長などが資金繰りに困り,海外に逃亡したという噂が広まった。この時期,賃金,電気,水などのコスト上昇,不動産や事業投資の失敗などから温州の中小企業の資金繰りが悪化したため資金需要が大きくなり,温州の民間資金の金利が跳ね上がっていた。そして,銀行,民間借入への返済が滞る企業が続出し,87社の中小企業の倒産が相次いだ。しかし,この問題は温州から他地域に広がることはなく,温州市政府が銀行に対しつなぎ融資を要請することで沈静化し,民間借入金利は低下し,「逃亡」したといわれていた企業家のうち40人あまりは温州に戻ったと報道されている。

実物経済――コストと物価の上昇は続く

こうした金融面での調整が進むなかで,実体経済ではコストの上昇,インフレの進行がみられた。まず石炭価格の上昇が進む一方で,電力価格が政策的に抑えられた結果,発電を放棄する発電会社が相次ぎ,夏の電力不足を懸念する声が高まった。この矛盾を解消するために,電力価格の引き上げが不可避であり,実際12月1日に小売電力料金の引き上げ,住民に対する段階的価格設定制度を導入した。その他の要素価格の価格メカニズムの改革も始まった。

農業生産はおおむね豊作にめぐまれ,順調であった。コメ,小麦,イモなどの食糧生産は,5億7121万トンに達し対前年同期比4.5%増,肉類の生産は0.3%増となった。農産物価格の上昇は引き続き進行した。4月には,野菜価格が乱高下した。とくに浙江,河南,山東では大きく下落し,畑で作物を腐らせる農民も頻出した。野菜の安定供給のため補助金を付けた地域での生産過剰が原因と言われている。一方で,都市での小売価格は高止まりし,西安,北京などの大都市で政府が売れ残った野菜を大量に放出する動きも起こった。また,豚肉価格が2008年以来3年ぶりに上昇し始め,7月には前年同期比75%の上昇となった。年初の1キログラム当たり18.9元(約245円)から,9月の最高値を記録したときには26.4元(約345円)まで上昇した。この豚肉価格高騰の原因は,飼料と子豚の価格上昇であった。子豚価格の上昇の背景には,農民が庭先養豚を放棄しているため供給が減っていることがある。しかし,高い価格がもたらす利潤を狙って,外資系企業やITや不動産といった他業種から,子豚肥育産業への参入が相次いだため,12月初旬には供給量の拡大が進み,豚肉小売価格の下落が始まったが,年初の水準にまでは戻っていない。

工業生産は落ち着いた伸びをみせた。一定規模以上の企業の工業生産値は13.9%の伸びを記録し,生産販売費率も98%と順調に売上げを記録した。しかし,中国人民銀行が5000社を対象として行う景況感指数は第4四半期に入り低下し始めた。総合景況感指数は67.5ポイント,国内受注は53.2ポイントとともに下落し,海外受注に至っては48.7ポイントと半数以上が不景気と感じている状況となった。一方,国内の需給の緩和を受けて,原材料供給の状況は好転し,63.5ポイントに上昇した。このように第4四半期には経済成長の鈍化が明らかになってきた。たとえば,鉄鋼産業は,通年で鉄鋼生産量7.3%増を確保したものの,年後半に市況が悪化し2011年第3四半期から在庫の積み上がりが進んだ。結果として,大中型重点企業の利潤率は2.4%と低水準に止まり,8社が赤字に転落した。一方,中小の鉄鋼企業は生産を拡大し,全国一定規模以上の鉄鋼産業全体の利潤率が6.47%を確保し,大企業と対照的な結果をみせている。

労働市場では,賃金が上昇する一方,労働争議も多く発生した。2010年5月のホンダの部品工場でのスト,フォックスコン(富士康)での労働者の連続自殺事件に続き,2011年10月には広東省深圳市で,シチズン向け生産代理企業の工場,自動車および電池大手のBYD,12月には日立製作所のハードディスクドライブ部品工場でもストが起きた。シチズン,BYDのケースでは,労使交渉に政府が介入せず,労使間の集団交渉で決着が図られるという新しい動きがみられた。これは,2010年のホンダの部品工場でのストが収束した後,広東省共産党委員会書記の汪洋が現地を視察し,「労使間の問題は労使双方が交渉を通じて解決すべきだ。政府が『治安維持』のために介入する事態は避けなければならない」との見解を示したことを受けている。この結果,労働争議専門の弁護士の助けを借りながら,労使間の集団交渉が広東省では広がりつつある。日立の部品工場でのストは,親会社が日立からアメリカ系企業に売却されたのにあたり,労働者が自らの待遇の維持を求めたケースであった。

労使紛争が頻発している背景には,労働者の権利意識の向上とともに,労働市場の需給の逼迫が労働者の発言権を強めている要因もある。中国での賃金の上昇は加速しつつあり,2011年第3四半期の都市労働者の平均賃金は14.9%上昇し,2010年末の13.3%を1.6ポイント上回っている。

こうしたコストの上昇は,物価上昇の一因となった。2011年通年での消費者物価の伸びは5.4%,うち食品は11.8%の伸び,鉱工業部門の調達物価指数は3.5%の伸び,うち燃料などは8.4%の伸びを記録している。

食品安全問題,外資規制

ビジネスの分野では,食品の安全性をめぐる事件,外資規制をめぐる問題などが話題となった。

2011年3月25日,中央電視台の経済番組が,潜入取材を通じて,違法飼料添加物「痩肉精」(塩酸クレンブテロール:赤身増量剤)をまぜて肥育した豚の多くが,豚肉加工最大手の双滙に納入され,豚肉,加工食品となっていることを突き止め,報道した。この会社は,「18ステップでの安全検査」を実施し,豚肉の安全性をアピールしていたが,この検査プロセスが役に立っていないことが明らかになった。このため,双滙社の株式は下落し,社会的批判を受ける事態に発展し,社長が謝罪会見を行い,貯蔵・加工途中の豚肉を大量に処分する対応を迫られた。12月には乳製品大手の蒙牛の製品から発がん性物質(アフラトキシン)が検出され,再び食品の安全性が話題となった。

