2016 Volume 2016 Pages 399-426
2014年10月に新政権を発足させたばかりのジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領にとって,2015年は政権基盤固めの1年となった。年初に持ち上がった次期国家警察長官の任命問題は,候補者が汚職疑惑で摘発されたことで,警察と汚職撲滅委員会の深刻な対立に発展した。しかも,その候補者を与党第1党の党首メガワティ・スカルノプトゥリ元大統領が強く推していたことから,汚職容疑者の長官任命をためらうジョコウィ大統領と与党との関係が急速に悪化し,政権基盤を揺るがした。この一連の混乱を経験したジョコウィは,与党との意思疎通の重要性を痛感し,8月に実施した内閣改造で側近を更迭し,与党幹部を登用することで問題の解決を図ろうとした。それと同時に,ジョコウィは大統領府の強化を通じて大統領のリーダーシップ確立を目指すとともに,連立与党の拡大によって政権基盤を安定的なものにしていった。一方,野党はゴルカル党で内紛が続くなど,ジョコウィ政権発足直後に見られた勢いを失っていった。
経済成長率は4.79%と前年の5%台を下回り,ルピアの下落に揺れた1年であった。8月にはルピアはアジア通貨危機以来となる17年振りの1ドル=1万4000ルピア台をつけ,ルピア安による輸入コストの上昇と国際商品価格の低迷が,経済成長の牽引となる消費,輸出の伸びの重しとなった。ジョコウィ政権の実質的な1年目であったことから,インフラ整備や開発の促進に大きな期待がかけられたが,インフラ投資をはじめとする政府支出の実施が例年よりも大幅に遅れ,経済成長の足かせとなった。ルピア安定化のためにインドネシア銀行(中銀)は金融政策を矢継ぎ早に発表した。政府も財政政策・金融政策・規制緩和などの種々の政策を束ねた経済政策パッケージを9月以降12月までに8回にわたって発表し,マクロ経済の安定と投資の促進に苦心した。
年明け早々の1月9日,ジョコウィ大統領は次期国家警察長官にブディ・グナワン警察研修所所長を指名する意向を明らかにした。しかし,この決定は,単なる人事問題にとどまらず,政権基盤を揺るがすような大問題に発展していった。
そもそも,この人事には当初から不可解な点があった。前任のスタルマン長官の任期が10月まであるにもかかわらず,半年以上も繰り上げて長官を交代させる理由がはっきりしなかった。また,新長官に指名されたブディには,保有する個人資産と警察官としてのキャリアの間に大きな差があり,不正蓄財の疑惑が以前から報道されていた。それにもかかわらず,ジョコウィは,身辺調査などをすることもなく,複数の候補者のなかからブディを即決で選択したのである。
しかし,この疑惑は,ジョコウィの指名発表からわずか4日後に,汚職撲滅委員会(KPK)がブディを汚職容疑者に指定したことで正式な捜査の対象になってしまった。長官候補者が汚職容疑者に指定されたことで,ジョコウィはこの人事を一時凍結せざるをえなくなった。ジョコウィは,副長官のバドロディン・ハイティを長官代行に任命し,事態の沈静化を待つことにした。
しかし,事態は収まるどころか,さらに悪化した。ブディ側が汚職撲滅委員会に対する逆襲を始めたのである。まず彼は,同委員会による容疑者指名が不当であるとして訴訟を起こした。しかも,この訴えを審理した予審裁判で,ブディは,同委員会による逮捕を不当とする判決を勝ち取った。
さらに,汚職撲滅委員会による組織内部の汚職摘発に不満を抱いていた警察も,長官候補者の汚職容疑者指定という事態をうけて,組織をあげて汚職撲滅委員会潰しに乗り出した。警察は,同委員会のアブラハム・サマド委員長とバンバン・ウィジョヨヤント副委員長を,それぞれ過去に犯罪事件に関与していた疑惑があるとして逮捕した。逮捕の容疑もその理由も根拠の薄いもののように思われたが,両者は辞任に追い込まれた。その後も,同委員会の捜査官ノベル・バスウェダンが逮捕されるなど,汚職撲滅委員会を弱体化させるための動きが続いた。
これに対して,市民の間では,これまで汚職撲滅に大きな成果を上げてきた汚職撲滅委員会が潰されてしまうという危機感が高まり,「汚職撲滅委員会を守れ」という運動がわき起こった。市民が委員会事務所前に集結して示威行動を行うとともに,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などインターネット上でも汚職撲滅委員会擁護の声が高まった。
しかし,ジョコウィ大統領は警察と汚職撲滅委員会の対立に対してなすすべもなく,事態を収拾することができなかった。ジョコウィは,警察出身で元汚職撲滅委員会委員長のトウフィックラフマン・ルキを委員長代行に任命して,両者の対立を解こうとするのが精一杯であった。汚職撲滅に真剣に取り組む大統領という期待を抱いていた市民は,ジョコウィの消極的な姿勢に大きく失望した。
警察長官人事で大統領と与党の関係が悪化なぜジョコウィは,元来疑惑のあった人物をわざわざ警察長官に任命しようとしたのであろうか。それは,ブディが,ジョコウィの所属政党で与党第1党の闘争民主党(PDIP)党首メガワティと非常に近い人物だったからである。彼は,メガワティが2001年から2004年まで大統領だった時代に,大統領副官として周辺警護を担当していた。それ以来,メガワティの厚い信頼を得るだけでなく,ほかの政府高官や政治家らと幅広い人脈を築いた。ユスフ・カラをジョコウィの副大統領候補にするよう背後で動いていたのも,このブディだったといわれている。
ブディは,ジョコウィが内閣を発足させる際にも,閣僚候補者として名前が挙がっていた。しかし,この時は閣僚には選任されなかった。なぜなら,汚職に関与していた可能性がきわめて高いと汚職撲滅委員会から指摘されていたからである。それにもかかわらず,今回ジョコウィが警察長官への指名を強行したのは,与党党首であるメガワティが強く推したからであった。
そのため,汚職撲滅委員会と市民の力に屈してブディを指名しないジョコウィに対しては,与党内から強い反発が示された。闘争民主党内からは,ジョコウィ大統領を弾劾しようという動きまで出た。これに対してジョコウィ周辺からは,自らの新党を立ち上げようという動きや,いまの与党連合と野党連合とをそっくり入れ替えて,連立を組み替えようという動きが出た。
結局,ジョコウィはブディの人事案を取り下げ,長官代行に任命していたバドロディンを長官に指名して国会の同意を得た。ただし,その後ブディは汚職事件の追及を逃れられただけでなく,警察副長官に任命され,名を捨てて実を取った形になった。闘争民主党も,大統領弾劾が容易ではないことを認識する一方,メガワティ党首が4月の党大会の場で,ジョコウィを名指しはしなかったものの,党員に対して「党の役人」としての責務を果たすように釘を刺した。
この警察長官人事をめぐる一連の混乱で明らかになったことは,ジョコウィ大統領とその所属政党である闘争民主党との関係構築の難しさであった。ジョコウィは,党員ではあっても,党の政治家としての経験は皆無であり,党の幹部だったこともない。ジョコウィは,与党内に自らを支持してくれる政治基盤を何ら持たないし,与党をコントロールする術も持っていないのである。与党は,常に大統領を支える存在ではなく,大統領の逸脱的な行動を常に監視しているのである。