ビジネスの分野での大きな事件として注目を浴びたのは,インターネット商取引大手のアリババの決済システム「支付宝」(アリペイ)の株式の扱いをめぐる動きであった。インターネット取引の世界最大手となっているアリババは,ビジネス間取引のサイトである「アリババ・ドット・コム」と,消費者間の取引サイトである「淘宝」(タオバオ)を運営している。アリババの発展を支えたのは,この2つの取引サイトでの安全な資金決済を行うために構築されたアリペイである。銀行口座から,アリペイの発行する支払い枠を購入し,物品などの売買で合意に達すると,買い手が商品の到達後などに売り手の評価を問題ない,と入力して初めて,アリペイの枠での決済が実行される仕組みとなっている。アリペイは,売り手,買い手についてアリペイを利用した場合の取引実績などを表示し,双方の信用度がわかる仕組みを作った。これは,代金の未払いなどが社会問題となっていた中国では画期的なしくみで,中国最大の第三者決済システムと呼ばれるまでに成長した。そして,このアリペイの信頼度の高さが好感され,消費者は「アリババ・ドット・コム」「タオバオ」を利用していた。

このネット決済の仕組みは,その後同業の競合社,銀行なども提供を始め,銀行のネットワークに次ぐ,第2の決済システムとして大きく発展した。この影響力の大きさに懸念を抱いた中国人民銀行は,2010年6月に「非金融機構決済サービス管理弁法」を発布し,業界を管理する姿勢を示した。2011年に入りアリペイもこれに従い,許可証の申請をしたが,中央銀行側は,審査プロセスにおいて,アリペイの支配株主に外資の介入がないことを証明することを求めた。アリペイは,香港に上場する香港企業であるアリババ集団の傘下にあり,この集団の大口株主にはアメリカのヤフーおよび日本のソフトバンクが名を連ねている。さらに,アリババ自身もヤフーの株式も保有する相互持ち合いをしていた。このため,アリペイの運営に外資が介入しない証明を行うためには,ヤフーおよびソフトバンクの同意が必要となったが,2社ともはっきりした意思表明をせず協議が停滞した。このため,アリババは許可証の申請をスムーズに進めるため,アリペイの株式を創業者である馬雲の個人会社に移す手続きをとった。これは,ヤフーおよびソフトバンクの利益にも影響を与える重大事項であったため,ヤフー側が異議を申し立てる事態となった。その後,アリババはソフトバンクとともに,投資ファンドの支援を受けて,2兆元でヤフーを買収する交渉に入った。しかし,ヤフーの創業者であるジェリー・ヤン(楊致遠)の退任により,交渉は事実上中止された。

欧州ソブリン危機への対応が注目された中国

2011年の中国の対外貿易・投資をみると,世界経済における中国の位置づけの変化を感じさせる動きが多くあった。まず,ギリシャの財政危機に端を発した欧州ソブリン危機の救い手として,中国への期待が集まった。また,日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉参加宣言をめぐり,日中韓FTA交渉への注目度が上がった。経常収支黒字幅が縮小し,外貨準備高も8年ぶりに減少が見られた一方,これまで世界最大の直接投資の受入国であった中国は,自身の対外直接投資の史上最大額を記録した。資金の受け手から出し手への転換の兆しがみられる。また,人民元を国際通貨とするための改革も進められた。

深刻化している欧州ソブリン危機は,2009年5月にギリシャでパパンドレウ政権が成立した際,財政赤字の規模が「偽装」されていたことが暴露され,始まった。これを期にギリシャ国債は信用を失い,ポルトガル,アイルランドも自力再建をあきらめ,支援の対象となった。これと同時に,財政危機に陥ったユーロ加盟国の支援スキームとして,欧州金融安定化メカニズムが創設された。このメカニズムは,短期資金を供給するメカニズム(EFSM:European Financial Stabilization Mechanism)の600億ユーロと,欧州金融安定基金(EFSF:European Financial Stability Facility)の最大4400億ユーロからなる。その後,イタリア,スペインの財政状況への懸念も強まった。表3をみると,危機にある南欧諸国の最大の貸し手は,フランスとドイツであり,日本もアメリカに次ぐ規模の貸出を行っている。

表3  南欧諸国への各国金融部門の融資残高

(出所) 中国以外は,Bank of International Settlement, Preliminary Banking Statistics at end of September, 2011. 中国は報道ベース。

この危機への対応のプロセスで,先進国がすでにリスクを抱えているため,新規の投資家としての中国への期待が集まった。2010年10月,温家宝総理はギリシャ訪問時,次回の国債発行の際には買い増す意向を表明した。しかし,実際には2011年9月の入札には応じていない。また,2011年1月13日,ポルトガル国債約10億ユーロ(13億3000万ドル)を購入しており,ギリシャ国債とあわせて数10億ユーロ(1ドル=約0.75ユーロ)を保有していることを公式に表明している。その後,2011年9月には,イタリア国債の購入,10月にはEFSFへの出資への打診を受け,欧州を支援する用意がある旨を中国は表明している。ギリシャの取り扱いも含め,まだ欧州ソブリン危機打開の枠組みは定まっていない。2012年も共通通貨ユーロへの支援および南欧政府それぞれへの財政支援への要請は続く可能性がある。

また,マクロの金融政策も,こうした国際情勢に合わせ,欧米に協調して対応した。2011年11月30日に,アメリカ,EU,イギリス,日本,カナダ,スイスの主要6カ国の中央銀行は協調ドル供給を決定した。為替レートを米ドルに対して連動させている中国人民銀行は,為替レートを維持するためにはアメリカの金融政策に同調する必要があるため,預金準備率を引き下げた。一方で,アメリカ国債への投資を減らし日本国債への投資を増やすというバランスもとっている。

また,人民元の改革も進んだ。2010年,銀行システムを通じ指定された海外の地域への決済に人民元を用いることが認められ,2011年には全面的に許可された。また対中国直接投資を人民元で実行することも認められるようになった。この措置によって,香港にも現物人民元取引(オフショア)市場が設立され,大陸と香港に2つの人民元現物市場が併存するようになった。大陸の人民元市場は中央銀行の介入を受けるのに対し,香港の人民元市場は自由な市場である。このため,これまでは人民元の先高期待を受けて,香港の人民元レートが大陸のそれよりも高止まりしていた。さらに,金利と資本移動が硬直的なため,裁定取引が行われてもこの為替レートの差は解消されず,香港人の人民元資産が積み上がる要因となった。しかし,2011年9月に欧州ソブリン危機が加速すると,香港市場ではドルが不足し,対ドルの人民元レートが下落した。一方,大陸人民元市場ではドル不足がないため為替レートは安定した。その結果,ドルから人民元への交換を香港で行うことを求め,大陸から香港への資本流出が起こり,大陸人民元市場の為替レートが下落する事態となった。人民元の為替レートは依然として規制を受けているものの,自由市場である香港市場の影響を避けられない状況が起きている。

また,中国から海外への対外直接投資は,第3四半期までは12.5%増と順調に増えていたが,通年では1.3%増にとどまった。対アフリカ向け,対EU向けの投資が,それぞれ57.3%,94.4%の伸びを記録した。また,企業買収の形での投資が,採掘業,製造業,発電・送電,交通運輸から流通業まで多岐にわたるようになった。また,地方政府・企業を主体とする対外投資が拡大し,対外直接投資全体の33%を占め,前年同期比で24%増と,中央政府を主体する投資も含めた全国平均と比べ大きく拡大した。中国国内のコストの上昇,物価の上昇を反映して,これまでの国有企業による政治プロジェクト,資源獲得型だけでなく,製造業が利益機会を求めて行う海外直接投資が拡大する兆しが見え始めている。

日中経済関係

日中経済関係は,東日本大震災を経ても,中国からの投資や観光客が話題の中心であった。2011年の第1四半期は,中国側が第12次5カ年計画をスタートさせたこともあり,日本企業や技術の買収への関心が非常に高かった。1月には,NECが日本でのパソコン事業について,レノボ社と提携し合弁会社を設立することを発表した。レノボが51%,NECが49%の株式をもち,実質的にパソコン事業の経営権をレノボに引き渡す提携となった。レノボは,2004年にIBMのパソコン部門を買収した際,主な開発拠点であったIBM大和事業所を傘下に収めており,NECはこれに続く日本企業との提携となる。

しかし,3月11日に発生した東日本大震災およびそれに続く福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染で,状況は一変した。福島第一原発の事故を受け,中国政府は日本の成田および新潟にチャーター機を飛ばし,中国国民へ帰国を促した。これにより,日本の労働市場を実質的に支えていた中国人の研修生や留学生が激減し,日本の農業,漁業,工場,流通業の現場に影響を与えた。また,福島第一原発で原子炉の冷却のための放水が不調に終わったニュースが流れると,中国の建設企業最大手の民営企業・三一重工が超大型ポンプ車を無償で提供することを表明し,3月31日には福島第一原発で稼働する素早い対応が,日本でも大きな注目を浴びた。また,原発事故が報道された直後は,中国では放射能汚染を心配したパニックが起こり,ヨード入りの塩が放射能の汚染から身体を保護してくれるという噂から,塩の買い占めが大都市部を中心に発生した。そして,桜の開花期という絶好の観光シーズンに中国人観光客が激減する事態となった。

しかし,その後日本での放射能汚染および原発の報道が低調になったことを受け,夏には中国からの観光客は復調を見せた。また,ビジネス上でも日中間の案件は進み始めた。7月には,パナソニックが,子会社である三洋電機の洗濯機や冷蔵庫などの白物家電事業を,中国家電最大手の海爾集団に売却することを発表し,家庭用・業務用洗濯機事業,家庭用冷蔵庫事業,および東南アジア4カ国における白物家電販売事業を譲渡することになった。国内では300人の社員が移籍し,洗濯機の「AQUA」に関する技術者,特許などはすべて海爾に移管することになり,今後,海爾社がAQUAブランドの洗濯機を生産することになった。奇しくも三洋電機と海爾集団は,2002年に事業提携に合意し日本市場向けの合弁販売会社を設立していたが,思うような業績を上げられずに,2007年に提携を解消していた。

また,通商・金融政策の面でも展開があった。2011年11月に日本が,環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉入りを表明したのを契機に,ベトナム,カナダなども交渉入りを表明し,アジア太平洋地区の自由貿易協定をめぐる動きが活発化した。「招待状を受け取っていない」とし,TPPに距離をおこうとする中国に対し,アメリカはAPEC参加国には交渉に入る権利は開かれていると切り返した。中国は,アジアでの自由貿易地区交渉でまだ交渉の始まっていない中韓2カ国間FTAもしくは日中韓3カ国間FTAを優先させる姿勢を見せた。12月には,胡錦濤国家主席と李明博韓国大統領との会談で,中韓自由貿協定が議題となり,実施に向けた協議を進める雰囲気づくりが行われた。一方で,民間レベルで実施されてきた日中韓自由貿易協定(FTA)産官学共同研究を終了し,2012年には交渉プロセスに入る見込みを示した。

12月に野田首相が訪中した際には,胡錦濤国家主席との会談で,日中両国が提起した二国間通貨・金融合意に基づき,日本政府は外国為替資金特別会計を通じて中国国債を購入する可能性があることを伝えた。

(渡邉)

対外関係

対話チャネルを拡大させるアメリカとの関係

1月,胡錦濤国家主席が初めて国賓としてアメリカを訪問した。オバマ大統領との会談で,胡国家主席は「客観的で理性的に相手をみて,相手の社会制度と発展の道に対する選択を尊重し,相手の主権,領土保全,発展の利益を尊重することで,米中関係は正常な軌道を逸脱することはない」と述べ,尊重と互恵の協調関係の構築で合意した。台湾問題では,核心的利益にかかわるとして,「われわれの両岸関係の平和的発展を進める努力がアメリカ側からのさらに明確な支持を得られることを希望する」と述べた。また経済関係では,人民元切り上げ問題は進展しなかったが,総額450億ドルの対中輸出案件が締結された。