与党の人事介入と大統領のリーダーシップ確立の模索ジョコウィ大統領が,人事面で与党,なかでも第1党の闘争民主党の要求に屈するのはこれが最初ではない。内閣の閣僚を選任する際にも,経歴や能力に疑問がありながらも,メガワティの推す人物の入閣をジョコウィは拒否できなかった。
政権発足後も,これと同じことが繰り返されている。2014年11月にジョコウィが新検事総長に任命したのは,検察出身ながら与党連合の一角を占めるナスデム党議員のプラセトヨであった。この人事の背後には,ナスデム党のスルヤ・パロ党首の強い要請があった。「法の確立」にとって重要なポストに中立的な人物ではなく,政党人をあてたということで,市民グループからは懸念する声があがった。1月に任命された大統領諮問会議の委員も,9人のうち6人を連立与党幹部が占めた。専門性の高い有識者が任命されることの多いこのポストにも政党人が任命されたことは,与党の人事介入が強いことをうかがわせた。
これに対して,ジョコウィが自らのリーダーシップ確立に向けてとった方策が,大統領府の強化であった。2月,ジョコウィは大統領補佐官室を設置することを決めた。大統領首席補佐官には,元陸軍将校でソロ時代からジョコウィと近かったルフット・パンジャイタンが任命された。その下には5人の次席補佐官が置かれたが,彼らも,ジョコウィのソロ時代からの選挙参謀や学者など,連立与党とは関係のない人物である。大統領周辺だけは連立与党からの人事介入が避けられるため,そこに政党とは関係のない,自らが信頼できる人物を配して,ジョコウィの理想とする政治と目指す政策を展開しようとしたのである。
しかし,このような大統領府強化の動きに対しては,すぐに周辺から牽制する動きが出た。闘争民主党からは,アンディ・ウィジャヤント内閣官房長官,プラティクノ国家官房長官,ルフット大統領首席補佐官の3人が党と大統領の意思疎通を意図的に妨害していると批判する声があがった。カラ副大統領周辺からは,大統領補佐官室は副大統領の権限を弱めるものだと警戒する声があがった。
内閣改造を通じた大統領・与党関係の再編しかし,警察長官人事で表面化したように,大統領と与党が良好な関係を築けなければ,政権の安定は確保できない。そこでジョコウィ大統領は,政権発足後わずか10カ月で踏み切った内閣改造で,経済関係の閣僚を入れ替えて政府の実行力を高めると同時に,大統領と与党の関係を再構築することにした。
当初ジョコウィ大統領は,内閣改造には必ずしも前向きではなかった。しかし,経済の低迷がはっきりするとともに,その一因が予算消化の遅れにあることが指摘されるようになると(経済の項を参照),政府を動かすために内閣改造が必要になった。そこでジョコウィは,省庁間や政府と国会の間の政策調整を担う調整大臣を中心に内閣改造を実施することにした。それによって政策執行のスピードアップを図り,政権のパフォーマンスを向上させようとしたのである。
まず,経済担当調整相にダルミン・ナスティオンが任命された。ダルミンは,大蔵省租税総局長や中銀総裁を歴任したテクノクラートである。前任のソフヤン・ジャリルは,調整役を果たしていないと批判されていたが,学者としてより適任のポストである国家開発企画相に横滑りした。
ジョコウィの目玉政策である「海洋国家」構想を管轄する海事担当調整相には,民主化直後のアブドゥルラフマン・ワヒド政権で経済担当調整相や大蔵相の任にあったリザル・ラムリが任命された。リザルも経済学者であるが,ジョコウィ政権の経済政策を厳しく批判していたため,その入閣には驚きの声があがった。
さらに,政治・法務・治安担当調整相には,大統領首席補佐官のルフットが任命された。ルフットは,政権発足前にも同ポストの候補者として名前があがっていたが,ジョコウィとの関係が近すぎるとして連立与党側が警戒し,入閣できなかった。今回の改造でも,当初はこのポストにほかの人物の名前が挙がっていたが,意中の人物に断られたため,やむなくルフットが充てられた。
平均年齢が54歳と若い内閣にあって,今回の内閣改造で登用された調整相は60歳代の経験豊富な人物である。経済の低迷や少数連立政権という困難な状況を打開するため,ジョコウィはシニア世代の手腕に頼ることにしたのである。
経済関係の閣僚以外の改造人事は,与党との関係再構築を意図したものである。ジョコウィは,懐刀として大統領直属のポストにおいていたアンディ内閣官房長官とアンドロニフ・チャニアゴ国家開発企画相を更迭した。与党との対立の種となっていたアンディの後任には,闘争民主党の元幹事長であるプラモノ・アヌンが任命された。彼は,ジョコウィ政権発足直後に与党連合と野党連合が議会運営をめぐって正面から衝突した際,与党側の交渉窓口として国会正常化に向けて奔走した人物である。プラモノの任命は,彼の政党政治家としての人脈と経験を買ってのものである。ジョコウィは,政府と与党,なかでも闘争民主党との意思疎通を改善していくことを優先したのである。
ただし,ジョコウィが大統領府の強化によるリーダーシップの確立を諦めたわけではない。ルフットの後任として,9月2日に大統領首席補佐官に指名されたテテン・マスドゥキも,2014年の大統領選挙戦からジョコウィを支えてきた側近のひとりである。反汚職NGO活動家でもあるテテンには,ジョコウィの最大の支持基盤である市民社会との連携という役割も期待されている。
野党の内紛と連立政権の拡大一方,ジョコウィ政権発足直後には国会の過半数をおさえ,激しい政権攻撃を展開した野党間の協力関係は,次第に勢いを失っていった。その最大の理由は,野党間協力を実質的に取りまとめていたゴルカル党の内紛が泥沼化した点にある。
ゴルカル党は,2014年大統領選挙でジョコウィの対立候補だったプラボウォ・スビアントを支持し,選挙後も野党にとどまることを主張したアブリザル・バクリ党首と,与党への鞍替えを主張したアグン・ラクソノ副党首のグループが対立し,それぞれが独自に開催した党大会で党首を選出して正統性を争ってきた(党大会の開催場所から,前者がバリ大会派,後者がジャカルタ・アンチョール大会派と呼ばれる)。党内ではアクバル・タンジュンやカラといった党首経験者による調停が続けられたが,両者の対立が解けないまま,法務・人権相が3月10日にアグンを正式な党首として承認する決定を下した。これに対してバクリは,その決定を不服として法廷闘争に持ち込んだ。10月20日,最高裁が法務・人権相の決定を無効とする判決を下したことで,両者の争いは振り出しに戻った。