安全保障分野では,対話チャネルの拡大が図られる一方,中国側はアメリカの対台湾武器売却,アメリカによる中国沿岸での偵察行動,中国へのハイテク輸出禁止を非難し,改善を求めた。1月,ゲーツ国防長官が来訪し,2010年1月のアメリカの台湾への武器売却決定以降,中断していたハイレベルの軍事交流が再開した。2011年上半期の陳炳徳総参謀長の訪米,国防工作協議,海上軍事安全協議工作グループ会議の開催などで合意した。しかし,ゲーツ国防長官の中国滞在中に中国は次世代ステルス戦闘機「殲20」の試験飛行を成功させ,アメリカを牽制した。

5月,第3回米中戦略・経済対話が開かれ,「経済の力強い,持続可能な,バランスのとれた成長と経済協力を促進することに関する包括的枠組み」が採択され,アジア太平洋地域の平和と安定に関する米中協議枠組み設置で合意した。また同時に国防・軍高官を交えた初の戦略安全保障対話が開催された。

9月,アメリカ政府が初期量産型F-16のパイロット訓練や電子機器の改良など総額58億5200ドルに上る対台湾武器売却方針を発表した。張志軍外交部副部長が駐中国アメリカ大使を呼び,強烈に抗議した。しかし新型F-16戦闘機は含まれなかったことから,両国は決定的な対立を避けたものとみられる。

もうひとつの争点である経済問題では,11月,アメリカを訪問した胡国家主席がオバマ大統領との会談で,「アメリカの貿易赤字と失業などの構造的な問題は,人民元レートによるものではない」とし,逆に「できるだけ早く対中ハイテク製品輸出規制を緩和し,中国企業の対米投資に便宜を提唱するための実際的な措置をとるべきである」と注文をつけた。

関係改善を図る日本との関係

2010年9月の尖閣諸島沖での中国漁船追突事件以降,冷え切った関係の改善が図られた。しかし,海洋権益をめぐる問題は対立が続いている。

5月,温家宝総理が第4回日中韓首脳会議出席のため,日本を訪問し,東日本大震災の被災地福島県を慰問した。菅直人首相との会談では,東京電力福島第一原発事故後の日本の農産品の輸入規制を一部解除することを表明し,以前日本側が提案した緊急時に情報を迅速に共有する「海上での危機管理に向けた連絡メカニズム」構築を逆提案した。第4回日中韓首脳会議では,中国が日中韓FTAに積極的な姿勢をみせ,FTA交渉の準備段階である共同研究を1年前倒しして2011年中に終えることで合意した。アメリカ主導のTPP参加を決めかねている日本の取り込みを図ったものとみられる。

11月,胡国家主席が野田佳彦首相と初めて会談した。胡国家主席は「就任後,何度も日中戦略的互恵パートナーシップの深化に努力することを表明した」と述べ,野田首相の対中姿勢を高く評価した。12月には野田首相が来訪し,金正日朝鮮労働党総書記死後の朝鮮半島情勢について意見交換した。また高級事務レベル海洋協議の開催と海上捜査・救助(SAR)協定の締結,日本政府による人民元建て中国国債の購入で合意した。しかし,東シナ海ガス田の共同開発については,温総理が「2008年の合意の履行に向け意思疎通を進める」と述べるにとどめた。これに先立つ24日,中国政府が日本政府に対し一部日本産食品への輸入規制解除を通知した。

領土をめぐる問題は対立を深めている。6月と11月に中国海軍艦艇が沖縄本島と宮古島の間の公海上を航行した。また,中国から日本の排他的経済水域(EEZ)内で調査を行うとの事前通報のあった海洋調査船が通報とは異なる海域を調査することや,漁業監視船が尖閣諸島周辺の接続水域内を航行することがしばしば発生した。また,3月に中国軍機2機が尖閣諸島付近の領海から約55キロメートルまで接近するなどの原因で,2011年上半期の中国軍機に対する航空自衛隊機のスクランブル発進数は83件に上り,2010年1年間の96件にほぼ匹敵した。

進展のない朝鮮半島情勢

4月,武大偉朝鮮半島問題特別代表が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金桂冠第一外務次官と会談し,6カ国協議再開に向け,「南北協議→米朝協議→協議の再開」の3段階方式を目指す考えを示した。しかし2011年中の進展はみられなかった。

5月,北朝鮮の金総書記が非公式に来訪した。黒龍江省ハルビン,吉林省長春(第一汽車),江蘇省揚州(経済技術開発区,ショッピングモール),南京(液晶パネル工場)を視察し,北京で中国首脳と会談した。胡総書記は,金総書記から「できるだけ早く6カ国協議を再開させることを主張しており,南北関係の改善に対しても誠意を持ち続けている」との発言を引き出した。温総理は金総書記の訪中目的を「中国の発展状況を理解し,(北朝鮮の経済)発展に活用する機会を与えるため」と説明した。金総書記は8月にもロシア訪問からの帰途,中国東北地区に立ち寄った。しかしこのとき中国メディアはその事実を伝えるだけの扱いだった。中国国外のメディアによれば,戴秉国国務委員と会談した。

中国側からは,7月に「中朝友好協力相互援助条約」締結50周年記念行事に参加するために張徳江中央政治局委員が,10月には李克強中央政治局常務委員がそれぞれ北朝鮮を訪問した。

12月19日,金総書記死去の発表があり,党中央・全人代・国務院・中央軍事委員会が連名で弔電を送った。そして胡総書記ら中央政治局常務委員9人全員が駐中国北朝鮮大使館を弔問した。また6カ国協議を構成する4カ国に対して,朝鮮半島の安定を害する対応や行動の抑制を要請したとみられる。31日,金正恩の朝鮮人民軍最高司令官就任に際して,胡総書記が祝電を送り,北朝鮮の新体制支持を示した。

韓国との関係では,12月,違法操業の中国船乗務員が韓国海洋警察官2人を殺傷する事件が発生し,外交部が遺憾の意を表明した。

南シナ海領有権問題で揺れるASEANとの関係

5~6月,南シナ海で中国の監視船がベトナムの石油・天然ガス探査船のケーブルを切断し,南沙諸島(スプラトリー諸島)海域では中国軍艦船3隻がベトナム漁船4隻に威嚇発砲するなど海洋権益をめぐる両国の衝突が相次いだ。これに対し,ベトナムでは6月5日から7月にかけて毎週反中抗議デモが発生した。10月に来訪したグエン・フー・チョン・ベトナム共産党総書記に対し,胡総書記は「双方は共同開発を前向きに検討,協議し,早期に実質的一歩を踏み出すべきだ」と述べ,早期収拾を図った。そして「中越海上問題解決ガイド基本原則に関する取り決め」を締結した。12月には習近平中央政治局常務委員がベトナムを訪問した。