さらに,11月には,ゴルカル党所属のセトヤ・ノバント国会議長をめぐるスキャンダルが発覚した。パプアで金・銅鉱山を経営するアメリカ系鉱山会社フリーポートの事業契約延長をめぐる問題で,セトヤは同社幹部と密かに接触し,同社株式の大統領への譲渡を含む便宜供与を依頼するなど,政府には何の断りもなく裏交渉を行っていたことがスディルマン・サイド・エネルギー鉱物資源相によって暴露されたのである。このスキャンダルは,国会の懲罰委員会である名誉審判所で追及を受けるとともに,刑事事件として最高検察庁の捜査が行われた。国民の批判が高まるなか,セトヤは国会名誉審判所の判断が下る直前の12月16日に辞職を発表した。セトヤは,野党連合による政権攻撃を国会内で主導してきた人物だっただけに,野党連合はさらに弱体化することになった。
同党の内紛は,12月9日に行われた統一地方首長選挙にも大きく影響した。2005年に初めて地方首長(州知事,県知事,市長)に対する住民の直接選挙が導入されて以来,各地方の首長選は任期の切れた自治体ごとにばらばらに実施されてきた。しかし,それではあまりに非効率だということで,3月に新しく制定された地方首長選挙法(法律2015年第8号)で,全国で統一して地方首長選挙を実施することになった(地方議会議員選挙は,国会議員選挙と同時に全国で統一的に実施されている)。ただし,現在は各地方首長の任期終了の時期に大きな差があるため,任期の近い自治体ごとに段階的に選挙の実施時期を統合していき,最終的に全国で統一的な地方首長選挙を実施するのは2027年とされている。2015年はその第1段階として,264の地方自治体で統一地方首長選挙が実施された。
ゴルカル党は,党内が分裂したままこの選挙に臨まざるをえなかった。そのため,各地で候補者の擁立を見送るなど,党が一致して選挙戦を戦うことができなかった。結局,同党が公認した候補が当選を果たしたのは48自治体と,全体の約18%でしか勝利することができなかった。
同様に,イスラーム系の開発統一党(PPP)における内紛も,収束の気配がない。同党も,与党支持のムハマド・ロマフルムジ派(スラバヤ党大会派)と野党支持のジャン・ファリズ派(ジャカルタ党大会派)の分裂が続いたままである。ロマフルムジ派を公式の執行部として承認した政府決定の正統性をめぐって争われていた裁判では,10月20日に最高裁が法務・人権相の決定を破棄する判決を下した。両者の争いも,振り出しに戻ってしまった格好である。
一方,連立与党は基盤固めに成功する。9月2日,国会第5党の国民信託党(PAN)が野党から与党に鞍替えすることが発表された。同党が政権入りしたことで,連立与党の議席が国会過半数を超え,国会運営の見通しにも明るさが見えてきた。ただし,これで大統領も政治的に安泰というわけにはいかない。なぜなら,すべての連立与党がいつも政府の政策に賛成するとは限らないからである。また,連立与党が6政党に増えたことで,政権内での利害調整の手間はむしろ増えた。限られたポストを与党内でどのように配分するのかも頭が痛い問題である。政権基盤固めは終わりのない問題なのである。
2015年のインドネシアの経済は前年からの減速懸念が現実のものとなり,1年を通じて低調に終わった。通年のGDP成長率は前年の5.02%を下回る4.79%と,財政目標値の5.7%からも大きくかい離した非常に低い伸びであった。
名目GDPの55.9%を占める家計消費が主な経済成長の牽引役であることに変わりはなく,前年比5.0%増,寄与度は2.7%であった。2014年度から新たに加わった支出項目である対家計民間非営利団体(NPISH)の割合は1.1%で,前年比0.6%減であった。政府支出の割合は9.8%と前年比5.4%増となり寄与度は0.5%であったが,政府支出執行の遅れが景気の低迷に影響した。とくにインフラ支出の執行の遅れが景気回復の足を引っぱった(後述)。投資(総固定資本形成)がGDPに占める割合は33.2%で前年比5.1%増,寄与度は1.6%であった。投資調整庁によると,2015年度の国内外を含む投資額(実施ベース)は545兆4000億ルピアで前年比17.8%増と,政府目標の519兆5000億ルピアを超えた。国内投資は前年比15%増の179兆5000億ルピア,外国直接投資は前年比とほぼ同じ292億8000万ドルであった。外国直接投資額がもっとも多かったのは鉱業で1066案件,401億7000万ドルであった。国別ではシンガポールからの投資がもっとも多く59億ドル,ついでマレーシアの31億ドルで前年比73%増と急増した。日本は3位で28億7000万ドルと前年比6.3%増だった。
輸出が名目GDPに占める割合は21.1%,輸入は20.8%であった。輸出の伸びは2.0%減,輸入は5.8%減と輸出・輸入とも前年を下回ったが,輸入の減少幅が輸出より大きかったため,純輸出(輸出マイナス輸入)の成長への寄与度は0.9%となった。これは,前年の寄与度0.3%に比較すると高かったものの,輸出も減少するなかでの改善であるため,積極的な貢献にはなっていない。
2012年以降200億ドルを超える状態が続いていた経常収支赤字は178億ドルと大幅に縮小した。貿易収支は年間を通じて黒字を確保し,通年で133億ドルの黒字となり,前年の70億ドルのほぼ2倍となったが,これも輸入の減少によるものである。非石油・ガスの輸出は前年比10%減の1305億ドル,輸入は同13%減の1115億ドルであった。石油・ガス輸出は164億ドル(前年比42.9%減),輸入は229億ドル(同43.6%減)と輸出・輸入とも大幅な減少となり,石油・ガス貿易赤字は65億ドルと前年の118億ドルから約半減した。石油・ガス輸出の内訳は,石油・石油製品が78億ドルで前年比43.3%減,天然ガスは86億ドルで42.5%減と,国際商品価格の下落が影響した。2014年に始まった未加工鉱石の輸出禁止以前には,全輸出(石油ガス含む)の32.3%を占めていた鉱業生産物の割合は22.7%に減少した。依然として輸出が再開されていないニッケルをはじめ,3月に輸出再開が検討されたものの再開の見通しがたたないボーキサイトなど,輸出停止の影響に加えて,国際価格の低迷による影響も大きい。たとえば,輸出全体の10.4%を占めるパーム油は,輸出量は前年比15.8%増であったにもかかわらず,金額では11.8%減となり,石炭は量では10.4%減だったが金額では23.4%減となった。
2015年の非石油・ガスの輸出相手国の1位はアメリカの153億ドル(前年比3.5%減)で,前年に1位であった中国は133億ドル(同19.5%減)で2位となった。日本は130億ドル(同11.1%減)で,前年と同じ3位であった。非石油・ガスの輸入の1位は292億ドルの中国で,前年比4.2%減であった。2位は日本の132億ドルであったが,前年比21.3%の大幅な減少であった。対中国貿易収支は148億ドル(石油・ガス含む)の赤字と前年の133億ドルからさらに拡大し,2番目に貿易赤字幅の大きいシンガポールの60億ドルをはるかに上回っている。
資本は継続的に流入しているものの,純流入は171億ドルと前年の450億ドルから大幅に減少した。直接投資による流入額は前年の252億ドルから187億ドル(投資調整庁が公表する外国直接投資実現額は292億8000万ドル)に減少し,ポートフォリオ投資も正味で261億ドルから167億ドルへと減少している。ポートフォリオ投資のうち政府部門への流入は154億ドルから174億ドルへと増加した一方,民間部門への流入が81億ドルから3億ドルへと激減した。とくにルピア安が深刻化した第3四半期に株式12億ドル,短期債券12億ドルが流出し,続く第4四半期には株式7億ドル,短期債券12億ドルが流出した。これは,前年に急増した株式・短期債券などの民間部門への流入が流出に一転した結果といえる。
ルピア安とルピア安定化政策第3四半期に資本が流出した原因は,ルピアの大幅な下落である。為替相場は年初から低下傾向が続いたが,8月に入り下げ幅が急速に大きくなった。8月21日にはアジア通貨危機以来17年ぶりの安値となる1ドル=1万4000ルピアとなり,9月28日には1万4750ルピアをつけた。これを受け,5000前後で推移していたジャカルタ総合指数も,9月28日に2015年の最安値となる4120.5となった。これは,8月11日の人民元の切り下げを受けて,新興国通貨が軒並み下げ幅を拡大したためであるが,ルピアは同じ資源輸出国である隣国マレーシア・リンギとともに大きく下落した。直後の8月18日に開かれた中銀の金融政策決定会合では,政策金利を7.5%に維持することが決められると同時に,ルピアを安定させるために,今後も為替介入を続けることが明言された。
しかし,それまでも中銀は為替市場に介入をしていた。1ドル=1万2414ルピアで始まった為替相場は,2月から下落しはじめ,3月に入ると1ドル=1万3000ルピアを付け,その後も下がり続けた。継続的なルピア安を懸念した中銀は,市場への介入を示唆していた。12月末の外貨準備高は前年末の1119億ドルから5.3%減の1059億ドルとなったが,外貨準備のうち流動性の高い外貨・預金の減少が顕著であった。外貨・預金残高は1月に前月比15.6%減,3月に同11.8%減,人民元の切り下げがあった8月には同18.7%減であった。12月末の残高は前年比の38%減で,継続的な市場介入が実施されたことを物語っている。6月1日には,為替市場の流動性を高め,為替取引を強化することを目的に,銀行の為替持高(NOP)規制を緩和し,外貨建て資産と負債の差の20%以内と定められている純持高を日中30分ごとから,終日時点のみの施行に変更した。
人民元の切り下げに揺れた8月後半,中銀は為替安定化政策を発表し(8月20日),市場介入に加え,公開市場操作を通じてルピア流動性の管理を行うとした。具体的には,短期市場での国債の購入や,9~12カ月物中銀証書(SBI)発行の再開などによる長期資金の供給が盛り込まれた。さらに8月25日には,投機目的の外貨取引の抑制とルピア相場の安定を目的に,1カ月に購入可能な外貨の上限を10万ドルから2万5000ドルに引き下げることが中銀規則により定められた。
中銀は,9月30日にもルピア安定化策を発表した。これは後述する9月9日発表の第1弾経済政策パッケージを補完するためのもので,ルピアの安定と流動性の管理強化,および外国為替の需給管理の強化を目的とした。具体的には,スポット市場介入に加え,先物為替市場へも介入し,ルピアの売り圧力を緩和することが目指された。また,流動性管理強化のために3カ月物預金中銀証書(SDBI)の発行と国債の2週間物逆レポを実施し,ルピア安圧力となるルピアの過剰流動性の吸収を目論んだ。また,外国為替需給管理として外貨建て中銀証券の発行,外国為替取引報告書の強化などを実施した。
ルピア安の進行によって,民間企業が抱える対外債務のリスクヘッジの強化も急務となった。中銀は2014年12月29日に中銀規則を発表し,2015年1月1日から民間企業に対して,外貨建て資産を積み増すことを求めた。さらに,流動性比率を2015年は50%,2016年以降は70%とすることを定めた。対外債務は2010年以降急増している。12月末の対外債務残高(官民含む)は3107億ドルで,GDPの36.2%に上る。うち民間企業は54%と過半となり,とくに民間非金融企業の割合が全体の40%を占め,1240億ドルとなった。これは,2010年末の658億ドルの2倍近くになっている。国営企業(分類上では政府部門ではなく民間非金融に含まれる)の対外債務残高は,275億ドルと2010年の4倍に膨れている。
さらに,3月の中銀規則で,7月からの国内決済におけるルピア使用が義務化され,現金決済には3月31日から,非現金決済には7月1日から適用された。これは,2011年6月に制定された通貨法のなかのルピア使用を強制する規定に基づいたものであるが,通貨法には具体的な規定がなかったことが実務上の混乱を招き,2011年12月に財務省はルピア使用の義務化は現金決済だけに適用する旨の公式見解を発表していた。しかしその後のルピア安を受け,ルピアの安定化を目的として,全決済のルピア使用が義務づけられた。
ルピア安定策とは別に,景気刺激策として6月23日には低調な銀行貸出を押し上げるために住宅ローン・自動車ローンの頭金規制が緩和された。70平方メートル以上の住宅を初めて取得する場合の頭金は30%から20%に,2軒目の取得は40%から30%に,3軒目以降は50%から40%に,非商業用自動車は30%から25%に,二輪車は25%から20%にそれぞれ引き下げられた。
深まる消費の不透明さルピア安による景気の不透明感に加え,2015年は観測史上最強といわれたエルニーニョ現象による干ばつが続いて食糧価格が上昇するなど,消費者心理にマイナスに影響する要因が続いた。エルニーニョ現象の影響で,乾期が例年より長引いたうえに干ばつも深刻となったため,コメの不作が懸念され,小売価格が各地で上昇した。食糧価格は5月頃から上昇し,前月比8%増を超える月が9月まで続いたため,政府はタイとベトナムから150万トンのコメを緊急輸入することを決定した。不作が心配されたコメは,通年では前年比6.4%増の7536万トンの生産高となったが,全国の15%を生産する西ジャワ州では2.3%減少した。干ばつなどによる将来的な気候変動の影響を緩和するため,政府はパキスタンから今後4年間に100万トンのコメを輸入することを12月に決めた。
国内消費のバロメーターともいえる自動車・二輪車の販売台数にもブレーキがかかった。自動車の販売台数は101万3291台と,かろうじて100万台は維持したものの,前年比16%減となった。生産台数も,前年の129万8523台から15.4%減少し,109万8780台となった。二輪車の販売台数の落ち込みはさらに大きく,前年比21%減の648万155台であった。
立ち上がりの遅い財政予算執行2015年の経済の低迷は,アメリカの金利引き上げ予測の動向と中国経済の減速などの外的要因が主であるといえるが,干ばつの影響などに加え,政府の予算執行能力にも大きな問題があったといえる。
2014年10月に就任したジョコウィ大統領は,2014年末にガソリン補助金廃止という大胆な改革を実施し,補助金の削減分をインフラ向けに充当した。3月に成立した補正予算では,当初予算の1.5倍にあたる290兆ルピアが資本投資に割り当てられた。年明け早々の1月8日に策定された「国家中期開発計画2015~2019年」では,今後5年間に必要なインフラ投資額は5519兆4000億ルピアと見積もられ,このうち政府が40%,国営企業が20%,民間部門が30%をまかなうとされた。1月16日には大統領令2015年第4号が制定され,政府調達において電子調達システムを積極的に利用して速やかに予算を執行することが目指された。