フィリピンとの間でも,2月に中国海軍艦艇が南沙諸島で漁をしていたフィリピン漁船に威嚇射撃を行い,3月には中国の哨戒艇2隻が南沙諸島リード・バンク海域でフィリピンの石油探査船を妨害し,5月には南沙諸島のフィリピン領海内で中国の海洋調査船などが相次いで領海侵犯した。フィリピン政府の再三の抗議に対し,中国側は「中国船は中国の管轄海域で定例のパトロールと科学調査および測量活動を行っているもので,完全に正当であり,合法である」と述べ,反論した。8月に来訪したアキノ大統領に対し,胡国家主席は「係争解決の前に,関係国は係争を棚上げし,積極的に関係海域の共同開発を模索することが,関係国の共同利益である」と述べた。

7月,ASEAN+中国外相会議では,「南シナ海行動宣言」の実効性を高めるガイドラインが承認されたが,11月までに法的拘束力をもつ「行動規範」を策定するというASEANの提案については中国が拒否した。ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議では,アメリカやフィリピンなどの批判に対し,楊外交部長が「航行の自由と南シナ海の領有権問題は異なる範疇の2つの問題」とし,「航行は自由」であり,「領有権問題は直接当事者間での話し合いにより平和的に解決すべき」との従来の主張を繰り返した。

3月,「2010年中国の国防」と題する国防白書を1年2カ月ぶりに発表し,海洋権益の保護を国防の目的とすることを明らかにした。8月と11月には旧ソ連から購入し改造した空母「ワリヤーグ」の試験航行を実施し,海軍力増強を誇示した。中国のこうした対応は,ベトナムやフィリピンの軍事力強化を誘引するだけでなく,アメリカの「アジア太平洋地域への関与拡大」にさらなる口実を与えることになった。11月9日,アメリカ国防総省はアジアでの空・海の戦力を強化し,積極的な攻撃を高めるための「エアシーバトル」戦略の概要を発表した。また16日,オーストラリアとの間でアメリカ海兵隊のオーストラリア北部駐留で合意した。17日にはアメリカはロシアとともに第6回東アジアサミットに初参加した。

こうした動きに対し,温総理は東アジアサミットで「関係当事者が友好的な協議や交渉を通じて解決すべきだ」とこれまでの主張を展開した。また,国防部は「対抗を鼓吹し,他国の安全を犠牲にして自国の安全を手に入れるという観点は,冷戦思考の表れであり,平和・発展・協力という時代の潮流に逆行する」と非難した。

盟友とみられたミャンマーとの関係も,4月の新政権発足以降,変化をみせた。5月に来訪したテインセイン大統領に対し,胡国家主席は「ミャンマー新政府の安定を維持し,経済を発展させ,民生を改善させるための努力を支持する」と述べ,盟友関係の継続を求めた。しかし,9月,ミャンマー側が突然,投資総額36億ドルの「ミッソン・ダム」の共同建設の「棚上げ」を宣言した。移民問題,ダムで発電される電力の9割が中国に供給され,住民への還元がないこと,環境への影響などを理由にあげた。10月,事態を説明するために来訪した大統領特使のウンナマウンルウィン外相に対し,習近平国家副主席は「協力過程で出てきた問題に対し,双方が友好協商を通じて適切な解決方法を探し求めることを希望する」と述べた。また11月に来訪したミンアウンフライン国軍最高司令官に対しても,軍事交流の強化を希望し,関係修復を図った。

リビアと欧州ソブリン危機への対応が焦点のEUとの関係

3月18日のアメリカ,イギリス,フランスのリビア攻撃に対して,外交部は20日,「遺憾の意」の談話を発表した。胡国家主席は3月に来訪したサルコジ・フランス大統領に対し直接,「安保理がリビア情勢決議を採択した目的は暴力を制止し,平民を保護するためである」,「武力は問題を解決しない。事態を複雑化させるだけだ」とリビア攻撃を非難した。中国は,カダフィー政権との間で契約した188億ドル規模の案件中断や石油利権確保の観点から,カダフィー政権支持の態度をみせ,6月にはリビア政府特使のオベイディ外相が来訪した。同時に反体制派の国民暫定評議会とも接触し,マフムード・ジブリール国民暫定評議会対外関係担当の来訪も受け入れ,権益確保のための二面外交を展開した。そして9月に新政権を承認した。

欧州ソブリン危機への対応では,1月に温総理がメルケル・ドイツ首相との電話会談で「中国は引き続き実際の行動を通じて欧州の債務危機をサポートする」と述べ,8月に来訪したサルコジ大統領に対し,胡国家主席が「中国は引き続きEUを主要投資先のひとつとしていく」と述べ,欧州の国債を買い支える考えを表明していた。10月,EUのユーロ圏緊急首脳会議で金融危機対策に基本合意したことを受けたサルコジ大統領との電話会談では,胡国家主席は「債務問題の解決に向けて団結・協力するとの欧州の意志がはっきりと示された」と評価した。中国国外のメディアによれば,このときサルコジ大統領は中国に欧州金融安定基金への資金拠出を求めた。10~11月,胡国家主席がフランスを訪問した際のサルコジ大統領との会談では「債務危機を解決するのは主に欧州に頼るべきだ」と述べており,中国は拠出を明言しなかったとみられる。また,メルケル首相も10月に来訪し,支援を求めたが,中国側からの明確な意思表示はなかった。その理由には,中国が見返りとして市場経済国の認定と対中武器禁輸制裁措置の解除を求めたが,EU内で合意できなかったことが推測される。