さらに1月26日には,ジョコウィ大統領が公約に掲げていた外国投資誘致のための投資環境整備の手始めとして,投資調整庁による投資ワンストップ・サービス(PTSP)が開始された。このサービスには22の省庁・機関が統合され,企業の設立,事業に必要な便宜と許認可,営業ライセンスの取得など,投資をする際の複雑かつ長期間の手続きについてオンライン化を進め,手続きの短縮,簡素化,透明化,統合化を図ることが目指されている。このように,ジョコウィ大統領は年明けから行政の効率化や投資環境の改善に意欲的に取り組む姿勢を見せたため,2015年は投資やインフラ整備,社会開発が進むことが大いに期待された。
しかし,実際には予算の執行は例年よりも大幅に遅れ,期待は失望に変わった。年度上半期を終了した時点での支出は歳出予算の39%に過ぎず,275兆8000億ルピアが計上された資本支出の執行率は11%であった。11月末時点でも予算消化率は78%にとどまり,資本支出の執行率は51%でしかなかった。結局,通年では1810兆ルピア(91.2%)の予算が執行され,例年よりも低い達成率で終わった。歳入についても,1761兆6000億ルピアの目標に対して達成率は84.7%(実現額1491兆5000億ルピア)であった。そのため,最終的な財政赤字は318兆5000億ルピア(対GDP比2.8%)に上り,国家財政法(法律2003年第17号)が規定する対GDP比最大赤字幅3%以内には収まったものの,高い水準になった。
大幅な予算執行の遅れの要因として,政治の項でもみたように,年明けから警察長官人事をめぐる政局の混乱に時間を取られ,適切な景気対策をとる余裕がなかったことがあげられる。さらに,ジョコウィ大統領が実施した省庁再編も予算執行遅れの一因となった。再編により海事担当調整大臣府や農地・空間計画省が新設され,公共事業省と国民住宅省および環境省と林業省がそれぞれ統合するなど,大幅な改編が行われた。それに伴い,各省庁への予算配分は補正予算により132兆ルピア増の780兆ルピアとなったものの,この予算を執行する体制が整うまでに半年以上の時間を要した。5月の段階でも,新設や改編された省庁の多くの上級管理職の選任が終わっておらず,そのため職員の人事異動もままならない状態だった。このように,政府組織の体制が未整備だったことも,上半期における予算執行の遅れを招いた要因である。
経済政策パッケージ群政府は,予算執行の遅れに焦りを感じるなか,強まる世界経済の不透明感を払拭し,国内経済を活発化させるために,9月9日に経済政策パッケージを発表した。財政・金融政策を通じてマクロ経済を安定させ,政府支出の早期執行も含め,規制緩和や手続きの簡素化などにより経済成長を促すことが目的だった。具体的には,重複する規制の見直しや国家プロジェクト事業の加速化,不動産部門の投資促進などが含まれたが,どの政策も重要ではあるものの期待される効果は中長期的なものであったために市場の反応は薄かった。しかし,その後も続けざまに第8弾までの政策パッケージが発表され,2016年に入っても発表が続いている(表1参照)。ただし,これらは「政策パッケージ」と名付けられているものの,従来のようにある特定の経済政策遂行に向けて規制緩和や法制度の整備をまとめたものとは異なり,さまざまな政策の寄せ集めにすぎない。
(出所) 国家開発企画省ウェブサイトより筆者作成。
第2弾の経済政策パッケージでは,工業団地における1000億ルピア以上もしくは1000人以上の雇用を予定する投資に対しては,投資許可にかかる時間を3時間に短縮するなど,投資促進のための許認可取得手続きの簡素化・短縮化が発表された。第3弾パッケージには,電気料金を利用者別に細分化して引き下げ,中小企業向け貸出(KUR)の金利を22%から12%に引き下げることなどが盛り込まれた。第4弾パッケージにも含まれるKURは,借入の70%を政府が保証する中小企業資金プログラムである。銀行アクセスがなく,貧困層向けの政府援助や国家庶民啓発プログラム(PNPM Mandiri)など多数ある政府援助プログラムからも融資を受けていない中小零細企業に対して資金を供給し,実物経済の成長を促すことを目的に2007年に始まった。2015年の貸出し目標は30兆ルピアに設定されていたが,9月時点での貸出額は3兆6900億ルピア(12.3%)にすぎず,年間でも22兆7500億ルピア(75.9%)にとどまった。
さらに,第4弾パッケージでは,最低賃金の算出方法が新たに規定された。従来,最低賃金は州別に算出される適正生活水準値(KHL)を参考に決定されていたが,2016年からは前年のインフレ率とGDP成長率を足し合わせた率が上昇率となることが定められた。KHLの算出は,基準となる品目によって値が恣意的になるという問題がこれまで指摘されてきた。2013年のジャカルタ首都特別州の賃金上昇率が43.9%になるなど,近年各地で大幅な賃上げが続いたことから,企業経営者の間では最低賃金の決定に対して強い不満が生じていた。そこで政府は,算出方法を公平かつ簡素化することで,インドネシアにおける経営リスクのひとつとなっていた賃金上昇を予測可能なものにしようとしたのである。第5弾パッケージでは,企業が長期保有している資産の評価替えを,減税インセンティブを与えることによって促進し,企業財務の改善を促す施策が取り入れられた。
第6弾パッケージでは,外国投資の拡大を目的とした経済特区(KEK)での減税の実施が,続く第7弾パッケージでは,資金アクセスの向上を目的に,担保となる土地証明書の取得手続の迅速化が盛り込まれた。さらに,第8弾パッケージでは,土地利用を効率化するため5万分の1の地図作成を目指すワンマップ政策や,製油所設立への民間の参入許可,航空機メンテナンスを中心とした航空機産業のてこ入れ政策など,多種多様な政策が盛り込まれた。これらの政策に目新しさはないものの,投資の促進や規制緩和に向けた具体的な政策が公表され続けたことで,市場は政府の姿勢を評価するようになっていった。
ジョコウィ大統領は,3月22日から28日にかけて,日本と中国を公式訪問した。東南アジア域外の国としては初の外遊となった今回の歴訪で,ジョコウィは,インドネシアの戦略的有用性を活かして,日中両国からできるだけ多くの経済協力を引き出すことを目指した。また外国企業のインドネシアに対する認識を「市場」から「輸出製品の生産拠点」へと転換させることも目標であった。
3月23日の安倍晋三首相との会談でジョコウィ大統領が獲得した最大の成果は,日本の協力で建設が進められているジャカルタ都市高速鉄道(MRT)とジャワ・スマトラ連係送電線について,約1400億円の円借款供与を獲得したことである。またジョコウィは,来日中に多数の企業と個別の会談を行い,総額56億ドルの投資計画を企業側から引き出した。さらに,トヨタ自動車を訪問した際には,インドネシアを輸出拠点とするよう要請し,会談した豊田章男社長から「現在インドネシアからの年20万台の自動車輸出を,2〜3年後にタイ並みの年70万台に拡大することを目指す」との言質も引き出した。このほか,ジョコウィ政権の重点政策である輸出拡大,投資誘致,地方振興,海洋立国の分野で,専門家の派遣,地場企業の育成,技術移転などの協力を進めるための覚書が締結された。
ジョコウィは,自らが掲げる「海洋国家構想」の分野でも協力を引き出した。両国政府は,海洋安全保障や海洋関連産業の育成などを幅広く話し合うための「日本・インドネシア海洋フォーラム」の創設と,外務・防衛担当の閣僚級協議(2プラス2)の開催で合意した。日本の防衛相とインドネシアの国防相は,防衛装備品や技術面の交流を柱とした覚書にも署名している。
中国訪問でも成果3月25日に名古屋から中国・北京に入ったジョコウィ大統領は,習近平国家主席,李克強首相らと相次いで会談した。中国政府との交渉では,ジャカルタ=バンドン間の高速鉄道建設などのインフラ協力,航空宇宙開発協力,海上捜索救助協力などに関する8つの覚書が締結された。また,中国の国有銀行である国家開発銀行(CDB)と中国商工銀行(ICBC)の両行が,インドネシアの民間企業による発電所建設に資金協力することも合意された。さらに,中国企業からも総額684億ドルに上る投資計画を引き出している。このほか,中国政府との間では,2020年までに両国間の貿易総額を現在の3倍にあたる1500億ドルに引き上げることや,両国間の観光客を年間1000万人に引き上げるため観光客のビザなし渡航を認めることなどが合意された。海洋協力の分野でも,ジョコウィ大統領自身が中国の「21世紀海のシルクロード構想」とインドネシアの「海洋国家構想」の協働を呼び掛けた。中国が提唱するアジアインフラ投資銀行(AIIB)についても,その設立を強く支持した。国内のインフラ整備促進を最重要課題とするジョコウィ政権は,AIIBによるインフラ開発の資金供与に対して強い期待感をもっている。
このように,ジョコウィは,日中2カ国の歴訪を通じて,鉄道や発電所といった重要インフラに対する資金協力を両国政府から獲得するとともに,両国企業からも多額の投資計画を引き出すことに成功した。海洋協力の分野でも,日中間の競争意識を逆手にとって協力を獲得した。ただし,日中両国政府の安全保障上の利害が衝突する南シナ海問題に対しては,いずれの国にも与しないという立場をとり,双方との良好な関係を維持することに努めた。日本側は,中国政府の行動を法の支配によって縛るため,東南アジア諸国連合(ASEAN)の大国であるインドネシアの積極的な関与を求めたが,ジョコウィは,「各方面に自制を求めるとともに,インドネシアはよき調停者になる用意がある」と述べるにとどまった。
ジャカルタ=バンドン間の高速鉄道建設を中国が受注インドネシアをめぐる日中間の競争は,高速鉄道の建設をどちらの国が受注するかという問題をめぐって過熱した。日本政府は,首都ジャカルタとジャワ島東部にある第2の都市スラバヤを結ぶ高速鉄道の導入を2008年に提案して以来,インドネシアにおける高速鉄道建設計画で常に先頭を走ってきた。その後,2011年には,その先行区間としてジャカルタと西ジャワ州の州都バンドンを結ぶ高速鉄道の建設を日本は提案した。この計画は,日本が官民一体で協力しているジャカルタ首都圏の地域開発計画──ジャカルタ首都圏投資促進特別地域(MPA)構想──にも盛り込まれ,日本が優勢な形で進められていた。
しかし,ジョコウィ政権の発足に伴って前政権期の開発政策は大きく見直されることになった。日本が関与していた高速鉄道建設計画についても,チャニアゴ国家開発企画相が中止を発表した。鉄道を主管するイグナシウス・ジョナン運輸相も,ジャワ島の高速鉄道建設に国家予算は投入しないとの姿勢を示した。
その後,3月のジョコウィ訪中の際に中国政府がジャカルタ=バンドン間の高速鉄道建設への協力を申し出たことを受けて,政府は日中両案を比較検討する作業に入った。しかし,ジョコウィ大統領は9月3日に両案ともに却下するとの結論を出した。ジョコウィは,あくまで高速鉄道には国家予算は投入しないとの方針を示し,ビジネスベースで事業を実施するよう計画の再考を両国に促した。
これに応じたのが中国政府であった。中国側は,両国の国営企業が設立する合弁会社が高速鉄道の建設から運営を担い,中国の国家開発銀行が全額を融資する,インドネシア政府には財政負担も政府保証も求めない,という提案を行ったのである。さらに中国政府は,鉄道の建設だけに限らず,車輌製造や素材産業の技術移転,原材料等の現地調達,沿線の不動産開発など,国営企業を通じた戦略的産業開発を掲げるジョコウィ政権の意向に沿う提案を行って,自国案を売り込んだ。
ジョコウィ政権は,財政負担が発生しない点や,技術移転や地域開発が盛り込まれた中国案を評価し,これを採用することを決定した。10月16日には,高速鉄道の建設と運営を担うインドネシア・中国高速鉄道会社(KCIC)が設立された。同社には,国営建設会社ウィジャヤ・カルヤを筆頭に,インドネシア国鉄など国営企業4社からなるインドネシア国営企業連合(PSBI)が60%,中国鉄道コンソーシアムが40%を出資している。事業の総工費は74兆3000億ルピアで,このうち25%を自己資本で,残りの75%を中国からの融資でまかなう。運行ルートは,ジャカルタ中心部のガンビル駅からバンドン郊外のグデバゲ駅に至る150.5キロメートル,時速350〜380キロメートルの運転で所要時間約36分の予定である。2018年の完工,2019年の開業が目指されている。
ジョコウィ政権の1年目は,史上初の庶民出身大統領に向けられた期待に必ずしも応えられたわけではなかった。それでも,国民目線に立った政治に対する国民の評価は高く,今後の政治運営に対する期待もいまだに高い。政権基盤の安定してきた2016年こそ,その成果を徐々に国民に示していかなければならないだろう。しかし,利権エリートを次々と摘発する汚職撲滅委員会の取り組みに対する反発は,警察だけでなく国会からも継続的に示されている。市民社会の擁護が同委員会にとって唯一の支えだが,ジョコウィ大統領は自らを権力の座に押し上げてくれた市民社会の声にこれからも耳を傾けていけるだろうか。
2015年の経済成長率は低調に終わったものの,第3四半期までの成長率が4.7%前後であったのに対して第4四半期は5.04%と上向いた。また第3四半期から流出が続く民間ポートフォリオ投資のうち長期債券は第4四半期には6億ドルの流入に転じている。また,大幅に出遅れたインフラ投資も後半から動き始めたことが2016年の景気の先行きを明るくしている。しかし,国際経済の見通しにますます危機感が募るなか,経済成長率5.3%の目標達成は容易ではなく,政策パッケージで発信し続けた投資促進,規制緩和などを実現するための丁寧な調整と努力が不可欠となる。
(川村:地域研究センター)
(濱田:開発研究センター研究グループ長)
1月 | |