エネルギーをめぐるロシア,中央アジアとの関係

10月,プーチン・ロシア首相が来訪,ガスプロムなどエネルギー資源関連企業の幹部ら約160人が同行した。中ロ両国の政府系ファンドが30億~40億ドル規模の投資ファンドを共同で設立し,対ロシア投資を拡大することで合意した。懸案の中国向け原油輸出のパイプライン輸送料の中国側未払い(約2億ドル)問題は中国側が支払うことで決着した。しかし,5年来の中国向け天然ガス輸出交渉は価格面で折り合いがつかず,2011年末で合意に至っていない。同月,両国は共同歩調をとり,国連安保理でのシリア非難決議で拒否権を行使した。

6月,上海協力機構首脳会議に出席した胡国家主席は,中央アジアへの経済支援を念頭においた加盟国を対象に総額120億ドルを低利融資することを表明した。11月,ベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領が来訪し,中国への天然ガス輸出量を年間400億立方メートルから650億立方メートルに増やすことで合意し,パイプラインが延伸した広東省での開通式にも出席した。

対照的なインド,パキスタンとの関係

4月,第3回BRICs首脳会議が中国・三亜市(海南島)で開かれ,南アフリカが初参加した。会議は中国主導で欧米批判を鮮明にした。リビア情勢についてアフリカ連合の停戦案を支持し,アメリカ,イギリス,フランスの軍事行動を批判した。国際金融危機に対しては,米ドルを主軸とする現行の国際通貨金融システムの欠陥を指摘した。

この会議で,胡国家主席はシン・インド首相と会談し,「戦略的協力を深め,両国の共同発展を推進し,アジアおよび世界の平和と安定と繁栄を促していくこと」で合意した。9月には第1回中印戦略経済対話を開催した。しかし同月,インドの新聞がインドとベトナムの油田開発に対し,中国が数カ月前にインド側に「開発は違法」と抗議したことを報道し,その後中国側はあらためて「違法」と非難し,インドとの間に海洋権益問題が浮上した。

他方,パキスタンとは蜜月が続いている。アメリカ軍が殺害したビン・ラーディン氏がパキスタン内に潜んでいたことで,アメリカとの関係が悪化するパキスタンだが,5月に来訪したギーラーニー首相に対し,温総理は「パキスタンは反国際テロで大きな犠牲を払っており重要な貢献をしている。国際社会はパキスタンを理解し,支持すべきだ」と述べ,さらに中国とパキスタンが共同開発した戦闘機「梟竜」(FC-1)をパキスタンに50機提供することで合意するなど,密接な関係をアピールした。9月には孟建柱公安部長がパキスタンを訪問し,中国からの2億5000万ドル相当の経済・技術分野への支援で合意した。11月にNATO軍機のパキスタン検問所誤爆事件が起きた際には,いち早く楊外交部長がカル外相と電話会談を行い,「世界各国および国際組織はパキスタンの独立,主権,領土保全を的確に尊重すべきだ」とNATOを非難した。

総統選挙近づく台湾との関係

2月,陳雲林会長を団長とする海峡両岸関係協会(海協会)経済貿易視察団が台湾を訪問し,経済連携の強化を図った。10月には海協会の陳会長と海峡交流基金会の江丙坤理事長による両岸交流窓口機関第7回トップ会談が天津で開かれ,「原子力エネルギー安全協力協定」に調印した。しかし,「投資保護取り決め」はまとまらず,「投資保護取り決めに関する協議の推進に関する両会の共同意見」の発表にとどまった。

中国は2012年1月の台湾総統選挙への直接介入は避けたが,間接的に現職の馬英九(中国国民党)陣営への援護射撃を行った。10月,国務院台湾事務弁公室(国台弁)は馬総統が中国との平和協定締結の可能性に言及したことを歓迎した。11月には胡総書記が連戦国民党栄誉主席と会談し,「『1992年コンセンサス』という共通の政治的土台を認め,両岸関係の良好な発展の勢いを維持していくべきだ」と述べ,王毅国台弁主任も「『1992年コンセンサス』の否定を容認しない」「両岸関係の後退を容認しない」など「4つの容認しない」に言及し,蔡英文(中国民進党)陣営を牽制した。12月には国台弁が2012年から台湾住民の大陸での個人経営が申請可能となると明言した。

(佐々木)

2012年の課題

2012年の最大の課題は,秋に予定される第18回党大会において,無事に政権交代が実施されるかどうかである。

国内政治は,第18回党大会まで権力闘争の激しさが増すだろう。とりわけ,胡錦濤総書記が党中央軍事委員会主席ポストに留任するかどうか,また李克強の党内序列が焦点となる。対外関係は,世界の多くの主要国が指導者層の交代期を迎えるために,大きな変化はないだろう。しかし,中国は海洋権益の拡大を図る動きを続けることから,関係国との摩擦がエスカレートすることが予想され,難しい外交交渉が続くだろう。

国内経済は,為替レートを長らく固定させてきたことの弊害として,インフレが常態化しつつあり,コスト高が企業部門の収益を圧迫している。労働市場の逼迫,賃金の上昇に見られるように,中国経済は,投資などの投入拡大がそのまま経済成長に繋がることは難しくなりつつある。さらなる成長のためには,イノベーション,生産性の上昇などが不可欠である。

(佐々木:研究企画部)

(渡邉:地域研究センター研究グループ長)