2日 | 大統領,アグス・スプリアトナ国軍参謀本部参謀長を空軍新参謀長に任命。 |
9日 | 大統領,次期国家警察長官候補にブディ・グナワンを指名。しかし,13日に汚職撲滅委員会がブディを汚職容疑者に指定。 |
14日 | 憲法裁新長官にアリフ・ヒダヤットが就任。 |
16日 | 大統領,バドロディン・ハイティ国家警察副長官を長官代行に任命。 |
18日 | 6人の麻薬犯(うち5人が外国人)に対する死刑が執行される。オランダとブラジル政府はこれに抗議して大使を一時召喚。 |
19日 | 大統領,大統領諮問会議の委員9人を任命。このうち6人が連立与党の幹部。 |
20日 | 国会,地方首長選と地方行政に関する法律代行政令の法律化案を可決。地方首長の直接選挙維持が確定する。 |
23日 | 警察,汚職撲滅委員会副委員長バンバン・ウィジョヤントを逮捕。これに反発した市民が同委員会事務所前に集結。 |
26日 | 投資調整庁,ワンストップ・サービスを開始。 |
28日 | 大統領,警察と汚職撲滅委員会の対立解消のため独立の9人チームを設置。 |
2月 | |
3日 | 大統領,ブディの新国家警察長官指名を撤回。 |
5日 | 大統領,マレーシア,ブルネイ,フィリピン歴訪に出発(~9日)。 |
9日 | 警察,アブラハム・サマド汚職撲滅委員会委員長を公文書偽造の容疑者に指定。 |
9日 | ジャカルタで洪水被害が拡大。 |
13日 | 国会,2015年度補正予算案を可決。 |
14日 | ハヌラ党,ウィラント党首を再選。 |
16日 | 南ジャカルタ地裁,汚職撲滅委員会による逮捕を不当とするブディの訴えを認める予審判決を下す。 |
17日 | 汚職撲滅委員会と警察の対立を協議する9人チーム,大統領に提言を提出。 |
17日 | 中銀,政策金利を25ベーシスポイント引き下げ7.5%へ。 |
18日 | 大統領,バドロディン国家警察長官代行を新長官候補に指名。 |
19日 | 大統領,アブラハム・サマドとバンバン・ウィジョヤントを停職処分とし,後任の委員にトウフィックラフマン・ルキらを任命するため法律代行政令を制定。 |
20日 | ブラジルのジルマ・ルセフ大統領,インドネシア大使の信任状受け取りを拒否。政府はこれに反発し,大使を本国に召還。 |
23日 | 最高裁,収賄などの罪で終身刑の判決を受けていたアキル・モフタル元憲法裁長官の再審請求を却下。また,アトゥット・ホシヤ前バンテン州知事に対する汚職裁判で,禁錮7年の実刑判決を下す。 |
3月 | |
1日 | 国民信託党,党大会でズルキフリ・ハサンを新党首に選出。 |
2日 | 汚職撲滅委員会,ブディを容疑者とする汚職事件の捜査を警察に移管。 |
12日 | トルコ政府当局,IS(「イスラーム国」)に加わるためシリアへ出国しようとしていたインドネシア人16人を逮捕。 |
22日 | 大統領,日本,中国歴訪に出発(~28日)。23日に日本の安倍首相と,26日に中国の習近平国家主席と会談。 |
23日 | 法務・人権相,ゴルカル党のアグン・ラクソノ派を正式な執行部と認定。 |
31日 | 中銀,インドネシア国内における現金ルピア使用を義務づけ。非現金取引は7月1日から。 |
4月 | |
2日 | 副大統領,西ジャワ州カラワンでのチラマヤ新国際港の建設中止を発表。 |
9日 | 闘争民主党,メガワティ・スカルノプトゥリを党首に再選。メガワティは,大統領とその周辺を批判する演説を行う。 |
14日 | サウジアラビア政府,政府・家族への通知なくインドネシア人労働者に対する死刑を執行。16日にも再度死刑が執行される。 |
17日 | バドロディンが国家警察新長官に就任。 |
19日 | アジア・アフリカ会議60周年記念会議,開催(~26日)。23日のジャカルタでの首脳会議で,大統領は国連・国際金融機関の改革の必要性を強く主張。24日には参加各国首脳がバンドンで行進。 |
20日 | イエメンのサナアにあるインドネシア大使館が,サウジアラビア主導の連合軍による空爆の被害を受ける。2人がけが。 |
22日 | 国家警察,ブディを副長官に任命。 |
28日 | 憲法裁,容疑者の指定をめぐる案件を予審裁判の対象とするとの判決。 |
29日 | 政府,麻薬犯9人(うち外国人5人)に対する死刑を執行。 |
5月 | |
1日 | 警察,汚職撲滅委員会の捜査官ノベル・バスウェダンを警察官時代の違法捜査の容疑で逮捕。 |
4日 | 政府,インドネシア人家事労働者の中東地域21カ国への派遣中止を決定。 |
5日 | 汚職撲滅委員会,ジェロ・ワチック前エネルギー・鉱物資源相を汚職容疑で逮捕。 |
9日 | 大統領,パプア州ジャヤプラで,分離独立運動への関与で服役していた5人の政治犯に対する恩赦を発表。10日には,パプア・西パプア両州での外国人ジャーナリストの取材活動を自由化する方針を発表。 |
10日 | ミャンマー,バングラデシュからのロヒンギャ難民582人がアチェの海岸に漂着。 |
11日 | 大統領,国交樹立40周年を記念してパプアニューギニアを公式訪問(~12日)。 |
12日 | 民主主義者党,党大会を開催し,スシロ・バンバン・ユドヨノ党首を再選。 |
13日 | 政府,シンガポールでの石油調達会社プルタミナ・エネルギー・トレーディング社(Petral)の解散と業務のプルタミナへの移管を発表。 |
20日 | インドネシア,マレーシア両国外相,ロヒンギャ難民の一時的な受け入れに合意。 |
21日 | 大統領,次期汚職撲滅委員会委員候補者選考委員会の委員9人を決定。全員女性。 |
26日 | ハディ・プルノモ前会計検査院長官の汚職撲滅委員会による容疑者指定取消しを求めた予審で,南ジャカルタ地裁は事件の捜査中止を判決。 |
6月 | |
5日 | ジャカルタ高検,ダーラン・イスカン前国営企業担当相を汚職容疑者に指定。 |
5日 | 石油輸出国機構(OPEC)への再加盟が承認される。 |
8日 | 大統領,コメ備蓄不足を理由に食糧調達公社のレニ・スギハット社長を更迭。 |
9日 | 大統領,次期国軍司令官にガトット・ヌルマントヨ陸軍参謀長を指名(14日就任)。陸海空軍から順に任命する慣例が崩れる。 |
9日 | 政府,30カ国に対する観光ビザ免除(30日以内)を決定。10月には47カ国を追加。 |
10日 | 大統領,次期国家情報庁長官にスティヨソ公正統一党党首を指名。 |
18日 | 女性の婚姻最低年齢16歳を規定した婚姻法をめぐる違憲審査裁判で,憲法裁は規定を合憲とする判断。 |
18日 | 政府,自動車・二輪車ローンの最低頭金をそれぞれ25%,20%に引き下げ。住宅ローンは1軒目20%,2軒目30%,3軒目以降40%に引き下げ。 |
29日 | 蔵相,中国の北京で開催されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立式典に出席し,設立協定に署名。 |
30日 | 司法委員会,ブディ・グナワン事件の予審担当判事サルピン・リザルディに対して,倫理・行動規定違反があったとして6カ月間の審理停止処分とすることを勧告。 |
30日 | 労働社会保険庁,年金保険料率を給与の3%とすることを決定。当初案は8%。 |
7月 | |
10日 | 警察,南ジャカルタ地裁のサルピン判事に対する名誉毀損の容疑で司法委員会のスパルマン・マルズキ委員長とタウフィックラフマン・シャフリ委員を容疑者に指定。 |
11日 | ゴルカル党の対立する2派が,12月の統一地方首長選に向けた候補者擁立について候補者の一本化で合意。 |
15日 | 新陸軍参謀長にムルヨノ陸軍戦略予備軍司令官が就任。 |
17日 | パプア州トリカラで,イスラーム教徒とキリスト教徒が衝突,1人が死亡。 |
27日 | イギリスのキャメロン首相が来訪。 |
8月 | |
5日 | ナフダトゥル・ウラマー(NU),全国大会でマアルフ・アミン新総裁とサイド・アキル・シロジュ議長を選出。 |
6日 | ムハマディヤ,全国大会でハイダル・ナシールを新議長に選出。 |
10日 | 福祉正義党,ソヒブル・イマンを新党首に選出。 |
12日 | 大統領,内閣改造を実施。 |
24日 | 総選挙委員会,12月の統一地方首長選の立候補者審査を終了,784組を決定。 |
25日 | マレーシア最高裁,インドネシア人労働者に対する死刑判決を破棄する決定。 |
28日 | 大統領,日本との協力で中ジャワ州バタム県に建設される予定の石炭火力発電所の起工式に出席。 |
28日 | 警察,港湾クレーン調達をめぐる汚職容疑で国営港湾会社ペリンドII社を強制捜査。 |
9月 | |
2日 | ズルキフリ・ハサン国民信託党党首,大統領と会談,連立政権への参加を表明。 |
2日 | テテン・マスドゥキ大統領報道官が,ルフット・パンジャイタンの後任として大統領首席補佐官に就任。 |
3日 | 政府,ジャカルタ=バンドン高速鉄道計画について,国家予算の支出も政府保証もしない方針を明らかにする。 |
9日 | 大統領,ジャカルタでのライト・レール・トランジット(LRT)着工式に出席。 |
9日 | 政府,経済政策パッケージ第1弾を発表。経済成長と規制緩和および行政の効率化による実物経済の活性化を目指す。 |
11日 | 大統領,中東諸国への歴訪に出発(~15日)。 |
14日 | アリ・ワルダナ元蔵相が死去。 |
22日 | 憲法裁,議員に対する刑事事件捜査には大統領の許可が必要と判決。 |
23日 | 人権派弁護士のアドナン・ブユン・ナスティオンが死去。 |
23日 | 政府,ジャカルタ=バンドン高速鉄道の建設を中国との合弁事業として進めることを決定。24日,ソフヤン・ジャリル国家開発企業相を日本へ派遣し,日本政府に経緯を説明。 |
24日 | サウジアラビアのミナで発生した巡礼者圧死事故で,インドネシア人123人が死亡。 |
28日 | 対ドル為替レート,1㌦=1万4750ルビア。1998年来の最安値。 |
29日 | 政府,規制緩和による投資促進などを含む経済政策パッケージ第2弾を発表。 |
30日 | 中銀,ルピア安定化政策を発表。 |
10月 | |
7日 | 政府,燃料価格,電気料金の引き下げや投資のための土地活用の緩和などを含む経済政策パッケージ第3弾を発表。 |
7日 | 憲法裁,一般裁判所法,宗教裁判所法,行政裁判所法の一部条項を違憲とし,下級審判事の任命権は最高裁にあると判断。 |
14日 | アチェ州アチェ・シンキル県で教会建設をめぐってキリスト教徒とイスラーム教徒の間で衝突が発生し,1人が死亡。 |
15日 | 政府,経済政策パッケージ第4弾を発表。最低賃金算出の計算式を見直し。 |
16日 | ジャカルタ=バンドン高速鉄道建設運営を担う合弁会社・インドネシア中国高速鉄道会社(KCIC)が設立される。 |
19日 | 政府,拿捕した違法操業外国船12隻を沈没させる。31日にも6隻を沈没させる。 |
20日 | 最高裁,党内で対立の続くゴルカル党と開発統一党に対して,それぞれ対立が発生する前の執行部を公式とする決定。 |
22日 | 政府,経済政策パッケージ第5弾を発表。企業の固定資産価値の評価替えを促進。 |
23日 | スマトラ,カリマンタン,パプア,マルクなどでの森林火災による煙害被害が深刻化。大統領はルフット政治・法務・治安担当調整相を森林火災問題の総責任者に指名し,人道支援と消火活動の実施を指示。 |
23日 | 汚職撲滅委員会,北スマトラ州政府予算をめぐる汚職事件でナスデム党幹事長のパトリス・リオ・チャペラを逮捕。 |
26日 | 大統領,アメリカを訪問(~29日)。オバマ米大統領との会談で,環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への参加意欲を示す。 |
29日 | 大統領,煙害の深刻化を受け訪米日程を短縮,対策を直接指揮するため南スマトラ州パレンバンに直接入る。死者は19人に。 |
30日 | 国会で2016年度予算案が可決成立。 |
30日 | ジャカルタ州政府,2016年の最低賃金を前年比15%増の月310万ルビアに決定。 |
11月 | |
3日 | 汚職撲滅委員会,ガトット北スマトラ州知事や前州議会議長らを州政府予算をめぐる汚職事件の容疑者に指定。 |
5日 | 政府,経済特区(KEK)の活用などを含む経済政策パッケージ第6弾を発表。 |
10日 | オランダのハーグで,1965年の共産党員虐殺事件を審理する国際人民裁判開廷。 |
14日 | 国営電力会社PLNの新社長にクントロ・マンクスブロトが就任。 |
16日 | エネルギー・鉱物資源相,セトヤ・ノバント国会議長がアメリカ系鉱山会社フリーポート社と採掘契約延長に関する裏取引を行っていた疑惑を公表し,国会名誉審判所に告発。 |
17日 | 中銀,預金準備率を8%から7.5%に引き下げ,政策金利は据え置き。 |
21日 | 大統領,クアラルンプールで開催のASEAN首脳会議および関連会議に出席(~23日)。 |
24日 | インドネシア商工会議所の新会頭にロサン・プルカサ・ルスラニが選出される。 |
12月 | |
4日 | 政府,経済政策パッケージ第7弾を発表。土地証明手続きを迅速化。 |
9日 | 初の全国統一地方首長選挙が,264自治体で実施される。 |
16日 | セトヤ国会議長,国会名誉審判所での審理が終了する前に議長を辞任。 |
18日 | 汚職撲滅委員会,国営港湾会社ペリンドII社のリチャード・リノ社長を港湾クレーン調達汚職事件の容疑者に指定。 |
18日 | 司法委員会の新委員5人が就任。国会の同意が得られず2人欠員のまま。 |
18日 | ゴルカル党の対立する2派が,ユスフ・カラの調停で,新党首選出の特別党大会を開催するという和解案に合意。 |
18日 | 警察,23日にかけて,ジャワ島各地でIS関係のテロ容疑者10人を逮捕。 |
21日 | 政府,土地収用の効率化にむけたワン・マップポリシーなどを含む経済政策パッケージ第8弾を発表。 |
30日 | 法務・人権相,ゴルカル党アグン派を承認した3月23日付大臣決定を破棄。 |
31日 | 警察,中スラウェシ州ポソでテロ容疑者6人を逮捕。 |