重要日誌 中国 2011年
  1月
9日 ゲーツ米国防長官,来訪(~12日)。
9日 中国共産党第17期中央規律検査委員会第6回全体会議(~11日)。
9日 次世代ステルス戦闘機「殲20」の試験飛行に成功(成都)。
14日 世界銀行,香港で総額5億元の2年物人民元債券を発行。
14日 中国人民銀行,20日から預金準備率の0.5ポイント引き上げを発表。
18日 胡錦濤国家主席,国賓としてアメリカを訪問(~21日)。
19日 胡国家主席,オバマ米大統領と会談。
19日 国務院常務会議,「国有土地上の家屋収用と補償に関する条例」を採択。
24日 温家宝総理,国家信訪局を視察。
26日 国務院常務会議,「不動産市場のコントロール工作をさらに立派に行うことに関する問題についての通知」(国新八条)を決定。
28日 温総理,メルケル独首相と電話会談。
29日 2011年中央1号政策文書「水利改革・発展の加速に関する決定」を公表。
  2月
8日 人民銀行,9日から金融機構の1年預金・貸出基準金利の0.25ポイント引き上げを発表。
12日 党中央,鉄道部党組書記の劉志軍を解任し,後任に盛光祖を任命。
18日 人民銀行,24日から預金準備率の0.5ポイント引き上げを発表。
19日 胡錦濤総書記,中央党校で重要講話「社会管理の科学化の水準を高め,中国の特色を持つ社会管理システムを構築しよう」を発表。
20日 北京,上海など全国13都市で「中国ジャスミン革命」集会が呼びかけられたが不発。
23日 全国人民代表大会常務委員会第19回会議(~25日),刑法改正案を採択。
24日 李克強副総理,全国保障型(低所得者向け)住宅プロジェクト工作会議で講話。
25日 全人代常務委,鉄道部長に盛光祖を任命。
28日 国家統計局,「2010年中国国民経済社会発展統計公報」を発表。
  3月
3日 中国人民政治協商会議第11期全国委員会第4回会議(~13日)。
5日 第11期全人代第4回会議(~14日)。
13日 東日本大地震への中国の国際救護隊15人が日本に到着。
16日 四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県でチベット僧が焼身自殺。
18日 人民銀行,25日から預金準備率の0.5ポイント引き上げを発表。
20日 外交部,米英仏のリビア攻撃に「遺憾の意」の談話を発表。
30日 胡国家主席,サルコジ仏大統領と会見(北京)。
31日 国務院新聞弁公室,「2010年中国の国防」白書を発表。
  4月
3日 北京市公安当局,芸術家の艾未未を拘束。
5日 人民銀行,6日から貸出金利の0.25ポイント引き上げを発表。
11日 福建省人民代表大会,代理省長に蘇樹林を任命。
11日 武大偉朝鮮半島問題特別代表,金桂冠・北朝鮮第一外務次官と会見。
13日 胡国家主席,メドベージェフ・ロシア大統領と会談。
14日 第3回BRICs首脳会議(三亜)。南アフリカが初参加。
17日 人民銀行,21日から預金準備率の0.5ポイント引き上げを発表。
20日 全人代常務委第20回会議(~22日)。
21日 国新弁,「中国の対外援助」白書を発表。
27日 温総理,マレーシアとインドネシアを訪問(~30日)。
27日 チベット亡命政府の首相にロブサン・サンガイ氏が当選。
  5月
4日 国務院常務会議,中央の各部門に2010年度「三公」経費の決算額と2011年度「三公」経費予算の公開を指示。
9日 第3回米中戦略・経済対話(~10日)。
11日 内モンゴル自治区西ウジムチン旗で石炭運搬トラックがモンゴル族の牧畜民をひき殺す事故が発生。
12日 人民銀行,18日から預金準備率の0.5ポイント引き上げを発表。
15日 内モンゴル自治区シリンゴール盟アバグ旗で,鉱山用フォークリフトが住民をひき殺す事件が発生。
15日 陳炳徳人民解放軍総参謀長,アメリカを訪問(~22日)。
18日 呉邦国全人代常務委員長,ナミビア,アンゴラ,南アフリカ,モルディブを訪問(~31日)。
20日 金正日朝鮮労働党総書記,非公式に来訪(~26日)。
21日 温総理,日本を訪問(~22日)。第4回日中韓首脳会議に出席。
22日 温総理,菅直人首相と会談。
23日 首都各界チベット平和解放60周年記念座談会開催。
25日 胡総書記,金朝鮮労働党総書記と会談。
  6月
1日 国務院常務会議,7月1日から都市住民養老保険制度の実験実施を決定。
1日 習近平国家副主席,イタリア,キューバ,ウルグアイ,チリを訪問(~13日)。
7日 リビア政府特使のオベイディ外相,来訪。
8日 江西省人代,代理省長に鹿心社を任命。
10日 広東省大敦村で出稼ぎ者ら約1000人が警察を襲撃。
12日 審計署,省レベルの党委員会書記に対する会計検査実施を提案。
12日 胡国家主席,カザフスタン,ロシア,ウクライナを訪問(~20日)。上海協力機構(SCO)サミットに出席。
16日 胡国家主席,メドベージェフ・ロシア大統領と会談。
22日 北京市公安当局,艾未未を保釈。
24日 温総理,ハンガリー,イギリス,ドイツを訪問(~28日)。
27日 全人代常務委第21回会議(~30日)。個人所得税法改正案を採択。
  7月
1日 中国共産党創立90周年記念大会。
6日 人民銀行,7日から預金・貸出基準金利の0.25ポイント引き上げを発表。
7日 新華社,6日の香港ATVテレビの「江沢民前総書記死去」との報道を「まったくのデタラメ」と否定。
10日 張徳江中央政治局委員,北朝鮮を訪問(~13日)。「中朝友好協力相互援助条約」締結50周年記念行事に出席。
11日 国新弁,「チベット平和解放60年」白書を発表。
13日 国家統計局,2011年上半期のGDP伸び率を9.6%と発表。
17日 崔天凱外交部副部長,ロバート・ウオン駐中国米国臨時代理大使に対し,16日のオバマ米大統領とダライ・ラマ14世との会談に「厳正な申し入れ」を行う。
18日 新疆ウイグル自治区和田地区で,公安派出所襲撃事件が発生。
19日 チベット平和解放60周年記念大会。習近平中央政治局常務委員が出席。
21日 楊潔篪外交部長,インドネシアを訪問(~23日)。ASEAN+中国外相会議,ASEAN+日中韓外相会議,東アジアサミット外相協議,ARF外相会議に出席。
23日 上将授与式で6人が上将に昇進。
23日 温州=杭州間で高速鉄道列車の追突事故発生。40人が死亡。
28日 温総理,7.23列車事故の被害者,遺族を慰問し,事故現場で記者会見。
  8月
4日 孟建柱公安部長,全国対テロ工作会議で指示。
9日 劉雲山中央宣伝部長,メディアに対し「末端に行き,作風を転換し,文風を改める」活動を指示。
9日 国家統計局,7月のCPIが前年同期比で6.5%上昇と発表。
10日 国務院常務会議,7.23列車事故の原因調査,高速鉄道の安全検査実施を指示。
10日 旧ソ連製空母「ワリヤーグ」が初の試験航行をスタート。
14日 大連市で福佳大化の有毒物質漏出に抗議する約1万人のデモ。
17日 バイデン米副大統領,来訪(~22日)。
17日 香港で200億元の人民元国債を発行。
24日 全人代常務委第22回会議(~26日)。
25日 胡国家主席,サルコジ仏大統領と会談。
25日 党中央,チベット自治区党委員会書記に陳全国,雲南省党委書記に秦光栄,海南省党委書記に羅保銘を任命。
25日 金朝鮮労働党総書記,ロシア訪問からの帰途,東北地方を訪問。
27日 河北省人代,代理省長に張慶偉を任命。
28日 党中央,河北省党委書記に張慶黎を任命。
29日 党中央が国家民族事務委員会党組書記に楊晶を任命したことが判明。
30日 浙江省人代,代理省長に夏宝龍を任命。
30日 海南省人代,代理省長に蒋定之を任命。
30日 雲南省人代,代理省長に李紀恒を任命。
  9月
6日 国新弁,「中国の平和的発展」白書を発表。
14日 呉委員長,ロシア,ベラルーシ,ウズベキスタン,カザフスタンを訪問(~27日)。
21日 張志軍外交部副部長,ロック駐中国米国大使に対台湾武器売却方針発表を強く抗議。
22日 工業情報化部「第12次5カ年計画期中小企業成長長期計画(2011~15年)」を発表。
30日 陸啓洲中国電力投資集団公司党組書記・総経理,ミャンマー側が突然「ミッソン・ダム」共同建設の「棚上げ」を宣言したことを非難。
  10月
3日 温総理,浙江省を視察(~4日)。
4日 中国,国連安保理でのシリア非難決議で拒否権を行使。
9日 辛亥革命100周年記念大会。胡総書記が重要講話。江前総書記が出席。
10日 習国家副主席,ミャンマー大統領特使のウンナマウンルウィン外相と会見。
11日 プーチン・ロシア首相,来訪(~12日)。
11日 グエン・フー・チョン・ベトナム共産党総書記,来訪(~15日)。
12日 国務院常務会議,小型・零細企業の発展を金融面と財政税制面から支援するための政策と措置を採択。
15日 党第17期中央委員会第6回全体会議(~18日)。「文化体制改革を深め,社会主義文化の大発展,大繁栄を促す若干の重大な問題に関する党中央の決定」を採択。
19日 海峡交流基金会(海基会)の江丙坤理事長,来訪(天津,~21日)。両岸交流窓口機関第7回トップ会談開催。
20日 財政部,国務院の認可を得て,上海市,浙江省,広東省,深圳市で地方債発行実験をスタートさせる通知を公布。
23日 李克強中央政治局常務委員,北朝鮮,韓国を訪問(~25日)。
24日 全人代常務委第23回会議(~29日),住民身分証法,「テロ取り締まりの強化についての問題に関する決定」を採択。
27日 胡国家主席,サルコジ仏大統領と電話会談。
29日 国務院常務会議,現在の経済情勢を分析し,直近の経済工作を指示。
30日 胡国家主席,オーストリア,フランスを訪問(~11月4日)。G20サミットに出席。
  11月
3日 胡国家主席,野田佳彦首相と懇談。
3日 無人実験機「天宮1号」と無人宇宙船「神舟8号」のドッキング実験に成功。
4日 広東省人代,代理省長に朱小丹を任命。
6日 温総理,ロシアを訪問(~8日)。第16回SCO首相会議に出席。
10日 胡国家主席,アメリカを訪問(~14日)。第19回APEC非公式首脳会議に出席。
11日 胡国家主席,連戦中国国民党名誉主席と会見。
12日 胡国家主席,オバマ米大統領と会見。
12日 胡国家主席,野田首相と会見。
17日 温総理,インドネシア,ブルネイを訪問(~21日)。第14回ASEAN+中国サミット,中国・ASEAN対話関係構築20年記念サミット,第14回ASEAN+日中韓サミット,第6回東アジアサミット,日中韓首脳会議に出席。
18日 温総理,野田首相と懇談(~19日)。
21日 広東省烏坎村で村幹部の選挙不正に抗議する村民約4000人のデモ。
23日 玄葉光一郎外相,来訪。
24日 中国政府,一部日本産食品への輸入規制解除を通知。
29日 中央扶貧工作会議(~30日)。
30日 人民銀行,12月5日から預金準備率の0.5ポイント引き下げを発表。
  12月
7日 国新弁,「中国の対外貿易」白書を発表。
9日 党中央政治局会議,2012年の経済工作を分析,検討。
11日 党中央,甘粛省党委書記に王三運を任命。
12日 安徽省人代,代理省長に李斌を選出。
12日 中央経済工作会議(~14日)。
13日 外交部,違法操業の中国船乗務員が韓国海洋警察官2人を殺傷した事件で,「遺憾の意」を表明。
19日 党中央・全人代・国務院・中央軍事委員会,金朝鮮労働党総書記死去に対し弔電。
20日 習国家副主席,ベトナム,タイを訪問(~24日)。
20日 広東省スワトウ市で発電所建設計画に反対する住民約5万人のデモ。
25日 野田首相,来訪(~26日)。
26日 全人代常務委第24回会議(~31日)。
26日 胡国家主席・温総理,野田首相と会見。
27日 中央農村工作会議(~28日)。
28日 国務院常務会議,7.23列車事故調査状況報告を聴取し,処分を決定。
31日 胡総書記,金正恩の朝鮮人民軍最高司令官就任に祝電。
31日 全人代,国家人口計画生産委員会主任に王侠を任命。

参考資料 中国 2011年
①  国家機構図(2011年末現在)
②  中国共産党・国家指導者名簿(2011年末現在)
②  中国共産党・国家指導者名簿(続き)(2011年末現在)
③  各省,自治区,直轄市首脳名簿(2011年末現在)

主要統計 中国 2011年
1  基礎統計
2  国内総支出(名目価格)
3  産業別国内総生産(名目価格)
4  産業別国内総生産成長率(実質価格)1)
5  国・地域別貿易
6  国際収支
7  国家財政
 
© 2012 Institute of Developing Economies JETRO
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